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サウジのビン・ファルハーン外相、テロとの戦いを国連会議で語る

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29 Jun 2021 01:06:22 GMT9
29 Jun 2021 01:06:22 GMT9
  • サウジアラビアは「テロリストたちを大幅に弱体化させ、打ち負かすことに成功した」と外相は28日に国連の会議で語った
  • 国連事務総長は、加盟国は「テクノロジーがテロリストの手に渡るのを防ぐ最終的な責任」を持つと指摘した

アラブニュース

ニューヨーク:サウジアラビアの外務大臣、ファイサル・ビン・ファルハーン王子は28日、国連の会議で演説し、サウジアラビアはあらゆる形態のテロを非難すると訴えた。

第2回の国連加盟国テロ対策機関ハイレベル会議で、ビン・ファルハーン外相は、この「国際社会の平和と安全に対する執拗な挑戦」に直面して、すべての加盟国と国際および地域組織が協力して、国連グローバルテロ対策戦略を実施していくよう求めた。

サウジアラビアを創設国とする国連テロ対策センター(UNCCT)は今年設立10周年を迎えており、ビン・ファルハーン外相は会議参加者たちに向けて、同センターは、テロとの闘いにおいて国連の重要で積極的なパートナーであり続けると確約した。

サウジアラビアはテロ活動への資金供与の動きに特に注意を払っている、と外相は述べた。そのため同国は多数の二国間、地域内および国際協定を批准し、テロリズムおよびその資金調達に関連する犯罪に対処する、多国間の法的協力の枠組みを強化している。

今年のテロ対策機関ハイレベル会議のテーマ「変革的テクノロジーの時代におけるテロ対策と抑止策」は、テロの脅威がテクノロジーの進歩とともに技術的に高度化しているという事実を強調するだけでなく、リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国連大使が述べたように、テロに対抗し、暴力的な過激主義が地域社会に根付くのを防ぐためのテクノロジーの活用を検討する機会を実現するものともなっている。

「テロリストたちは(テクノロジーの進歩に)適応しています」とグリーンフィールド米大使は指摘する。 「彼らは通信技術を使ってネットワークを強化し、支持者を募集して感化し、プロパガンダを広め、テロ行為を防止しようとする私たちの能力に挑戦しています。彼らは高度なテクノロジーを(さらに)役立てて犯罪行為を実行しようとしているのです。」

グリーンフィールド大使は、テロ組織の活動の進化に対応する新しい戦略の開発を求めた。

一方、サウジアラビアのビン・ファルハーン外相は、同国のテロ対策アプローチは従来の対策を超えて、「法的および技術的」手段を通じてテロリストのサイバー犯罪に対抗することを含んだものだと述べた。

「サウジアラビアは、国家サイバー​セキュリティ庁と知的戦闘センターなど、過激主義とテロリズムにその根本的な原因から対処するために国家機関を設立しています。また、過激派イデオロギー対策グローバルセンターは、過激派の言説分析など、新しく革新的な方法を駆使して過激派のイデオロギーに対抗するものです」と外相は説明した。

外相はまた、2021年4月に過激派イデオロギー対策グローバルセンターと国連テロ対策センターの間で締結された覚書の意義を強調した。この覚書は、「テロの悲劇と戦う国際社会の努力を支援するサウジアラビアの決意を示すもの」だと外相は語った。

「覚書の下で、2つのセンターは、能力開発、テロ目的でのインターネット使用への対策、若者の意識向上、寛容な態度の促進、テロ犠牲者支援の各課題に焦点を当てた共同プロジェクトを立ち上げることになります」とのことである。

ビン・ファルハーン外相はまた、平和と対話を重視する文化を広めていくことへのサウジアラビアの粘り強い取り組みを強調した。最近のアブドラ・ビン・アブドル アジーズ国王宗教間・文化間対話国際センター(KAICIID)と国連文明の同盟(UNAOC)との間での覚書締結もそうした取り組みの一例だとしている。

アントニオ・グテーレス国連事務総長およびボルカン・ボズクル国連総会議長を含む参加者たちに対し、外相は、サウジアラビアはテロ攻撃に苦しんできたが、「テロリストたちを大幅に弱体化させ、打ち負かすことに成功した」と語った。

「私たちは、国、地域、および国際的なレベルで数多くの対策を講じ、テロ行為の実行、資金調達、扇動、参加などの行動を禁止することに関する国際法と関連決議を支持してきた」

「私たちはまた、国際的なテロ対策諸機関のすべての決議と決定を遵守してきた。」

外相は他の国連加盟諸国に対し、テロ対策手段へのアクセスを「テロと闘い、撲滅したいという強い願い」と結びつけ、より多くの努力を「テロの問題の根本原因解消に有効な、教育、開発、正義、および法の支配を最重要要素とする」対テロ戦略の核心部分に傾けるよう呼びかけた。

外相はまた、テロリズムと、民族自決・主権・外国の占領に抵抗する人々の権利は区別しなければならないと強調した。

「テロリズムを非難するならば、国家によるテロ行為も非難しなければなりません」と外相は指摘した。

グリーンフィールド米国連大使は、世界でテロ対策への取り組みが進む中で、「人権と表現の自由がないがしろにされてはいけません。なぜなら、最終的には、権利と自由に対する私たちの確固たる信念こそが、何よりも強力なテロ対策のツールだからです。」と警鐘を鳴らしている。

グテーレス国連事務総長は、テロとの闘いにはある程度の進展があったが、その進展は「速度が遅く、不十分なものです」と述べている。

「二極化の進展、統治の失敗、ヘイトスピーチの正常化がテロリストグループを利してきました」と事務総長は指摘した。

「白人至上主義者、ネオナチズム、その他の民族的または人種的動機による運動がもたらす脅威は、国境を越えてますます拡大しています」

「テロリスト達は新型コロナの世界的流行に関連する苦境と不平等をまず間違いなく悪用しようとするでしょう」

グテーレス事務総長は国際社会に対し、テロリストに活動する場所を与えず、法の裁きを受けさせ、人々の暮らしに安全をもたらすための前提条件として、「強靭、公正で説明責任のある制度」を確立し強化するよう促した。

暴力の連鎖を断ち切るために、グテーレス事務総長は、刑期を終えたテロリストの更生支援と社会復帰を求めた。事務総長はまた、テロ対策が「人々の権利と自由を侵害するために用いられて、結果として地域社会内での疎外感をかえって増大させ、テロリストの言説を強化してしまう」のを避けるため、テロ対策のための「人権のリセット」が望ましいとしている。

グテーレス事務総長は最後に加盟国に対し、それぞれの国は「テクノロジーがテロリストの手に渡るのを防ぐ最終的な責任」を持つと指摘した。現状既に、テクノロジーの悪用は顕著な傾向となっている:ソーシャルメディアはヘイトスピーチや暴力的なイデオロギーの醸成・流布に、ブロックチェーンやランサムウェアはテロリストへの資金援助に、商用ドローンや3D印刷は武器調達に、そしてディープフェイクを用いた人物画像合成はテロリストが捏造する陰謀論の拡散に使われてしまっている。

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