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バイデン氏はフーシ派に対するイランの武器供給に対処すべき

2019年9月14日、サウジアラビアの東部都市アブカイクにあるアラムコの施設に対して無人機攻撃が行われ、空に煙が立ち上っている。(ロイター通信)
2019年9月14日、サウジアラビアの東部都市アブカイクにあるアラムコの施設に対して無人機攻撃が行われ、空に煙が立ち上っている。(ロイター通信)
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05 Feb 2021 07:02:05 GMT9
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バイデン米政権は、包括的共同作業計画(イラン核合意)に復帰し、イランの政権に対する制裁を解除してイランの指導者に見返りを与えるのではなく、イエメンの紛争におけるイランの壊滅的な役割に対処することを優先するべきだ。

イランの政権はイエメンのフーシ派に武器を供給することで国連の武器禁輸措置に違反している。国連の専門家は先週、イランの団体と個人が武器を供給していると非難した。制裁監視者による年次報告書には、「イラン国内の個人や団体が武器や武器の部品をフーシ派に送ることに関与していることを示す証拠が増えている」と書かれている。

この報告書によると、専門家は「伝統的な船(ダウ船)を使ったアラビア海でのフーシ派に対するいくつかの供給ルートを記録した」としている。押収された武器には、イラン製とよく似た対戦車誘導ミサイル、狙撃用ライフル、ロケット弾式グレネードランチャーなどが含まれていた。バイデン政権はこの重要な報告書に関して沈黙を守っている。

国連の専門家がイランの政権とフーシ派およびフーシ派の武器を結びつけたのは、これが初めてではない。専門家パネルは2017年にフーシ派がこのようなミサイルを自力で製造できる可能性は極めて低いと報告した。「専門家パネルが検査した部品の設計、特性、寸法は、イラン製のQiam-1ミサイルについて報告されたものと一致している」と同パネルは報告した。

イランの政権はまた、国連安保理決議2231にも明らかに違反している。決議2231はイランに対し、「核兵器を搭載できるように設計された弾道ミサイルに関連するいかなる活動も行わないこと。そして、そのような弾道ミサイル技術を用いたミサイルの発射を行わないこと」を要求している。

サウジアラビアはこれまでのところ、イランがフーシ派に供給した武器の主な標的となっている。しかし、フーシ派はどの湾岸諸国に対しても弾道ミサイルを発射できるため、イランに地政学的に重要な影響力を与えることができる。イランの大手国営新聞カイハンは、2017年の一面トップの見出しに、「フーシ派はリヤドにミサイルを発射した。次はドバイだ」と書いた。同紙は編集者が最高指導者アリ・ハメネイ氏の側近であり、ハメネイ氏によって任命されている。

イランの政権とその代理勢力は、テロ行為を通じてその攻撃的で冷酷な戦略を示し続けてきた。2017年にフーシ派はアブダビの核施設を標的にした。この行為は多くの民間人の犠牲者を出すことを意図したものと見られている。ミサイル攻撃は幸いにも失敗した。

イランの指導者でさえ フーシ派を支援していることを認めている。影響力のある聖職者Mehdi Tayeb氏は、「フーシ派に対するイランのミサイル供与はイスラム革命防衛隊によって段階的に行われ、イラン海軍の支援と補助を受けていた」と述べている。そして、2015年にさかのぼって、当時のコッズ部隊のエスマイル・ガーニ副司令官は、「イエメンを守る者はイスラム共和国(イラン)の旗の下で訓練を受けている」と述べている。

イランの政権はフーシ派のミサイル技術を進歩させるための取り組みを強化してきた。これは、イランにとってイエメンの紛争が、イランが破壊を誓う湾岸の対立国に対する単なる愚弄以上の意味があるという事実に起因している。イエメンの紛争はむしろ、イスラム世界をイラン独自のイスラム主義の下に統一することを目的としたイデオロギー的な聖戦であり、イランのイスラム主義は和平の試みをプロセスの遅延に過ぎないと常に見なしている。

結局のところ、イランの政権の革命活動は同政権の憲法の一部であり、その前文には「国内外での革命の継続を確実にするために必要な基礎を提供する」と記されている。同憲法は、イランの軍隊とイスラム革命防衛隊は、「国境を守り、維持するだけでなく、今世紀が普遍的な聖なる政府の樹立とその他すべての政府の滅亡を目撃することを目指して、神(シーア派)の法による支配を世界中に広げるというイデオロギー的な使命を果たす責任を負っている」と続けている。

イランの政権とイエメンで活動するイランの代理勢力は、テロ行為を通じて、その攻撃的で冷酷な戦略を示し続けてきた。

マジッド・ラフィザデ博士

イランがフーシ派に絶え間なく武器を提供していることからは、中東全域でイランの訓練を受け、武装した代理勢力の戦術と長期戦略についての重要な見識が得られる。これらの戦略は、不安定化、紛争、暗殺、そしてスンニ派や西側諸国を起源とするあらゆる解決策の拒否という4本の柱に基づいている。イランがこの4本の柱を追求した一例として、イエメンのアリ・アブドラ・サレハ前大統領の暗殺事件がある。2017年、サレハ前大統領が紛争解決を促した2日後、国際社会が3年に及ぶ内戦と解決困難と思われたイエメンの紛争が予想よりもはるかに早く解決しそうだと安堵のため息をついていた時、サレハ前大統領はイランが支援するフーシ派武装組織によって殺害された。

バイデン政権には、反対をよそに武器をフーシ派に供給するイランの指導者に責任を問う義務がある。

  • マジッド・ラフィザデ博士はハーバード大学出身のイラン系アメリカ人政治学者。Twitter @Dr_Rafizadeh
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