
フーシ反政府勢力は、サウジ王国の石油産業の中心にあるサウジアラムコの2つの工場に対し、週末にドローンを使って攻撃を行った旨の犯行声明を出している。標的となったのは、東部州のダンマームに近いアブカイクにある世界最大の石油処理施設と、フライスにある同国で2番目に大きい油田であった。
イランが支援するこの民兵組織による攻撃は、サウジアラビアのみならず世界の脅威となっている。このような攻撃作戦が、世界経済をはじめ、中東の安全保障や安定に影響を及ぼす可能性が高いためである。米国やUAEを含む多くの国がこの攻撃を非難した。ドナルド・トランプ米大統領は、ワシントンが「サウジ王国の安全保障と安定を維持するために、取り得るあらゆる手段で同国と協力する万全の態勢にある」ことを改めて示すために、ムハンマド・ビン・サルマーン王太子に電話をかけたと伝えられている。
国際社会は、フーシ以外に誰が悪の元凶で扇動者であるかを忘れるべきではない。それはイラン・イスラム共和国である。フーシは、世界最大のテロ支援国家である強力な支持者を抱えているため、たいへん恵まれている。
イラン政府は、イエメンに違法な武器と技術を密輸していると伝えられており、この戦闘でフーシの弾薬が底を突かないよう、あらゆる手を尽くすであろう。ロイター通信によると、イスラム革命防衛隊 (IRGC) がフーシの主たる支援・後援者となっている。
イラン政府の代理組織による攻撃の数は、前例のない水準まで増加している。2017年のある攻撃では、フーシの民兵組織が4発の弾道ミサイルを使ってサウジアラビアを標的にしたが、国連はこれらミサイルがイランによって設計されたようであると発表した。専門家で構成された国連の委員会は、フーシが自らこれら武器を製造できる可能性は極めて低いと述べた。
抜粋見出し:フーシは、世界最大のテロ支援国家である強力な支持者を抱えており、たいへん恵まれている。
イランの指導者もフーシを支援していることを認めている。影響力のある聖職者Mehdi Tayeb氏は、これが海軍の支援を受けたIRGCによって、段階的に実施されていると語った。さらに、IRGCコッズ部隊の副司令官Esmail Ghani氏は、「それらイエメンを守る民兵は、イスラム共和国の旗印のもとで訓練されている」と話した。
マイク・ポンペオ米国務長官は、週末の攻撃についてイラン政府を非難した。同国務長官は次のようにツイートした。「テヘランは100回近くにおよぶサウジアラビアへの攻撃の黒幕であり、その一方で(大統領のハサン)ロウハーニーと(外務大臣のモハンマド・ジャヴァード)ザリーフは、外交に従事するふりをした。緊張の段階的縮小を求める声が高まる中、イランは世界のエネルギー供給に対する前例のない攻撃を開始している。この攻撃がイエメンからのものであるという証拠は一切ない。」
イエメンにおける紛争を解決し、過激派グループに対峙するために、取り組みを強化している米国とその同盟国に対する抵抗のメッセージとして、テヘランはより盛んにフーシを支援し、彼らに武器を提供している。
より広く見れば、フーシによる直近の攻撃で、イランによって訓練された、中東全体に広がるイランの代理武装組織の戦術と長期的戦略の本質が垣間見える。それは、不安定化、紛争、暗殺、スンニ派または西側諸国による解決案の拒絶という、4つの柱で組み立てられている。
イランにとって、イエメン紛争が湾岸ライバル諸国の愚弄よりも意味があることは注目に値する。それはイデオロギー改革運動であり、イスラム教徒の支配下でイスラム世界を統一するという、イラン政府の革命的理想の一部であるが、そこでは常に平和がこのプロセスを遅らせるものと見なされる。
イランの革命的使命は、イスラム共和国憲法の一部となっており、その序文には、イスラム共和国が「国内外における革命の継続を確保するために、必要な基盤を提供する」と定められている。これに続いて、イランの軍隊およびIRGCは、「国境の警備・維持のみならず、神(シーア)の法による主権を世界全体に拡大し、今世紀に普遍的な聖なる政府の確立とその他すべての破滅を実現する期待を持って、イデオロギー的使命を果たす責任を有する」と定められている。
穏健派と言われているロウハーニー大統領のもと、テヘランは暴力を扇動し、テロを支援し、地域の不安定化を図り続けて、その覇権主義的野心を進展させている。イラン政府は、サウジアラビアに対するフーシによる攻撃の背後にいる主犯と見なされるべきである。これら攻撃に関して、国際社会は力を結集し、テヘランの責任を追及すると同時に、フーシの支援およびサウジアラビアへの攻撃に責任があるイランの指導者を裁かなければならない。
イラン政府のイデオロギーは危険であり、最近起こったようなテロ行為が今後も終わりなく繰り返される可能性が高く、どの国もイランの攻撃や脅威に対して安全ではないため、国際社会は真摯にこれに取り組む必要がある。