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ネタニヤフ、その存在が再度イスラエル総選挙の重要問題に

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16 Jan 2021 08:01:52 GMT9
16 Jan 2021 08:01:52 GMT9

昨年5月に発足したイスラエルの連立政権は12月22日、主要パートナーであるリクードのベンヤミン・ネタニヤフ首相と青と白グループのベニー・ガンツの間で意見の相違があり、崩壊した。3月23日には、ここ2年で4回目となる新たな選挙が行われる。すべての政党は2月4日までに選挙管理委員会に政党名簿を提出しなければならない。

そもそも連立政権は、主要な2政党間のいくつかの不明瞭な取り決めの産物で成立している。その柱はまずネタニヤフが18ヶ月間首相を務め、その後ガンツに禅譲する道を作ることだった。その合意形成時に、ガンツは重い代償を払っている。2人のパートナーは直後に青と白グループを離党し、ガンツの政治基盤は弱体化した。

イスラエルは2018年末、当時国防相だったアビグドール・リバーマンがネタニヤフ政権を離脱以来、政治的な混乱が続いている。それ以来、3回の選挙では、ネタニヤフを政権から追放するという一つの目的を持った野党との連立政権が誕生した。そのすべてが失敗に終わっている。

最後手段として、現職の首相への重大な挑戦と見られていたのが青と白中道左派連合のベニー・ガンツ元国防軍参謀総長の政界への登場であった。

このグループは2回の選挙で30/35の議席を獲得して健闘したが、組閣することができなかった。

パンデミックの最盛期であった2020年5月の直近の選挙では、結果的に野合連立政権が誕生した。

政府の崩壊は、ガンツの短い政治家としてのキャリアに終止符を打ち、また、イスラエルの政治の舞台での民意の担い手としての青と白にグループも終止符を打った。そしてネタニヤフはイスラエルの無敵の政治の魔術師として残った。

3月の選挙に向けて、右派と中道左派の両方が分裂している。右派勢力には、ネタニヤフの「リクード」の他に、ナフタリ・ベネットの「ユダヤ人の家」とアヴィグドール・リーベルマンの「イスラエル我が家」がある。さらに、これらのグループに、リクードを離れたばかりのギデオン・サアルが立ち上げた「新たな希望」が参加している。右派の非リクードグループはすべて共通のイデオロギーを共有している。それはネタニヤフを追放するという熱烈な欲求である。

中道左派の状況は同じである。既存の3つの政党に、76歳のテルアビブ市長ロン・ヒュルダイが結成したばかりの新党が加わる。彼らもまた、目立ったイデオロギー的な違いはなく、必要が生じた場合には、政党間、あるいはイデオロギー的なラインを越えて容易に連立を形成するだろう。

実際、ネタニヤフの存在がイスラエルの政治の中心的な問題である。彼が直面している贈収賄、詐欺、背任などの容疑により、脆弱な立場にあると見られている。公聴会は2月に予定されているが、彼の弁護士は厳格なロックダウン(都市封鎖)措置が取られていることを理由に延期を求めている。ネタニヤフ自身の優先的関心事は、法廷闘争の間、首相であり続けることだ。

緊迫したキャンペーンは、国の人口の21%を占めるアラブコミュニティの関心を誘引するために、さまざまな政党による努力を奨励している。

イスラエルの選挙状況は現在非常に流動的で、ネタニヤフは重大なチャレンジに直面している。

タルミズ・アフマド

ネタニヤフ自身がこうしたアラブコミュニティ取り込み努力の最前線にいる: 以前の敵対的な反アラブのレトリックを捨て、アラブ人が多く住む2つの町を訪問し、100万人目のコロナウイルスワクチン接種者と一緒に誇らしげに写真撮影を行っている。また、リクードの候補者名簿に載っているアラブ系の候補は大いに可能性があると述べている。

他の政党は、選挙戦を優位に進めるために、アラブ系の候補を名簿の非常に高い位置に置くことを計画している。

アラブコミュニティへのこれまでに無い肩入れは、イスラエルの入植者コミュニティの怒りを買っている。ヨルダン川西岸に800戸の新築住宅を建設することをすぐに承認するようネタニヤフを導いた、彼の中心的な支持基盤を思い出すよう訴えている。

ネタニヤフは、コロナウイルスワクチンを選挙キャンペーンの目玉に据えている。ワクチン接種は12月19日に始まり、ネタニヤフは自ら接種される最初のイスラエル人として、カメラ撮影されている。ネタニヤフ氏は、3月の選挙までにイスラエル国民全員にワクチンを接種する予定であり、競争の激しいグローバル市場で国民のためにワクチンを入手する能力があること、また国民の福祉に対する変わらぬ関心を示そうとしている。 選挙戦では、ネタニヤフは自らをイスラエルの利益の最高の保護者であり、また世界的なリーダーとして自分自身を投影している。

ネタニヤフは、トランプ政権から受けた強力で一貫した後ろ盾の恩恵を確実に受けてきた。例えば、米国大使館のエルサレムへの移転、イスラエルによるゴラン高原とヨルダン川西岸の併合の承認、そして最近では、アメリカ国内でイスラエルのために活動していたユダヤ人の元工作員の釈放などである。アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダンに続くモロッコとの「国交正常化」も、イスラエルにはモロッコ出身のユダヤ人が数十万人おり、祖国とのつながりの回復を喜んでいることから、大きな選挙上の利益になることは間違いないであろう。

1月6日にワシントンで米国の連邦議会議事堂が襲撃される騒動後、ネタニヤフの反対派はすぐにトランプとの結びつきを喧伝してネタニヤフを貶めようと攻勢に出ている。元首相のエフード・バラク氏は1月8日、トランプとネタニヤフが一緒に写っている紹介記事を掲げ、二人の共通点に注意を促した。その4日後、ネタニヤフは自身のツイッターアカウントのバナー写真からトランプを消している。

イスラエルの選挙状況は現在非常に流動的で、ネタニヤフ氏は重大なチャレンジに直面している。ネタニヤフに現状を挽回する策略があるかどうか、全ては約2ヶ月後に明確になる。

  • タルミズ・アフマドは作家であり、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)の元インド大使でもある。インドのプネ市にあるシンビオシス(Symbiosis) 国際大学の国際学部において、ラム・サテ・チェア (Ram Sathe Chair) を保有する。
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