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ラマダンと過越祭 イスラム教徒とユダヤ教徒双方が最近の情勢改善を振り返る機会に

2017年2月19日にニューヨークのタイムズスクエアで行われた、米国人イスラム教徒を支持し、トランプ大統領(当時)の移民政策に抗議する集会の参加者たち。(写真=AP)
2017年2月19日にニューヨークのタイムズスクエアで行われた、米国人イスラム教徒を支持し、トランプ大統領(当時)の移民政策に抗議する集会の参加者たち。(写真=AP)
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27 Mar 2021 01:03:06 GMT9

27日土曜日、世界中のユダヤ教徒たちは、過越祭(パスオーバー)を祝い始める。過越祭は、囚われて奴隷となっていた古代エジプトからのイスラエル人の脱出を記念したもので、先祖の苦難を思い出すために人々はパンを控え、苦い根を食べるのだ。 2週間後には、イスラム教徒たちが1か月にわたるラマダンを始める。ラマダンでは断食が行われると同時に、献身と内省を深める時ともなっている。

これら2つの神聖なお祝いは共に、他者に共感する心を常に中心に据えてきたイベントであり、私たちに、内面の理解と寛大な助力を必要としている人々のことを真剣に考えるよう促してきた。そして今年は特に、過越祭とラマダンは多くの点でかつてないほどにイスラム教徒とユダヤ教徒のつながりを体現している。中東では、イスラエルとイスラム教4カ国の間の最近のアブラハム合意によって、明らかに新たな希望が育まれている。また、米国においても、イスラム教徒とユダヤ教徒が一つにまとまろうとする前例のない考え方が根付きつつあることがはっきりと感じられる。

イスラム教徒とユダヤ教徒は同様に、ドナルド・トランプ前大統領によって課されたイスラム教徒の入国禁止措置(通称「Muslim ban」)の終了に歓喜した。この措置によって、イスラム教徒が多数を占めるいくつかの国々からの旅行者が米国への入国を拒否されていたのだ。この政策を単なる「旅行の禁止」として片付けようとする見えすいた試みも、その明らかな反イスラム性、もしくは米国におけるイスラムおよび外国人への恐怖症の制度化という危険な性格を隠すことはできなかった。

イスラム教徒たち自身を除けば、ユダヤ教徒たちは米国のどの信仰共同体よりも声高に入国禁止措置に反対した。多くのユダヤ教徒が、私がニューヨークのタイムズスクエアで主導した2017年の「今日は私もまたイスラム教徒です」集会を含め、自然発生的または組織的なデモに参加した。ラビたちはトランプの所有地のそばで抗議を行ったとして逮捕され、ユダヤ人防衛機関は海外のイスラム教徒の米国への訪問許可を求めて訴訟を起こした。

この禁止措置により、4年間で数万人の配偶者、子供、祖父母、その他の家族が愛する人たちから引き離されることとなった。さらに多くの人々が、自分たちのコミュニティでの暴力や迫害から逃れようとしていたのに、安全な米国に入国することができなかった。加えて、何百万人もの米国人イスラム教徒にとって、入国禁止措置は、彼ら自身と信仰を同じくする人たちが米国政府に歓迎されておらず、また彼ら自身の市民としての基本的権利が危険にさらされている、ということを日常的に思い知らせるものとなったのだ。

入国禁止は、その無神経さと残酷さのすべてにおいて、ユダヤ教徒とイスラム教徒たちが特に過越祭とラマダンの時には心に育むよう教えられている、他者に共感する心とは全く反対のことを具現したものだ。ラマダンの間、イスラム教徒は毎日日の出から日没まで断食を行う。これは総じて、困っている人々の痛みを呼び起こすためであり、困っている人々には、私たちの助力を必要とする難民も含まれているのだ。

過越祭では、ユダヤ教徒も同様に、信仰や民族を問わず抑圧に耐えているすべての人々に共感するように教えられている。聖書の中で、神はユダヤ人に次のように命じられる。「しかし、あなたがたと共にいる寄留の他国人を、あなたがたと同じ国に生れた者のようにし、あなた自身のようにこれを愛さなければならない。あなたがたもかつてエジプトの国で他国人であったからである。」

