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中東の不動産市場、WEFで注目の的に

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21 Jan 2024 02:01:24 GMT9
21 Jan 2024 02:01:24 GMT9

ミゲル・ハチティ

ダボス:ダボスで開催された世界経済フォーラムは、世界のリーダーと業界のエキスパートを集めて世界の現状について議論する場であり、不動産と世界経済のトレンドも話題にのぼった。

JLLのグローバルCEOとプレジデントを兼任するクリスチャン・ウルブリック氏は、大規模プロジェクトが地域全体で進行する、中東の不動産セクターの発展を称賛した。

「中東は多くの面で輝かしい進展を見せています。ラグジュアリーな部分だけでなく、生産サイドに関してもそうです」

サウジアラビアの明るい展望

彼はまた、サウジアラビアの不動産セクターに関しても楽観を示した。「わたしはサウジアラビアにとてもポジティブな印象をもっています。数週間前にFII(未来投資イニシアティブ)に出席し、これまでの進歩に強く感銘を受けました。この国は安心して投資できる形でビジネスを推進しており、労働力の変化も注目すべきものです」

リーダーシップ職における女性の増加を歓迎し、ウルブリック氏は次のように述べた:「いまや非常に多くの女性たちがリーダーシップ職に就いており、これはとてもポジティブな変化です。彼女たちはこの国の繁栄に不可欠な存在です」

マジド・アル・フタイム・ホールディングのCEOを務めるアフメド・ガラル・イスマイル氏は、UAEとサウジアラビアをはじめとする中東市場の重要性の高まりを強調し、経済水準の高さと未来志向という特徴をあげた。

4つのD

ハインズ・インタレスツ・リミテッド・パートナーシップのグローバル最高投資責任者であるデヴィッド・スタインバッハ氏は、自身がいう「4つのD」の重要性を論じた。

「脱グローバル化(deglobalization)の進行、人口動態(demographics)の変化、市場における一定規模のレバレッジ解消(deleveraging)の必要性、脱炭素化(decarbonization)が、巨大な投資機会を生み出すでしょう」

スタインバッハ氏は、これらのトレンドが今後10年間の投資家の資本配分に影響を与えるとの見解を示した。

多様な本質

アイバンホー・ケンブリッジのプレジデント兼CEOであるナタリー・パラディチェフ氏は、不動産の多様な本質への注目を促した。

「ひとつの不動産業界があるわけではないのです。このパネルを見ての通り、世界の不動産セクターは多数の部分、アセットクラス、地域から構成されています」と、彼女は述べた。

パラディチェフ氏は広い視野をもつよう促し、「不動産はオフィスだけの話ではありません。実体をもつアセットクラスであり、それぞれに操業モデルが存在し、個別の専門性を必要とするのです」

AIの役割

マジド・アル・フタイム・ホールディングCEOのイスマイル氏は、不動産業界の資金調達における課題を取り上げ、「課題はアセットではなく、資金調達にあります」と述べた。

同氏は、安定した財政状況を背景に業界が現状に満足してしまい、信用基準の低下につながることを懸念する。

スタインバッハ氏は、不動産投資において長期のタイムスパンで考えることの重要性を強調し、「不動産アセットクラスの投資家にとっては、タイムフレームを考えることが重要です。この業界の事業計画はふつう最低でも5〜10年単位なのです」とコメントした。

スタインバッハ氏はまた、不動産セクターにおけるAIの役割の拡大にも言及し、「AIの導入が進んでおり、背景には戦略的・戦術的な要因があります」と述べた。

ウルブリック氏も同様の見解を示し、「AIはおそらく、ホワイトカラー労働者に影響を及ぼす初めての産業革命になるでしょう。そして、かれらはわれわれのテナントなのです」と述べた。

技能から科学への転換

スタインバッハ氏は、不動産分析の進化を振り返り「30年前、われわれは市場でも建物でも、未充足率がどれだけなのかさえ把握していませんでした。ある種の技能だったのです。けれども今は、JLLやその他の企業の努力により、実際のデータを伴う科学になりました」と評した。

ダボスで開催された世界経済フォーラムは、こうした多様な視点を収束させるプラットフォームとして、世界の不動産の多面的本質と、業界の未来を形づくるダイナミックなトレンドに光を当てた。

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