![リヤドにあるサウジアラビア証券取引所(Tadawul)のロゴを示す看板の画像(ファイル/ AFP)](https://www.arabnews.jp/wp-content/uploads/2020/12/tadawul-1.jpg)
サウジ証券取引所では、「危機?危機とはなんのことですか?」と聞いても構わない
世界がコロナウイルス流行の経済的影響をうけ、サウジアラビアは特に原油収益の減少という結果への対処に苦戦するなか、王国の株式市場は史上最高の年の1つとなり、新規上場の主要な地域市場となった。そして投資商品の範囲を急速に拡大している。
公平を期すため、サウジ市場は、ウイルスによる影響緩和を目的とした数兆ドル相当の刺激策で金融市場が後押しされるというが世界的傾向に従うのみで、悲惨な経済ニュースをほとんど不問とした。
株式市場が大幅な修正に帰するという予測は実現しなかった。経済ショック、収益と利益の減少、および一般的な不確実性にもかかわらず、企業株式は世界的な流動性現象の恩恵を受け続けた。
リヤドの最大手上場企業の実績を評価するTASIインデックスは、春から年末にかけての大不況から回復し、最終四半期のほとんどで8,000ポイントをはるかに上回った。
急上昇の背後を成す要素は、パンデミックが投資家と経済的優先事項を再整理した手段を反映した。最大利益を上げている分野には、耐久消費財、食品小売、ソフトウェア、サービス、医薬品、ヘルスケアなどがある。人々は、パンデミックのなか、食事をし、買い物をし、健康を維持したいと考えているのだ。
ただし、不動産、銀行、エネルギーなど、インデックスを構成するより重要分野の一部は遅れをとり、他分野による大きな比率増加と比較して、1桁のマイナス実績であった。
しかし、全体的な市場の強度は、サウジ証券取引所での株式上場が適切な時期であると多くの企業を納得させるのに十分だった。もちろん、企業はサウジアラムコの足跡をたどっていた。サウジアラムコは、わずか1年前に、290億ドルの株式公開で、史上最大の新規株式公開(IPO)を実現した。
サウジ市場は、投資の歴史上で最も困難な年の1つを自信と回復力で切り抜けたことで満足を得られた。
フランク・ケイン
このような巨大な新規発行は、サウジ証券取引所から流動性を排出するのではないかという懸念があったが、それは起こらなかった。
実際、2020年にはその逆の事例となった。サウジアラビアの企業は、パンデミックの危機を乗り越える王国の能力を自信を持って支持し、いくつかの大きなヨーロッパ市場に勝り、年間で合計15億ドルを調達した。
おそらく最注目に値する2つは、Dr. Sulaiman Al-Habib Medical Services GroupとBinDawood Holdingの上場だ。Al-Habibのような医療福祉を提供する企業と、BinDawood食料品小売事業のような活必需品へのアクセスを提供する企業は、今年の大きな投資テーマを強調し、市場でのプレミアムがつくだろう。
どちらの上場企業も需要が高く、アフターマーケットで好実績をあげ、来年はさらにIPOが行われる可能性がある。多くの大企業が2021年にサウジ証券取引所での株式売却の意向を示しており、証券取引が今年中に待望のIPOの計画を促進することが期待されている。
サウジ証券取引所の政策担当者による他の大きな進展は、2020年の間に多数の貿易革新を導入したことだった。
取引所は、より熟練した外国人投資家をサウジアラビア株取引に引き付ける戦略の一環として、夏に株式デリバティブの取引を導入した。先物、オプション、スワップなどの商品はすべて、リスクをヘッジし、流動性を高める方法として、通常のグローバル投資家ツールボックスの一部である。
投資界はこの方向への取引所の取り組みを歓迎し、他のアラブ湾岸の投資家を含む外国人保有株式の割合は年間を通じて着実に上昇した。
2021年には多くの課題がある。特に、サウジアラビアを含む世界の株価評価が歴史的に高い水準に達し、多くのアナリストの間で、何らかの修正が必要だという疑念が長引いている。
しかし、サウジ市場は、投資の歴史上で最も困難な年の1つを自信と回復力で切り抜けたことで満足を得ることができた。