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米ドルが売られている理由

米ドルは世界の準備通貨であり、世界の通貨市場で最も取引されている通貨でもある。(AP Photo/Lee Jin-man)
米ドルは世界の準備通貨であり、世界の通貨市場で最も取引されている通貨でもある。(AP Photo/Lee Jin-man)
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05 Aug 2020 01:08:06 GMT9
コーネリア・メイヤー
05 Aug 2020 01:08:06 GMT9

米ドルは重要な通貨である。世界の準備通貨であり、世界の通貨市場で最も取引されている通貨でもある。原油は米ドルで取引され、多くの国々、特に湾岸協力会議(GCC)では、自国の通貨価値と米ドルの価値を連動させている。こうした重要性を知れば、米ドルの最近の価値低下の背後に何があるのか、それがさまざまな利害関係者にどのように影響するかを検討するのに十分な理由となるであろう。

世界で最も重要度の高い通貨のバスケットに対する米ドルの価値をトラックするドル指数は、3月の高値から10%低下している。さらに7月にはドルは4%下落して2年ぶりの安値を記録した。同時に、もう1つの安全な逃避先である金は、世界全体の大規模な景気刺激策と世界経済の現状を受け、インフレを恐れた資金で過去最高値を記録している。

連邦準備制度理事会は先週、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金利を0%近くに据え置いた。米ドルの調達を支援する14か国の中央銀行とのスワップラインは、2021年3月まで延長された。これは、国際通貨システムでの流動性を確保する上で重要な取り決めである。

連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックの経済的影響に対し、米国の中央銀行として経済を支援するために必要なことは何でもする姿勢に疑いの余地を残さなかった。彼はまた、金融政策だけで成し遂げることができることに限界があるため、財政刺激策を続けるよう議会に訴えた。一方で、議会は下院で可決され、地方政府への支援を含む3.5兆ドル相当の財政刺激策を提案している民主党のヒーローズ法(Heroes Act)と、規模的には大きく下回る共和党案の1兆ドルのパッケージとの間で、議論が手詰まり状態にあり、平行線をたどる。コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(Cares Act)が7月末に期限切れとなるため、論争の早期解決が極めて重要である。

ドル安は伝統的に原油価格にとって良いニュースであり、米ドルと逆相関する傾向がある

コーネリア・マイヤー 

連邦準備制度理事会(FRB)の「何でもする」というメッセージは、国内の状況からは重要であった。しかし、それはまた、米国経済がパンデミックの終焉からは、かけ離れた状況にあることを示している。最新の高頻度データと新型コロナウイルス感染症の症例数は、今後さらに悪化するのではないかという懸念を引き起こしている。

現在の状況を象徴して、10年物国債利回りは先週初めて1%を下回り、投資家はますます他の投資先を模索せざるを得なくなった。

新型コロナウイルス感染症によって引き起こされた経済的混乱の中で、米ドルと10物国債が安全な逃避先と見なされた3月から、状況は先に進んでいない。現在、米国での新型コロナウイルス感染症の症例数が増加し、ロックダウンの再開や金融および財政政策の拡大への懸念から、投資家の米ドルに対する認識を反転させている。

米ドルに対する見方の変化は非常に大きな影響を全体にもたらす。新興市場の通貨にとっては、米ドル安の方が好都合である。連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策の削減により、さまざまな新興通貨が急落した2013年のテーパー・タントラム(taper tantrum)の状況は、皆の記録に新しい。ただし、注意が必要である:最近の米ドル安は、新興市場の通貨ではなく、主としてユーロ、円、スイスフランなど、他の先進国通貨の強さが反映して起こっている。

現在、米国での悲観的な新型コロナウイルス感染症統計のおかげで、テーパー・タントラム(taper tantrum)が再び起こるような状況には無い。しかし結局のところ、将来的には、米国は金融および財政刺激策を徐々に緩和する必要があり、その際は最終的な結果に留意する必要がある。

ドル安は伝統的に原油価格にとって良いニュースであり、米ドルとは逆相関をもつ傾向がある。これは、生産削減によって原油市場の需給をバランスさせ、原油価格を支えようとするOPEC+の取り組みの助けとなる。

自国通貨を米ドルにペッグしている国々は、現状ペッグを維持するのが容易でコストもかからない状況にある。これは、控えめに言っても、3月/4月にはペッグを維持するのに困難な状況に陥ったオマーンとバーレーンにとっては朗報である。

ここからどのように動くかを予測するのは困難である。多くは、他の地域とは対照的に、新型コロナウイルス感染症の蔓延が収まらない、米国でのパンデミックの広がりがどうなるか、世界の他の地域と比較した将来の米国の金融および財政刺激策の量、10年物国債の利回り、そしてもちろん、今年後半の米国大統領選挙の結果に左右される。上記のすべての変数に影響されず、1つだけ確かなことがある:米ドル以外の選択肢がない以上、米ドルは世界の準備通貨であり続けることである。中央ヨーロッパ時間(CET)正午で、米ドルは円に対して105.97、スイスフランに対して0.92、そしてユーロに対して0.85で取引されている。

* コーネリア・マイヤー は、ビジネスコンサルタント、マクロ経済学者、そしてエネルギーの専門家である。 Twitter:@MeyerResources

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