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パンデミックが世界の権力体系の欠陥と限界を暴いている

23 May 2020
米ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区の国連本部、2020年3月10日。(ロイター)
米ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区の国連本部、2020年3月10日。(ロイター)
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シネム・センギス

私たちは、まだこの世界的なパンデミックの初期段階にあるが、国際政治学者や国際経済学者たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が第二次世界大戦以来最大かつ最も複雑な世界的危機であることをすでに認識している。a

国際社会の主な焦点は、さしあたり、この危機の健康面をどう乗り切るかだが、すでにポスト・パンデミック時代の大規模な構造改革を求める声が一部から上がっている。

75年前に世界大戦が終結したとき、国家レベルでも国際レベルでも重大な変化が起きた。今、世界が直面している危機は、規模がそれと同様であるため、再び大きな世界的変化が訪れることが予想される。

第二次世界大戦後、世界の復興と発展を支援するために、複数の多国間機関や多国籍機関が設立された。危機が発生したときは、今年75周年を迎える国連などの多国間機関に最大の責任がのしかかる。だが、トルコ、インド、カナダなど、多くの国で浮き彫りになったように、国連のパンデミックへの対応は賞賛に値するものではない。

今週、国連安全保障理事会の会合で、トルコの外務大臣メヴルート・カヴソグルは、200万人近くが感染しているパンデミックへの取り組みに向けた国連の対応の遅さと対応策の欠如を批判した。

「安保理のCOVID-19への対応が遅れていることは誰もが認めています」と彼は述べた。「安保理がパンデミックについて議論するために会合を開いたのは、アウトブレイクのほぼ4か月後です。信じられません。言語道断です」

カヴソグル氏は、安保理が危機に対処するための効果的な対応策を打ち出していないことを次の言葉で非難した。「コロナウイルスのパンデミックが始まってから数ヶ月が経ちましたが、安保理はこれまで決議案を一つも可決できていません」

国連は初めて会合を開いたが、その席上でアントニオ・グテーレス事務総長は、パンデミックの平和と安全への影響を抑えるには、安保理の取り組みが「重要」になると述べた。

安保理の加盟国は15か国で、そのうち中国、フランス、ロシア、英国、米国の5か国が常任理事国だ。残りの10か国は総会で2年任期で選出される。常任理事国には決議案に対する拒否権がある。この構造は、長年にわたって、世界の命運をたった5か国の意向に委ねることなどできないと主張する多くの世界の指導者の批判の的になっている。

たとえば、トルコのレセップ・タイイップ・エルドガン大統領は、次の有名なスローガンでこの構造を声高に批判している。「世界は5大国より大きい」

危機の際の安保理の信頼性に疑問を呈したのはカヴソグル氏が初めてではないし、トルコだけが安保理加盟国の改革を求めているわけでもない。

パンデミックが発生する前から、あらゆる国際機関に対する信頼がすでに低下していたが、健康危機がその傾向に拍車をかけた。確かに、この信頼低下の責任の一端は中国や米国などの世界の主要国にあるようだ。5大常任理事国によって脇役に追いやられている国々は、パンデミックを、国連の意義と信頼性を維持するために必要な変革を促す絶好の機会と捉えている。

カナダ、インド、トルコ、ブラジル、日本、そして一部のイスラム国やアフリカ諸国は、21世紀の課題によりうまく対処するために、安保理の改革を求めている。安保理は第二次世界大戦後の世界の再建に大きな役割を果たしたかもしれないが、過去70年の間に国際的な権力構造、経済力の分布、政治規範は大きく変化している。

現代の世界には、多様な主体、多様な危機、それらに対する多様な対応方法が存在しており、安保理が現在の形でそれらに適切に対応できないことが日に日に多くなっている。

世界的な健康危機は、国際的な権力構造のアキレス腱をこれまでにない規模で露呈させた。

シネム・センギス

ここで、常任理事国が世界的な健康危機にどのように対応したのかを振り返ってみよう。中国は、最初のアウトブレイクに関する情報を隠蔽したことが世界に知られた後、信用を失った。米国はパンデミックへの効果的な対応に失敗した。英国の危機への対処は世界に衝撃を与え、英国の現政権の欠陥を露呈させた。フランスの医師はコロナウイルスのワクチンをアフリカでテストするよう要求し、全世界の怒りを買った。

さらに、常任理事国は、世界中でエスカレートする地政学的対立を終わらせる取り組みで統一戦線を張ることに一貫して失敗している。たとえば米国は、パンデミックに対処するための世界的な停戦を求める決議案を阻止し、決議文にWHOへの言及を盛り込んだ中国の意向を非難した。

安保理の時代遅れの構造は、包含的でも代弁的でもなく、パンデミックへの対処に向けた常任理事国の政策の失敗によって、その求心力はさらに低下している。

世界的な健康危機は、国際的な権力構造のアキレス腱をこれまでにない規模で露呈させた。国際社会は安保理改革の起爆剤としてこのチャンスを物にするべきだ。

シネム・センギスはトルコと中東の関係を専門とするトルコの政治アナリストである。Twitter: @SinemCngz

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