Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 「ダーイシュ・ブライド」、英国系クラウドファンディングの協力でシリアのキャンプ脱出を計画

「ダーイシュ・ブライド」、英国系クラウドファンディングの協力でシリアのキャンプ脱出を計画

ダーイシュ兵士を収容するシリアのハサカ県にあるロジ・キャンプ。(AFP/File)
ダーイシュ兵士を収容するシリアのハサカ県にあるロジ・キャンプ。(AFP/File)
Short Url:
05 Oct 2020 04:10:29 GMT9
05 Oct 2020 04:10:29 GMT9

Arab News

  • 「多くの女性がファンドレイジングを利用して脱出」と専門家
  • 多くが殺害または拘置されたダーイシュ(イスラム国)兵士の妻である数百人の欧州人女性らがキャンプに収容されている

ロンドン:Sunday Timesが行った独自調査で、ダーイシュ・ブライド」と呼ばれる女性たちが、収容されているシリアのキャンプから脱出するため、英国やその他欧州諸国のサポーターから資金を受け取っていることが明らかになった。

同紙によると、英国在住のダーイシュ支持者らが、キャンプに収容されている女性やこどもを解放する合同作戦の一環として、国際的なクラウドファンディング事業と暗号化されたメッセージアプリを使ってシリアの密入国斡旋業者に資金を送り込んでいるという。

多くの受刑者が収容所の厳しい生活環境に耐えているが、中には携帯電話が使える者もおり、脱出するためにソーシャルメディアでファンドレイズを行っている。メッセージは英国にも多く存在するダーイシュ支持者らによって、世界中に拡散される。

イングランド北部に住むムスリムの女性は、シリアの「姉妹たち」の解放のため、資金要請の投稿を何十回もシェアした。

キャンプには何百人もの欧州人女性が収容されており、その多くは殺害または拘置されたダーイシュ兵士の妻だ。

キャンプに収容されている何十人もの英国人女性の1人がShamina Begumさんだ。彼女は15歳で英国を離れてダーイシュに嫁ぎ、その後英国籍をはく奪された。

寄付金は暗号化された「サイバースペースの回線」を通して仲介者に送られ、そこからダーイシュの女性や協力者の密入国斡旋業者に渡される。

逃亡者はまず、正式な人道的キャンペーンを模造してFacebookに虐待、ボディチェック、そして非人道的なキャンプの実態などに関する証言を投稿する。

証言を読むと、「支援方法」のガイドが表示され、Telegramメッセージアプリ上の暗号化された口座情報などが記載されている。

寄付を検討する人はアカウントの追加を勧められ、アプリで繋がったら希望する額を送金するよう誘導される。

その後、キャンプで脱出を希望する女性に資金を渡す「ブローカー」、またはイドリブ県の密入国斡旋業者に資金が送られる。

密入国斡旋業者はキャンプのガードに賄賂を支払い、イドリブまたはシリア国内の過激派組織支配地域への移送を手配する。

多くの場合、女性たちは何度も車や斡旋業者を替えながら、最終目的地に到着する。

女性1人とこども3人に必要なのが1万~1万5,000ドルという法外な金額となるのは、このためだろう。

「もし10人が1,000ドルずつ寄付すれば、目標に達します。または20人が500ドルずつでも良いです」とキャンプに収容されていると見られる女性がFacebookに投稿している。「姉妹たちをキャンプから解放しましょう。拡散してください。」

だが、密入国斡旋業者への依存にはリスクも伴う。一部の女性は、騙されたことをソーシャルメディアで明かした。

あるレポーターは、いくつかのTelegramアカウントにコンタクトしたところ、追跡不可能な仮想通貨ビットコインを使って送金するよう促された。

仲介業者は、「簡単ですよ」、「ビットコインを買い、入手したら送るだけです。そうすれば当局があなたに不利な証拠を見つけることはできません」と伝えてきた。

あるドナーは、PayPal経由で送金し、取引の名目を「誕生日プレゼントのようなたわいもないもの」とするよう勧めた。

欧州出身のキャンプ収容者らは、頻繁に手作りのサインを掲げた写真を投稿し、寄付を呼び掛けている。また海外からの支援によって購入された食糧の写真も公開している。

少なくとも1人の英国女性が、キャンプから脱出できたと話している。最近投稿されたFacebookの動画で、Maryam Al-Britaniyaさんはフォロワーに寄付するよう懇願している。

英国を含む欧州人女性の多くや、約60人のこどもたちがクルド主導勢力によって管理されている。

そのうちの1つ、Begumさんが収容されているロジ・キャンプは厳しく警備されているが、もう1つのホル・キャンプは規模が大きすぎて監視が行き届かないとガードは話す。

合法的なルートで国に帰ることが許されるという希望を持っている英国女性は少ないと考えられている。

一部の収容者が脱出に成功した一方で、途中で捕まった者もいる。2014年、ダーイシュに加わるためマンチェスター近郊の学校を退学し、「テラー・ツイン」というニックネームが付けられた英国人姉妹のサルマ・ハラネさんとザハラ・ハラネさんは、警備が厳しいロジ・キャンプから脱出を試みた際に、クルド主導勢力に捕まった。

ホル・キャンプの方が脱出の成功率は高い。女性と密に連絡を取っている専門家は、「(ホル・キャンプ)のガードには賄賂が払える」と話す。「多くの女性が脱出のために資金調達を行っている」という。

脱出者の一部はトルコ国境を越え、そこから偽名で別の国へ移動する。専門家の話では、「イスタンブールで身分証明書類を購入していく者もいる」という。

topics
特に人気
オススメ

return to top