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サウジアラビアなどアラブ諸国、イスラエル治安相のアル・アクサ訪問を非難

 2023年5月21日、エルサレムのアル・アクサモスクの中庭を歩くイスラエルのイタマル・ベングビール国家治安相(左)。(AFP)
2023年5月21日、エルサレムのアル・アクサモスクの中庭を歩くイスラエルのイタマル・ベングビール国家治安相(左)。(AFP)
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22 May 2023 12:05:31 GMT9
22 May 2023 12:05:31 GMT9
  • イタマル・ベングビール氏の訪問は「危険なエスカレーション」であるとパレスチナとアラブ諸国の政府が表明

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:21日にイスラエルの極右政治家であるイタマル・ベングビール国家治安相が占領下にあるエルサレムのアル・アクサモスクを訪問し、「挑発的」で「危険」であるとの非難を受けている。

イスラエル政府の閣僚に就任して以来2度目となる今回の同氏の訪問について、イスラム教徒やパレスチナ人の感情や、ハラム・アッシャリーフにおけるイスラムとアラブの主権に対する紛れもない挑戦であるとの非難が起こっている。

主要機関とパレスチナ、イスラム、アラブ諸国の政府や関係者は、この行動と、嘆きの壁の下にあるトンネル内でイスラエルの閣議が行われたことを非難した。

ベングビール氏は21日、アル・アクサモスクの中庭に立ち入り、東側地区とバブ・アル・ラフマ地区で30分間祈りを捧げた。「神殿の丘」管理機関の責任者が同伴した。

同大臣は次のように表明した。「ハマスの脅しに屈して、私たちがこの場所を訪れなくなることはない。私たちは神殿の丘の施設の所有者であり、これは他の人たちではなく私たちに帰属するものであり、そのことが誰にとっても重要だ」

ベンヤミン・ネタニヤフ氏首班のイスラエル内閣は、週1回の定例閣議を嘆きの壁で行った。 

ネタニヤフ首相は次のように表明した。「今日この場所で閣議を行うのは、国連の場で、ユダヤ人はエルサレムとは関係がなく、エルサレム市の東部地区は(パレスチナ)自治政府が治める地域の一部であると発言したアブマゼン(パレスチナのマフムード・アッバース大統領)へのメッセージである。3,000年前」

「エルサレムは私たちの首都だった。ロンドンやワシントンがこの世界に存在するようになる以前からだ」

サウジアラビア外務省はベングビール氏の訪問について、国際的なあらゆる規範・規約に対する目に余る違反であり、世界中のイスラム教徒の感情を逆撫でするものだと強く非難した。

同省は、こうした不当な行為が繰り返されることの影響について、イスラエル軍に全責任があるとした。

ヨルダンはベングビール氏の行動について、「挑発的」かつ「危険で容認できないエスカレーション」であり、「国際法、およびエルサレムとその聖地における歴史的・法的な現状維持に対する、容認できない目に余る違反」であると批判した。

イスラム・ワクフは両政府の見解をそのまま繰り返した上で、そのような行動によってアル・アクサモスクのユダヤ教化という当人の夢や目標が達成されると考えるのは妄想であると表明した。

閣議についても同様に、エルサレム市が有するアラブ・イスラムの歴史と遺産に対する明確かつ組織的な挑発だと表明した。

エルサレムおよびパレスチナ地域の大ムフティーで、アル・アクサモスクの説教師を務めるモハメド・フセイン氏はアラブ・ニュースに対し、閣僚やクネセト議員の侵入によって、このシンボル的な存在の「イスラム教徒だけのためのイスラム教モスク」という従来の法的、宗教的、歴史的地位が変わることはないと述べた。

パレスチナ自治政府の大統領府公式報道官ナビル・アブ・ルデイネ氏は、同大臣の訪問は危険な行動であると指摘し、直ちにイスラエルを制止する行動をとるよう米国に求めた。

イスラエル政府は、過激派によるアル・アクサモスクへの侵入を促進するために100万ドル、地下道の掘削支援と既存のトンネルの保守管理のために460万ドルの予算を割り当てている。

イスラエル政府が週1回の定例閣議を嘆きの壁の地下トンネルで行ったことについて、ハマスのハゼム・カセム報道官は、イスラエルによる宗教戦争のエスカレーションだと述べた。

一方、イスラエル軍は、2005年に軍が撤退させた、ヨルダン川西岸地区北部のホメシュ入植地への入植者の帰還を正式に許可する決定を行った。

3月21日、イスラエルのクネセトは、2005年に撤退したヨルダン川西岸地区の4つの入植地に入植者が帰還することを認め、ヨルダン川西岸地区北部のでたらめな入植地の正当性を高めることになる、分離法を可決した。

同じく21日、ヨルダン渓谷北部のアル・ハンマ地区で、イスラエル人入植者が催涙ガスを噴霧して、羊を放牧していたパレスチナ人牧羊者を襲撃した。

セバスティアのモハメド・アゼム町長は、ヨルダン川西岸地区ナブルス市の北方に位置する由緒ある町セバスティアの遺跡で、イスラエル当局が1000万ドルをかけて最大のユダヤ化プロジェクトを実施する意向だと述べた。

「占領によって町の観光セクターは抹殺され、入植地観光に限定される」と同町長は述べた。「セバスティアでは数十世帯が観光で生計を立てており、経済状況にも影響が及ぶ」

セバスティアはパレスチナ地域におけるローマ人の首都だった。

ヨルダン川西岸地区北部の3つの県ナブルス、トルカレム、ジェニンを結ぶ独特の位置にある。

町はキリスト教の巡礼路に含まれており、エルサレム、ベツレヘム、ヤコブの井戸、ナザレから向かうことができる。

町には、ローマ時代の墓地、預言者ヤヒヤ(洗礼者ヨハネ)の墓と彼のモスク、洗礼者ヨハネ大聖堂、アルカイド宮殿、バシリカ広場、王宮、ヘレニズム塔、アウグストゥス神殿、劇場、石柱街路、スタジアムなど、数十もの遺跡がある。

AFP

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