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パレスチナ人、イスラエル人は共に和平を探らねばならない

2020年4月27日、イスラエル・パレスチナ合同記念日式典の司会、マヤ・カッツとオサマ・イリワット(「平和を目指す戦闘員の会」(Combatants for Peace))。
2020年4月27日、イスラエル・パレスチナ合同記念日式典の司会、マヤ・カッツとオサマ・イリワット(「平和を目指す戦闘員の会」(Combatants for Peace))。
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30 Apr 2020 11:04:47 GMT9
30 Apr 2020 11:04:47 GMT9

私は今週、イスラエル独立記念イベントで、一見無限にも見える紛争で亡くなったすべての人々を想うためにイスラエル人とパレスチナ人が手をつなぐのを見た。式典はイスラエルおよびパレスチナの親による団体や家族協議会により合同で主催され、テルアビブとラマッラーの両方で同時放映された。ネットでの式典のライブストリーミングは心が動かされるもので、ハーレッツによると約20万人が視聴した。

講演者たちは次々に和平のための戦いを、また世界中で300万人以上の人々が感染しているコロナウイルス病(COVID-19)のパンデミックを打ち負かすための戦いを称賛した。

ニコライ・ムラデノフ国連中東和平特別調整官は、地域を分断し続けてきた過激主義という根強い脅威について触れた:「すべての側に過激派がいて、イスラエル人とパレスチナ人の間のすべての橋を燃やしたがる人がいて、分裂が強固になるのを見たがっている人がいます」とムラデノフは集会で語った。「皆さんが行っていることは、それに立ち向かうことです。皆さんが行っていることは、真の人間性のなせる仕事です。そして、それは悲しみを希望に変え、希望を私たち全員の未来に変えるということです」

しかし、イスラエル政府が憎悪に導かれ続けるのを思い起こさせることとして、デビッド・アムサレム通信大臣はこの和平への試みをプロモーション的に報道したとしてイスラエルのメディアを非難した。過去72年間に家族を失ったユダヤ人とアラブ人の双方が暴力を終わらせ「もう一方」の痛みを認めようとしているとして批判されることを想像してみてほしい。

イスラエルとパレスチナが和平と二つの国家を主張するための会合を妨げる「正常化ギャップ」を埋めようと尽力してきたファタハの高官モハメド・アル=マダニをはじめとするパレスチナ人は、パレスチナの過激派と親ハマスの活動家から絶え間ない攻撃を受けている。

パレスチナとイスラエルいずれの側でも、紛争への唯一の解決策が一方の破壊だと信じるような、平和に反対する狂信者に立ち向かうことは崇高な行いであり、多大なる勇気を要するものである。憎悪の言葉は感情や欲求不満の高まりに付け入るが、今週のような双方の犠牲者の記念イベントは希望を喚起し続ける。

パレスチナ人はさらに前進する必要があると私は考える。イスラエル人が大規模なイベントで独立記念日を祝うように、パレスチナ人はアラビア語で言うそのナクバ(Nakba、英語で「大惨事」と訳される)のために同様の式典を開催すべきだ。ナクバ記念式典はイスラエルへの攻撃と見なされることが多いが、実際は1948年にパレスチナ人の願望が打ち砕かれた悲劇に関するものである。

パレスチナとイスラエルのいずれの側でも、平和に反対する狂信者に立ち向かうことは、崇高な行いであり多大なる勇気を要するものである。

レイ・ハナニア

パレスチナはイスラエル国内の過激主義の増大を抑制するために正常化を選ばなければならない。イスラエルではベンジャミン・ネタニヤフ首相との利己的な取引に終止符を打つためベニー・ガンツがクネセトで台頭しつつあるアラブ人との連立を拒絶するという決定において、道理が狂信に敗北するさまが目撃された。両者は明らかにパレスチナ国家創設の阻止を意図した動きにおいて、占領下の西岸地区の広い地域を併合することを目的に手を組み、反平和政府を形成した。

イスラエル人やパレスチナ人はほとんどの人間と同様に、理性や常識よりも、何らかの政治的方向にしばしば振り回されてきた。だからこそ私はパレスチナ人として、当国民が、世界各国の国民だけでなくイスラエルの人々と同盟を結ぶあらゆる機会を見出すことが非常に重要だと強く信じる。

私たちパレスチナ人とイスラエル人は、意見に相違があるかもしれない。私たちは特定の政策や問題に対して、強い賛成および反対意見を持つかもしれない。私たちは感情的で怒ることさえあるかもしれないが、そのことにより道理に叶った道筋―つまり平和、正義、公正へと向かう道筋が妨げられてはならない。

イスラエルの併合計画を阻もうとする最も大きな声の一つはパレスチナのものではなく、むしろイスラエル側のもの、リベラル活動家団体「ピース・ナウ」だ。「国民はイスラエルがこのような極端な道を進むことを選んでいない。国民のほとんどは併合を望んでいない。警戒部隊は併合の影響を警告している。併合費用はCOVID-19危機によるコストよりもはるかに高くつくだろう」と、ピース・ナウは今週発表した声明の中で述べた。

「何よりも、イスラエル支配下で名目上自律的な飛び地に残された何百万人ものパレスチナ人に完全な市民権を与えないまま領土併合を行うことは、イスラエルの民主主義に終止符を打つことになる。一つの入植地を併合しようと、すべての入植地を併合しようと、そのような動きはアパルトヘイト国家の基礎となるだろう。併合はイスラエルにとって悪いことだ」

併合はイスラエルにとって悪いものであり、和平にとって悪いものなのだ。しかし、同じくらい悪いのは正常化、つまりパレスチナ人とイスラエル人の間で互いの権利を認め合う関係を維持するプロセスを阻止する戦いである。パレスチナ人がすべきことは、自分の苦しみだけでなく、イスラエル人の苦しみも認めることだ。たとえ今、自分の側により権力があり、政治的優位性があったとしても。

パレスチナ人の大義は大義に過ぎない。パレスチナ人はイスラエル人と共に取り組むことができ、そうすべきである。解決に到達するために。

レイ・ハナニアは受賞歴のある元シカゴ市庁舎政治記者兼コラムニスト。個人ウェブサイトwww.Hanania.comにて連絡可能。Twitter: @RayHanania

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