米国のユダヤ教徒とイスラム教徒にとって、家族や友人と共に過ごす今年の過越祭やラマダンは、両者が共有してきた願いが叶ったことを祝う機会でもあるのだ。

2020年の大統領選挙では、イスラム教・ユダヤ教の両コミュニティの3人に2人以上がジョー・バイデン新大統領に投票した。世論調査と具体的な事例は、統治ビジョンの中核に他者への共感を据えると約束したバイデン候補への投票には、両コミュニティの人々が共有する中心的価値のかなりの部分が原動力となったことを示している。イスラム教徒の入国禁止を撤廃し、その他の厳格な移民制限の方針を転換することで、バイデン大統領は公約を実行した。

先月、アラビア半島その他のイスラム諸国を訪れた際、私は、トランプ前大統領による、イスラエルに対する最大級の支援の後のユダヤ教徒に対する扱いのレベルの低さに困惑している外国の指導者や当局者たちと話す機会を持った。私が彼らに説明したのは、トランプ前大統領のイスラム教徒やアフリカ系アメリカ人、アジア人、ラテン系アメリカ人を含む他のマイノリティグループに対する外国人排斥的で恐怖に基づいた政策を好む傾向は、米国のユダヤ教徒のコミュニティに非常に不快感を与えている、ということだった。過去の歴史は、ユダヤ人が繁栄するためには、開かれた、多元的で民主的な環境が必要であることを教えているのだ。

米国のユダヤ人たちが、シリア難民またはロヒンギャのイスラム教徒や中国のウイグル人たちの窮状のテレビ報道を見るとき、私たちは彼らの映像を聖書における迫害と脱出のイメージを通してだけ捉えるのではない。私たちは、米国を含む世界全体が、ナチスの恐怖から逃れようと必死だったヨーロッパのユダヤ人たちに、恥ずべきことに扉を閉じてしまった1930年代と1940年代の恐怖にも思いを馳せているのだ。今日、世界中のイスラム教徒が苦しんでいるところはどこででも、ユダヤ教徒たちは深い連帯感と決意を持って、沈黙を強いられている、圧力をかけられている、脅迫されている、あるいはもっと悪い状況にある人々のために、声を上げ続けている。

米国のユダヤ教徒とイスラム教徒にとって、家族や友人と共に過ごす今年の過越祭やラマダンは、両者が共有してきた願いが叶ったことを祝う機会でもあるのだ。

ラビ・マーク・シュナイアー

米国は今、民主主義の大原則と人間同士の共感を真に大切にする大統領を持つことができた。自分自身の人生の中で悲劇を体験してきた人間として、バイデンは他の人の痛みを感じ、彼らに慰めを与える特別な能力を持っているのだ。

バイデン大統領は、トランプ前大統領と彼の義理の息子でもあるジャレッド・クシュナー氏によるアブラハム合意の成功に基づいて、彼ならではの深い共感力を発揮しながら、イスラエルとパレスチナの間の平和交渉を推進していくだろうと、私は確信している。中東情勢に多くの希望があり、イスラム教徒とユダヤ教徒が寛容と理解に基づく新しい関係を築きつつある明確な兆しがある中で、イスラエルとパレスチナの紛争は依然として、私たちが対処し克服しなければならない地域の課題であり続けている。バイデン大統領も、イスラエルとパレスチナの和解が、イスラム教徒とユダヤ人が世界的に協力することの無限の可能性を活かしていくために欠かせない条件であることを理解している。

私たちはイスラム教徒とユダヤ人の全体がパートナーシップを育てるところまでは来ていないが、米国におけるイスラム教徒とユダヤ教徒の2つのコミュニティについて言えば、かなりの前進をしてきたと思う。今年の過越祭とラマダンで、ユダヤ教徒とイスラム教徒が共に、人間のあらゆる多様性において、他者の苦しみを理解し、内面化するという取り組みを改めて強めていくことを、私は願ってやまない。私たちは信仰を持つ者としての義務を果たし続け、困っている人々には慰めと居場所を与え、兄弟姉妹たちの真の番人としての役割を果たしていかなければならない。

  • ラビ(ユダヤ教の指導者)・マーク・シュナイアーは、民族理解のための財団の会長を務めている。著作にイマーム・シャムシ・アリとの共著 Sons Of Abraham: A Candid Conversation about the Issues That Divide and Unite Jews and Muslims アブラハムの息子たち:ユダヤ教徒とイスラム教徒を分断または一つにする諸問題についての率直な会話)がある。 
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