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バイデン政権下で持ちこたえる、GCCと米国の戦略的パートナーシップ

アラブ首長国連邦のドバイにいるジョー・バイデン米副大統領とシェイク・ムハンマド・ビン・ラシド・アル・マクトム首長。(2016年3月8日撮影、APの写真)
アラブ首長国連邦のドバイにいるジョー・バイデン米副大統領とシェイク・ムハンマド・ビン・ラシド・アル・マクトム首長。(2016年3月8日撮影、APの写真)
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19 Nov 2020 10:11:03 GMT9

ジョー・バイデン次期大統領は1月に就任する準備を進めているが、新政権が対処しなければならない重要な課題の一つはペルシア湾の安全保障だろう。バラク・オバマ氏が2期大統領を務めたときの副大統領として、バイデン氏はこの問題をに精通している。それ以前は上院外交委員会の委員としてペルシア湾を担当していたが、それは、ペルシア湾の安全保障が常に米国の外交政策の優先事項だったからだ。

ドナルド・トランプ大統領個人のスタイルは、ペルシア湾に関しては前任者とは異なっていたが、トランプ政権は、2016年の大統領選挙より前から存在する、同じ安全保障アーキテクチャーを利用したが、それ以降も実質的に同じだ。バイデン氏はそのインフラを引き継ぐ予定であり、近い将来にそれを変えることはなさそうだ。

2012年、GCCと米国は、両者の新たな関与の枠組みとして「戦略的協力会議(SCF)」を設立した。SCFが始まったのは、1981年に湾岸協力会議(GCC)が設立されたときだった。2012年3月には、故サウド・アル・ファイサル王子とヒラリー・クリントン氏がSCFの第一回会合の共同議長を務めた。この会合にはGCCの全外相と米国の複数の機関の大代表団が参加し、政治・安全保障問題に焦点を当てた、いくつかの共同作業部会を設置することで合意した。

SCFは、イランによるペルシア湾地域での大胆な、不安定化をもたらす行動を含む、2011年と2012年の騒乱を踏まえて、ペルシア湾の安全保障アーキテクチャーを中心とする、かなり整理された強固な伝達経路を確立した。SCFはまた、2015年にキャンプ・デービッドで開催された第1回GCC・USサミットの下準備をした。そのときにSCFは、米国とGCCの戦略的パートナーシップに昇格し、その下で協力の範囲(と作業部会やタスクフォースの数)が拡大された。オバマ時代の2回目のサミットは2016年6月にリヤドで開催され、経済の多様化や若者の雇用など、関与の新領域を切り開いた。

トランプ政権下で、リヤドで開催された2017年5月のGCC・USサミットにおいて、両者はキャンプ・デービッドの枠組みに対する、確固たるコミットメントを改めて表明し、協力の範囲をさらに拡大することで合意した。

そのサミットでトランプ政権は、中東戦略同盟(MESA)に他の国々を加え、GCCと米国の戦略的パートナーシップの枠組みに取って代わるのではなく、拡大することを提案した。MESAの形と内容をまとめる議論が続いている間、トランプ政権はGCCと米国の戦略的パートナーシップの下で会議を招集するために見事な働きをした。

GCCと米国の戦略的パートナーシップの永続的な重要性と有用性を過小評価してはならない。さらに重要なことは、米国とGCC諸国がここ数十年にわたって構築してきた、ペルシア湾の安全保障アーキテクチャーも継続されるべきだいうことだ。優先順位の変更に関する議論は、それらの枠組み内で行うことが可能だ。トランプ氏が安全保障の自立を強調したことについてはいろいろ言われるが、GCCの組織としての存在理由の一つは、「強固な集団防衛力を構築する」という考えから生じている。 非対称戦争が課題となっている一方で、通常戦力には大きな進歩があった。同様に、米国の政策立案者が防衛費の負担について語るとき、彼らはGCC諸国について語らない。GCC諸国は、ただ乗りしているのではなく、手にする全ての兵器システムに対価を支払っている。

このように、米国とGCCの安全保障の原則には共通点が多い。GCCと米国の安全保障協力が進めば進むほど、GCCはより早く軍事的に自足できるようになる。そうするには、最新の兵器システムの開発・製造や訓練において、より一層の協力が必要だ。

テロ対策は双方の優先課題であり、両者は互いの協力が必要だ。リヤドに拠点のある「テロリスト資金摘発センター」は、GCCと米国の協力の好例だ。一方、テロリストのメッセージ交換に対して、GCCは、テロリストが募集を試みるのを減らすことに成功した約12のセンターを設置しており、米国はそれらの組織と緊密に連携している。

政治的には、双方はほとんどの地域・国際問題に関して意見が一致しており、それは今後も続くと予想される。最優先課題は、イランの悪行に対抗し、イランを交渉のテーブルに戻すための共通の地域政策をどうやって作り上げるかだ。その政策は、不安定化をもたらす他国の干渉に対抗するための、GCCと米国のアプローチの調整もするべきだ。

エネルギー協力は、石油とガスの主要生産国として双方が同じ立場にあるため、より生産的で平等なものとなっている。この発展が安全保障と政治に及ぼす影響は重要で、GCCと米国の戦略的パートナーシップの下で議論されるべきだが、従来型エネルギーの最大の貯蔵地としてのペルシア湾の重要性は、米国に安価な石油を供給することにとどまらない。この地域は、石油市場の安定、ひいては世界の経済回復と多くの国の繁栄にとって極めて重要な場所であり続ける。世界最大の経済大国として、米国経済は、GCCの石油とガスに依存する貿易相手国の健全性に依存している。

米国とGCCの安全保障の原則には共通点が多い。

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ博士

従来型エネルギーに関する協力に加えて、両者は2018年、再生可能エネルギーとエネルギー効率における新たな協力分野を切り開くことで合意した。両者はまた、電力の地域共同市場の創出にも取り組み始めており、これは双方と地域のいくつかのプレーヤーにとっての優先事項だ。

米国企業はGCC地域に多額の投資をしており、GCCの投資家は米国市場のキープレーヤーだ。米国がGCCの石油生産国から輸入する石油の量が減っているため、貿易取り引きの増加は鈍化しているが、石油以外の貿易は伸びている。貿易と投資の両方に大きな成長の可能性がある。

GCCの学生数十万人が米国で高等教育を受け、数百万人の観光客が訪れるなど、ここ数年、人々の交流が盛んになっている。新型コロナウイルス感染症がそうした打ち解けた交流に水を差しているが、両地域への旅の魅力は近い将来戻ってくるだろう。

このようにGCCと米国の利害が複雑に絡み合い、双方の安全保障と繁栄に大きな影響を与える中で、バイデン政権は、既存のメカニズムを通じた、米国のペルシア湾地域への関与を継続し、その関与を拡大・深化させる新たなアイデアを打ち出すことが期待される。米国の準備が整えば、GCCは動き始める。

  • アブデル・アジーズ・アルウェイシグ博士はGCCの政治問題・交渉担当事務次長捕で、アラブニュースのコラムニスト。この記事で書かれた見解は個人的なものであり、GCCの見解を示しているとは限らない。Twitter: @abuhamad1
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