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トルコは外交政策を変更するだろうか

2020年2月12日、アルバニアのティラナで記者会見に臨む、トルコのメブリュト・チャブシオール外相(ロイター)
2020年2月12日、アルバニアのティラナで記者会見に臨む、トルコのメブリュト・チャブシオール外相(ロイター)
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28 Nov 2020 09:11:19 GMT9
28 Nov 2020 09:11:19 GMT9

トルコの投資環境を改善するためにトルコ政府が近いうちに発表する改革が今、トルコの最も重要な政治課題だ。例によって、二極化したトルコ社会は、これらの改革案が可決されることを期待する人々と、この提案を受け入れない人々とに二分されている。

トルコ政府は改革の具体的な内容を明らかにしていないが、それらによって影響を受ける分野は、経済、司法、外交だと主張している。

外交政策の改革の範囲に関しては、EUとの関係以外はあまり明確にされていない。トルコ大統領府のイブラヒム・カルン報道官は先週、新たな改革は外交政策に良い影響を与えるだろうと保証した。「改革により、我々のワークフローは国内と海外の両方で速くなるだろう。そうなれば、経済や政治、社会、外交政策が多くの良い影響を受けるだろう」とカルン氏は28日、ニュースチャンネルNTVで語った。同氏は、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領が11月13日に発表した、改革の期間にも言及し、新たな措置は国民の民主的権利と自由の基準を高めるだろうと述べた。

トルコは、自国の経済にもたらされる可能性のあるリスクを避けるために、外交政策、特に米国とEUに関する政策を変更するよう求められている。そのため、トルコ政府は、米国のような同盟国との、より強固な協力関係を探し求め、地域・世界的問題を積極的に解決しようとしている、とエルドアン氏が言うのを見ても驚きはしなかった。だが同氏は、トルコは、ロシアやイランのような、トルコと深い関係を持つ国々を無視することもできないと述べた。「我々は、世界のほぼ全ての地域協定との協調の向上を図る」とエルドアン氏は述べ、トルコは、シリアからリビアに至るまで、関係するあらゆる地域で領土の保全と政治的統一に基づいた解決に向けて努力していると付け加えた。

しかし、エルドアン氏がトルコとEUの関係について言及したとき、最も強い一節が述べられた。「トルコの将来は欧州に掛かっている。他のどこでもない」と同氏は述べた。「我々は、EUが約束を守り、差別をせず、少なくとも我が国に対する明らかな敵意の道具にならないことを期待する。我々は欧州にいる自分たちを見ている。他のどこでもない。欧州とともに未来を築こうとしている」。カルン氏はその後ブリュッセルに行き、そこで可能な方策を探った。言うまでもなく、新時代におけるトルコとEUの関係の範囲と枠組みが同氏の主要課題だった。

EU加盟国は現在、12月10日の首脳会議を前にトルコに制裁を課すことを真剣に検討しているため、その発表のタイミングは重要だった。エルドアン氏のEUに関する声明が、欧州に対するトルコの外交政策の方向性全体を再調整することを意図したものなのか、それとも単に、国内問題を解決しつつ、いくつかの問題に関して現時点で「見解の相違を認め合う」ことを目的としたものなのかは不明だ。前者の仮定を取るなら、信用できるトルコとEUが、始まる可能性のある新時代に関して最初に話し合う事項は、東地中海問題や、フランスやギリシャとの、問題のある関係になるだろう。EUがトルコと交わした、関税同盟、ビザの自由化、シリア難民に関する取り決めの更新に関する約束を守らなければ、トルコは、これらの問題で譲歩することはないだろう。

トルコ政府とEU、双方が互いに対して懐疑的だ。後者は、前者が改革を行い、新たな外交政策の時代をスタートさせることにおける誠実さについて特に懐疑的だ。よって、これから数日は、トルコが新たな改革の時代が単なる言葉以上のものであることを示す意思があるならば、トルコにとって非常に重要になるだろう。トルコ政府が外交政策を再調整することができれば、決定権はEU側に移ることになり、EUは義務を果たす必要が出てくる。

トルコ政府は、米国のような同盟国との、より強固な協力関係を探し求め、地域・世界的問題を積極的に解決しようとしている。

シネム・センギス

トルコとEUの新時代への期待が高まっていたが、今週、ギリシャ人艦長が率いるドイツのフリゲート艦が、トルコ国旗を掲げた船を、トルコ当局の許可を得ずに、地中海で不法に停船させ、捜索したと伝えられている。メブリュト・チャブシオール外相は、24日の夜遅くに出した声明で、トルコは違法な捜索をめぐって、EUのイリニ作戦に対し、あらゆる分野で必要な措置を講じると述べた。トルコの国家安全保障会議は25日、どのような対応を取るか協議した。

この事件は、現時点で最も非必要とされているものだった。だが、同時に、トルコとギリシャの交渉がなけれは、トルコとEUの関係の進展は起こり得ないことが再び証明された。結局、新たな改革の時代は、トルコ・ギリシャ間の緊張によって人質に取られることになるだろう。トルコとEUの関係が二国間関係であることに加えて、米国の次期政権とその予期される政策が、トルコとEU加盟国のいくつかが接点を見いだすもう一つの理由となるべきだ。

  • シネム・センギスは、トルコと中東の関係を専門とする、トルコの政治アナリスト。Twitter:@SinemCngz
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