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世界規模の問題に対する共通の解決策 — なぜ今多国間の相互自由貿易が重要なのか

新型コロナウイルスのパンデミックに取り組む努力を示すメキシコは、同国内でワクチンの臨床試験の第三段階に入っている製薬会社3社と合意に達した。(AFP)
新型コロナウイルスのパンデミックに取り組む努力を示すメキシコは、同国内でワクチンの臨床試験の第三段階に入っている製薬会社3社と合意に達した。(AFP)
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04 Nov 2020 03:11:00 GMT9
04 Nov 2020 03:11:00 GMT9

新しい10年の始まりは人類がこれまでにない難題に取り組むことから始まった。新型コロナウイルス(COVID-19)の発見とその急速な世界的感染拡大だ。パンデミックは今人類がかつてないほど繋がっていて、私たちの相互作用も、もちろんポジティブなことも多いけれど、脆弱であることは事実だと示した。

一地方に限定されていたものが、数週間のうちに全世界に広がり、各国の経済に影響を与えている。多くの国の保険システム、製造業、貿易、観光、世界金融、そして社会での相互作用が制限されたため、個人間の人間関係さえも困難な状況にさらされた。

新型コロナウイルスの感染拡大が続くことによって、すさまじいインパクトと脅威にさらされ、前例のないスケールで個人ならびに世界の努力の集結が求められた。総力をもってこの危機に対応するため、多国間の自由主義はこれまで以上に重要になっており、包括的かつサステイナブルな回復手段を整えなければならない。

多くの国々、国際機関、学術機関、研究センター、そして個人らがこのグループに加わり、ワクチン開発やウイルスのための治療、回復を促進する政策立案にいたるまで、重要な貢献がなされた。現在まで多大な進歩があったが、今もって問題は山積みであり、グローバル社会として、私たちの前にはパンデミックをコントロールしてその効果を抑制するという巨大な難問が立ちはだかっている。

この岐路において、G20――国際経済機関の最も重要なフォーラム――は中心的役割を担うことが求められている。G20のメンバーらは、包括的かつサステイナブルな世界的成長と開発が可能な環境を創出するように行動しなければならない。

メキシコはこの非常事態におけるG20で議長を務めたサウジアラビアに賞賛を送り、G20の決断は各国首脳のバーチャルサミットを取りまとめたサウジアラビアの統括によるものだと認めている。この招集は簡単なことではなかったと理解しているが、各国代表者ならびにホスト国両方の健康と安全に最大限配慮したサウジアラビアの懸命な配慮に感謝したい。

サウジアラビアはメキシコが継続的に建設的努力を続けて意見の統一を図ることを期待している

Aníbal Gómez Toledoアニバル・ゴメス・トレド

その始まりから、メキシコはサウジアラビアの統括によって取り上げられたテーマ、「全ての人にとっての21世紀の機会を認識する」について協力的だった。G20の包括的なゴールの一つは私たちの社会にある不平等を減らすためのものでなければならず、特に最も弱い立場にいる人々に焦点を当て、全ての人が暮らし、働き、繁栄できる公平で包括的かつサステイナブルな社会を築くということで私たちは合意している。私たちは経済成長をもう一度立ち上げようとしているのだから、なおさら重要なことだ。サウジアラビアならびにG20の他の国々は、メキシコが継続して建設的努力を行って意見を統一し、協調へ向けて前進することを期待して欲しい。

メキシコは、利用可能となった際にワクチンや治療方法と共に医薬品、医療機器や物資へのアクセスが万人に向けて公正に保証されるよう、明確で集中的な努力を行うことを支持している。3月の緊急バーチャル首脳サミットにおいて、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領がG20に向けて語った主なメッセージの一つは、ワクチンと治療は世界市民のものであると考えるべきということだった。国連総会においても、この決議は万人に向けた医療物資、ワクチン、治療へのアクセスを促進するべくメキシコによって提出され、179ヶ国の共同出資という総意をもって採決された。

この覚書において、2020年10月の始めにメキシコ政府は製薬会社のアストラゼネカ、カンシノ、バイオロジクス、ファイザーと3つの購入前契約書にサインし、COVAXに参加している各国と同様に、1億1600万人のメキシコ国民をカバーし得る量のワクチンを確保した。私たちはまた、メキシコで第3段階のワクチン臨床試験を進めている数社の製薬会社と合意に達した。

メキシコは引き続き国際貿易と出資を最優先事項としており、世界的供給チェーンの機能を維持している。2005年の国際保健規則で合意されたように、人々の健康を守るために施行される緊急対策は一時的なもので、また国際交通と貿易の不要な妨げを避けなければならない。

メキシコはもっと雇用と成長を作り出す必要があり、ジェンダー、年齢、教育、都市レベルにおいてより公平にアクセスできるより良い仕事があるようにしなければならないと考えている。私たちはまた、不完全就業状態、そして非公式経済についても注意を払う必要がある。

多国間の自由主義と国際協調は、これら緊急の世界的苦難に対処して経済回復を促進するために非常に重要となっている。サウジアラビアの主導のもと、G20は強力で包括的、集中的な対策をもたらすことができると私たちは自信をもっている。

世界的な困難に直面して、私たちが世界的な視点から明確で包括的な対策を生み出す慎重な分析が必要なことは明らかである。 

この組織化された仕事を促進させる適切なプラットフォームは多角的な構造で、大部分はもう75年前に別のコンテクストにおいて創出されていたものだが、現在、世界市民の利益のために各国の個々と総括的努力を伝達し、処理し、強化するための最良のツールである。

万人にとってより良い、サステイナブルな未来を得るために先を見据え、G20諸国は協調して2030アジェンダ、そしてその持続可能な開発目標をを折よく完全施行しなければならない。これには貧困の撲滅、健康、ウェルビーイング、質の高い教育の保証、ジェンダー平等の達成、気候変動への取り組み、不平等の減少、平和と正義の促進が含まれている。

  • アニバル・ゴメス・トレドは在サウジアラビアのメキシコ大使である。
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