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日本の国際舞台における新たな役割

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03 Aug 2020 01:08:47 GMT9
03 Aug 2020 01:08:47 GMT9

75年前の今月、日本に対する勝利の日(VJデー)に第二次世界大戦は終わった。当時日本はアメリカの最大の敵だったのだが、今日では西側同盟国の中で戦略的に重要な地位を占めており、さらに重要性が増しつつある。

日本は長年G7等西側友好国の一員であるだけでなく、カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドのファイブアイズ諜報協定に参加を求められるのではないかという観測が強まっている。

日本の地政学的重要性が高まっていることの理論的説明としては、冷戦初期同様、西側にとって、中国やロシアのアジア太平洋地域への進出の重要な防波堤と考えられていることが大きな要因である。しかし、西洋と日本の同盟における安全保障の柱ということが協調される一方、経済も重要な要因だ。

第二次世界大戦終戦以降、世界における日本の役割が徐々に変化したのは、一つには戦後の驚異的な経済的成功によるものだ。日本は経済力に見合った国際的な政治関係へのコミットメントを求められるようになった。日本は世界の3大経済大国の一つであり、コロナウィルス大流行後の経済再建に欠かせない力となるであろう。

アメリカ以外にも多くの西洋諸国が、日本が国際貿易に活気を与えてくれると期待している。日本政府は昨年アメリカ政府と協定を結んだだけでなく、最近になってEUと貿易協定を結んだ。これは世界のGDPの約3分の1、また、ほぼ6億5,000万の人口に関わる話だ。さらに、昨年日本政府は環太平洋パートナーシップにおける包括的及び先進的な協定の主導的役割を果たした。これはアジア太平洋とアメリカ大陸の11か国で結んだもので、世界の貿易の約13%、人口では計5億人を占めている。

欧州が、日本が国際貿易を、さらにはルールに則った世界秩序を守ることに期待するのは、トランプ政権がこの問題について二枚舌を使っているからである。昨年の東京でのG20サミットでは、貿易は重要テーマとして扱われた。とは言え、それ以前のG20会合で、貿易問題はトランプと他国のリーダーたちの間で多くの論争の的となっていた。2018年のドイツでの会合では、トランプがサミットの公式声明の最後に保護主義的な文言を入れるよう強く要求し、アンゲラ・メルケル首相と衝突している。

日本の外交政策をプッシュするこういった構造的要因に対し、日本史上最も長く首相の座にある安倍晋三は、トランプを含む西側リーダーとの関係を統合強化する方向を採っている。トランプは2016年の選挙では日本政府を批判していた。

安倍はこの批判に危険を察知し、4年前、トランプの衝撃的な勝利の後、外国首脳として初めてトランプに会いに行った。それ以来、安倍はこの気まぐれな大統領とすいぶんと個人的に仲良くなったようだ。国際社会の懐疑的視線を前にしても、日米関係を強化する方向に向かっている。

日本の地政学的重要性が高まっていることの理論的説明としては、冷戦初期同様、西側にとって、中国やロシアのアジア太平洋地域への進出の重要な防波堤と考えられていることが大きな要因である。

例えば、安倍はトランプと貿易合意をした数少ないリーダーの一人である。おかげで、トランプの批判はやわらいだ。それまで彼は車の輸出入を取り上げて日本の貿易を不公平慣習呼ばわりし、日本政府は金融政策で円の価値を下げて輸出を促進していると非難していたのだ。

さらに、トランプはアメリカファーストを唱え、2016年には、両国関係はあまりに片務的になっており日本は国際安全保障の責務をもっと担うべきだと言っていたのだが、日本の安全保障へのアメリカの強いコミットメントを繰り返し強調し、両国の関係はアジア太平洋地域の「平和の礎石」だとも述べた。

この日米関係の強化は諸問題への共通の懸念を反映したものだ。北朝鮮もそうだが、一番の理由は中国である。

現在の流動的な地政学的状況の中で、安倍は長年抱いてきた外交政策をトランプの行動計画に合わせて進めようと努め、防衛支出を大幅に増やしてきた。トランプは日本政府にもっと国際的に自己主張させたいと思っているようだが、昨年の日米貿易合意に乗っかって、安倍は戦後日本の平和的防衛という特色の法的・政治的土台をひっくり返し、日本がもっと国外で軍事行動できるようにしたいと考えている。

安倍が押し進めたいと考えている一大テーマは、憲法9条の廃止である。この条項は日本の戦後の憲法の中で、軍事力をそれまでの軍隊と違い、厳格に防衛のためのものに制限するもので、1945年以降かなり長期にわたり、日本の防衛支出をGDPの1%未満に抑える役割も果たしていた。

これをひっくり返すには、安倍は国会両院での3分の2以上の多数を得るだけでなく、国民投票で過半数を得なければならない。彼は自分の名を残そうと、これを無理にでも進めようとするが、手練手管に長けたベテラン首相にとっても乗り越え難い難関であるかもしれない。日本人は核攻撃を受けた唯一の国家として、戦後の平和主義を今でも大事にしているからである。

  • アンドリュー・ハモンドはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのLSE IDEASの準会員である
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