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プラスチック廃棄物の惨状への取り組み

ピーター・ハリソンは、ビニールゴミで3つの袋と大きなペイントバケツをいっぱいにした。(ピーター・ハリソン)
ピーター・ハリソンは、ビニールゴミで3つの袋と大きなペイントバケツをいっぱいにした。(ピーター・ハリソン)
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10 Mar 2025 09:03:42 GMT9
10 Mar 2025 09:03:42 GMT9

環境保護活動家たちが以前から推奨しているシンプルな標語がある。「海のために3つ持ち帰ろう」というものだ。この哲学は、海水浴客一人ひとりがこの標語に従い、訪れるたびにプラスチック廃棄物を3つずつ拾うことで、海やビーチから有害な廃棄物が大幅に減り、そこに生息する野生動物もより安全になるというものだ。

同じことが内陸でも実践されるべきである。「陸のために3つ取ろう」という言葉には響きがないが、ラクダやその他の野生動物はそんな韻を踏んでいないことを私たちに非難することはないだろう。

2008年から2020年の間に調査されたラクダの死骸3万匹のうち、1パーセントにあたる300匹がプラスチック汚染によって命を落としていたことが、UAEの科学者によって発見された。 胃の内容物の調査では、最大64キログラムものプラスチックが大量に発見された。

では、なぜ私がこのようなとりとめのない話を持ち出したのか? 最近、私はオマーンとの国境沿いにあるThameedとFiliの村の近くにあるアラブ首長国連邦の砂漠までドライブに出かけた。人間の強欲や怠惰に侵されていない広々とした空間を期待していたのだが、残念ながらそうはならなかった。代わりに、地面にはプラスチックボトルが散乱し、木々にはポリエチレンが引っかかっていた。

私は大量のプラスチックごみを集めた。自然の美しさを感じさせる場所に放置されていたペットボトルやポリ袋の残骸を、大きな袋3つ分も集めた。さらに、大きなペンキ用バケツもあったので、それもいっぱいにした。私はこれらのごみをすべて持ち帰り、近くにあった大きなゴミ箱に捨てた。ペンキ用バケツは、複数のゴミ箱が置かれている道路沿いに運ばれてきたに違いない。

これは陸地に限ったことではない。海では、ペットボトルが水中に浮かんでいるのをよく見かける。また、魚やイルカ、ウミガメなどの海洋生物が飲み込んでしまう可能性のある袋やその他のゴミも見かける。

Take 3 for the Sea という団体は、2009年から2024年の間に世界各地で行った清掃活動で5600万点のゴミを回収したと報告しているが、まだまだゴミはたくさんある。

リサーチゲートによると、2020年にはアラビア湾周辺の沿岸地域で約160万トンのプラスチック廃棄物が排出され、そのうち133万トンは不適切に処理された。例えば、風で軽い廃棄物が舞い上がり、何キロも離れた砂漠に飛んでいくような、野焼きによる処理だ。さらに1万9000トンは、他人事として人々によって放置されたまま、ただ散らかっているだけだった。

先月のアラブニュースで報じられたように、サウジアラビアでは使い捨てプラスチックの使用削減に向けた動きがある。そして、そうしなければならない。現在、サウジアラビア王国では毎年50億本のプラスチック製水ボトルが廃棄されているが、そのうちリサイクルされているのは5パーセント以下である。

プラスチック廃棄物の環境への影響に対する懸念が高まっているにもかかわらず、UAEを拠点とする水処理技術企業Wisewellの調査によると、サウジアラビア人の77%は水分補給の主な手段として依然としてペットボトル入りの水に頼っている。

プラスチックを完全に避けるのは容易ではない。2023年、世界自然保護基金(WWF)は、UAEの平均的な人が1年間に94kgのプラスチックを使用していると報告しており、その数は今後も増え続ける可能性が高い。

しかし、この惨状と戦うためにできることはまだまだたくさんある。多くのスーパーマーケットでは、現在、果物や野菜売り場に紙袋を用意している。また、すでに持っている袋を再利用することもできる。

政府はビニール袋の禁止について話し合いを続けているが、いまだにビニール袋は入手可能だ。しかし、それらを使う必要はなく、トートバッグやそれに類するものを購入すればよい。

もちろん、私たちが飲む水がペットボトルに入っている必要はない。無限に再利用できるボトルや入れ物は他にもたくさんある。

ラクダや鳥、爬虫類など、目にする生き物たちは、プラスチックが自分たちにどんな害をもたらすのか知らない。

ピーター・ハリソン

それまでは、砂漠や田舎に出かけるときは、そもそもなぜそこへ行くのかを考えてほしい。私たちは、景色や静けさ、自然の美しさを楽しむために出かけるのであって、地面に無数に捨てられたボトルや袋を見るために出かけるわけではない。

あなたも、母親が20代、あるいは30代になっても、ゴミを拾うために走り回っていたという人の一人かもしれない。しかし、あなたが自分で部屋を掃除したと母親に伝えたときに、母親がどれほど喜んだかを思い出してほしい。

自然も同様に、破壊しなければ自然は反応するものだ。あなたが目にするラクダや鳥、爬虫類、そしてその他すべての生き物は、プラスチックが自分たちにどんな害を与えるのか知らない。彼らはプラスチックが何なのか知らないのだ。

しかし、食べられるものだと思ってそれを食べると、消化できないプラスチックは胃の中に留まり、動物たちは食欲を失い、飢えで死ぬ可能性がある。

鋭利な縁や粗い側面を持つプラスチックを摂取すると、動物の消化器官に擦り傷が生じ、出血や感染症を引き起こす可能性もある。

そして忘れてはならないのは、ボトルは、知らずに中に入ってしまった小さな生き物にとって、出口が見つからない罠のようなものだということだ。

だから、今度、パーティーやピクニックで広々とした場所に行くときは、誰かが片づけるだろうとゴミを放置しないで、持ち帰るか、少なくとも帰宅途中に道路沿いに並んでいるゴミ箱のひとつに捨ててほしい。そして、もし地面にゴミを見つけたら、拾って持ち帰り、ゴミ箱に捨ててほしい。

  • ピーター・ハリソンは、ドバイのアラブニュースのシニア・エディターである。中東を10年以上取材している。X: @PhotoPJHarrison
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