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バイデンはどのようにシリア危機を解決しようとするだろうか

2020年11月2日、ペンシルベニア州ピッツバーグのハインツ・フィールドで開催されたドライブイン集会で演説するジョー・バイデン(ゲッティ・イメージ)
2020年11月2日、ペンシルベニア州ピッツバーグのハインツ・フィールドで開催されたドライブイン集会で演説するジョー・バイデン(ゲッティ・イメージ)
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09 Feb 2021 08:02:23 GMT9

アメリカのバイデン大統領が先月就任して以来、中東問題を専門にしている政治家やアナリストは、同地域の懸案の問題に関して、同大統領の政策を見極め、同大統領の政策の方向性を評価している。自由な世界のリーダーとして、また世界政治に影響力を与えるアメリカの立場を考慮すると、バイデンの中東政策は、他国の方針に影響を与え、地域や世界の情勢の方向性を形作る上で決定的なものとなるだろう。

10年間も未解決のままとなっているシリア問題は、政治家やアナリストを悩ませている主要問題の一つだ。この問題に対するバイデンの立場は、シリアとこの地域に関する今後の政策や軌跡を導くことになるだろう。これは、シリア危機の巨大で、広範囲に及ぶ影響力が他の絡み合った問題に影響を及ぼし、中東全体の状況をさらに複雑化させ、紛争をエスカレートさせ、地域や世界の平和と安全保障に影響を与えるからである。

危機に関するバイデンの政策が現状、透明性と一貫性に欠ける中、シンクタンクやアナリストの間でも、政治権力の中枢部の中でも、バイデン政権がシリアに関してどのような戦略方針を取るのか、議論が高まっている。というのもこれは、バイデンがまだ政策に関する明確な声明を出していなかったり、危機に対するアプローチの概要を示したりしていないからだ。政権が現在コロナウイルス危機対策などの国内課題を主に優先させながら、同時に国際的な同盟関係を強化し、イランの核開発計画に懸念を表明し、ますます大きくなるロシアの世界的な影響力に対抗する決意を示す中、これはシリアに限った話ではない。

バイデンがシリアに関して取り得るアプローチには2つある。1つは、バラク・オバマの政策を再現するもので、これは、バイデンがこれまでにオバマ政権下で働いていた複数の政府高官を任命したことに基づいている。さらに、バイデン自身も2期にわたってオバマ政権の副大統領を務めていた。

この高官らは、中東全般、特にシリアからの撤退を望んでおり、この地域は宗派間の紛争で危機に陥っていると見ている。オバマ大統領の自伝によれば、この高官らは、アメリカがドローンを使った対テロ戦闘任務を実行することには、何ら問題を感じなかったという。

2つ目に考えられるシリアへのアプローチは、オバマの政策とは異なるもので、バイデンが自身の政権はオバマ政権の延長線上にはないと何度も繰り返していることから、その可能性は高いだろう。また、専門家らも、イラン体制の地域における振舞いに留意せず、イランとの核合意を妥結させようと躍起になったことが原因で生じた、シリアにおけるオバマの過ちをバイデンが繰り返す可能性は低いと見ている。核合意により、イランは、中東の広範囲を不安定化させる影響力を持つ国となり、アメリカを含む地域的・国際的当事者がイランに立ち向かうのは、非常にコストがかかるようになってしまった。

これらの理由から、バイデン政権の対シリア政策は、民主党内の政治改革派の声によって形作られることが予想される。さらに、大統領のより幅広い地域に対する政策アプローチは、ロシアの影響力に対抗すること、イスラエルに確かな一貫した支援を提供すること、テロ組織と戦うこと、アメリカ政府が核合意に復帰する可能性について理解を得ることに焦点が集まるだろう。

第2のアプローチに沿って、バイデンに近い顧問の1人が同氏の大統領に就任前に行った米国国内のシリア人社会に対する発言は、バイデン政権で予想されるシリア政策に光を当てている。同顧問は、アメリカ政府とヨーロッパ各国政府の間でシリア問題について協議・調整した結果、捕虜の解放を含む包括的な政治改革に向けた本当の進展がない限り、シリアの復興には参加を拒否することを、ロシアに説明する意図が次期大統領にはあると、繰り返した。

従って、昨年6月に発効したシーザー法に基づきロシアに課された制裁措置を含め、アサド政権とアサド政権に協力する団体に課された米国の制裁措置は継続することになるだろう。

この戦略は、シリアのバシャール・アサド大統領の悪いイメージを払拭し、世界の大国を説得してシリアの復興に参加させようとするロシアのプロパガンダに対抗する米国の外交努力と並行して、アサドの背中を押して政治的解決へと向かわせることを目指している。

加えて、バイデン政権は、アサド政権によるクルド人地域を標的とした空爆を阻止するために、緊張緩和の動きに対する支持を強調し、シリア北部に米軍を駐留させる計画の概要を打ち出すだろう。バイデン政権は、イドリブ問題を解決するため、トルコとも連携するだろう。

シリア北部に米軍を引き続き駐留させ、体制への制裁を維持することは、バイデンのシリア政策の2本柱になりそうだ。加えて、アメリカはロシアとイランの影響力を制限するだろう。しかし、戦略的資源があり、影響力を有している地域からロシアが手を引くことはなさそうだ。また、イランの体制も武装民兵への支援を終わらせないだろう。

一方、シリアの体制は、最終的には制裁を解除させるために、シーザー法の条件に従うことになるだろう。これには、捕虜の解放、政治改革の実現、難民の帰還の促進、アサド政権の高官を含む戦犯を裁判にかけることなどが含まれる。

バイデン政権の対シリア政策は、民主党内の政治改革派の声によって形作られることが予想される。

ムハンマド・アル=スラミ博士

バイデン政権はまた、シリアとイラクの一部の県で新たなイスラム国の小集団の危険性が高まっていることも認識しており、テロリスト集団に対抗するためにシリアにある程度の軍事部隊を維持することが必要不可欠となるだろう。

加えて、イスラエルに対して確かな一貫した支援を提供するというバイデン政権の公約は、イスラエルがシリアにおける強固な軍事的存在感を確保することを促すだろう。これにより、アメリカ政府は、イランが支援するシリアの民兵を標的にしたイスラエルの空爆を全面的に支援できるようになり、イスラエルの越えてはならない一線を守らせることになるだろう。

このことは、アメリカが満足できるような新たな合意が得られない限り、米国のシリアからの撤退は困難を伴うことを意味している。加えて、米国のシリアからの撤退は、シリア問題における同盟軍であるシリアのクルド人への支援を複雑にするだろう。しかし、シリアのクルド人に対してアメリカが現在行っている支援は、クルド人の敵であるトルコ政府との緊張関係を激化させるかもしれない。

一般的な計算に基づくなら、バイデン政権は、特にイランや、またシリアやその他の地域におけるイランの振舞いに対処する上で、アメリカの前政権よりもはるかに強靭な地域政策を遂行することになるだろうと、私は予想する。

  • ムハンマド・アル=スラミ博士は、国際イラン研究所(Rasanah)所長。ツイッター:@mohalsulami
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