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王国のソフトパワー、実力発揮へ

ビジョン2030の実施に向けての取り組みと、G20議長国として王国が準備する中で、FIIは2つのゴールを達成した。
ビジョン2030の実施に向けての取り組みと、G20議長国として王国が準備する中で、FIIは2つのゴールを達成した。
01 Nov 2019 08:11:20 GMT9

サウジアラビアにとって重要な時期となる先週、第3回の年次未来投資イニシアチブ(Future Investment Initiative: FII)フォーラムがリヤドで開催された。

王国は、世界銀行の「ビジネスのしやすさ」指数でその順位を30位アップさせたばかりだ。そして、 技術的および革新的思考というFIIの焦点はまさしく、これをさらに前進させるものだ。5Gやハイパーループなどの技術は、「NEOM」や「Qiddiya」を含む国内全域のアクセスと接続性を向上させるだろう。また、紅海プロジェクトなどエコロジー志向の観光事業も進行中だ。その全ては、ヴィジョン2030の見地から考察されるべきである。この運動は石油収入依存からの脱却と、教養を備えて意欲的な王国の若者たちのための雇用機会創出を目的としている。

さらにサウジアラビアは来年、G20議長国となることが想定されている。FIIは、アイディアの格好の試験場となった。例えば、エネルギー相のアブドゥルアズィーズ・ビン=サルマン王子は、サーキュラー・カーボン・エコノミーについて彼の持続可能性コンセプトを紹介した。あらゆる種類の温室化ガスを削減、再利用、再生、そして削除する閉ループシステムだ。このアプローチは、G20サミットにおいて議論の柱となる見込みだ。エネルギー消費者、気候変動を最重要課題とする各国指導者、そしてエネルギー生産者の間に、橋をかけることが期待されている。王国におけるソフトパワーの重要な柱となることができるのは、まさにこの種の賢慮されたリーダーシップだ。

2020年のサミットは、アラブ国家が主導する初の機会となるだけではない。同サミットはまた、新しい指導者にバトンが渡される場ともなるだろう。ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏が欧州委員会の会長に就任し、英国では内閣成立から1年を迎え、米国大統領選挙結果が明らかになっていることだろう。

FIIは、英国のデーヴィッド・キャメロン氏、イタリアのマッテオ・レンツィ氏、フランスのフランソワ・フィヨン氏、オーストラリアのケビン・ラッド氏と、サミット経験豊富なG20参加国政府の元指導者たちを招集した。彼らは前回サミットでの経験を話し、サウジの元国務大臣であり元外務大臣でもある、イブラヒム・アブドゥルアズィーズ・アル=アサフ氏にその知恵を伝授した。サウジが議長国として準備を整えるために、それは時宜を得た、先見の明のあるアイディアだった。

サウジアラビアは来年、G20議長国となることが想定されており、FIIはアイディアの格好の試験場となった。

コーネリア・マイヤー

うまく好転したのは3つのアイディアだ。1つ目は、MENA地域と、その目的である雇用創出などの事柄に世界の注目を集めるためにFIIは絶好の機会だったという点だ。

2つ目に、「G2」(米国および中国) に対して、「G18」が印象付けておくのは名案だった。なぜなら、2つの経済大国間の貿易戦争は、全世界にとっての頭痛の種だ。3つ目は、環境および気候変動課題が時事問題になるだろうという点だ。この事は、アブドゥルアズィーズ王子やその他の人々のイニシアチブである海洋清掃などの課題に機会を与えてくれる。

ビジョン2030の実施に向けての取り組みと、G20議長国として王国が準備する中で、FIIは2つのゴールを達成した。ビジネス界、政界、学界からこれだけ多くの指導者を集めることは、サウジアラビアにソフトパワーを構築する巧みな方法だった。

GCCの至るところで会議が目立つようになった。それらが達成するのは2つの事だ。まず1つに、それらはGCCを可能な限り都合よく見せる。それゆえに先入観で作り上げた固定観念に立ち向かうことになる。2つ目は、選び抜かれたエリートを集めることで、主催者は国家の議題を前進させるためにその集団知力と創造力を利用することができる。経済摩擦と衝突に支配されるこの世界で、ソフトパワーの力を過小評価すべきではない。

コーネリア・マイヤー氏はビジネス・コンサルタント、マクロ経済およびエネルギー専門家。ツイッター:@MeyerResources

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