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インフレ、FRB議事録、GCC諸国が受ける影響

連邦準備制度ビル、ワシントンDC、2021年3月19日。連邦準備制度理事会の幹部によると、新型コロナ感染症による深刻な景気悪化からアメリカ経済が回復するには時間がかかるという。(AFP / オリヴィエ・ドゥリエリー)
連邦準備制度ビル、ワシントンDC、2021年3月19日。連邦準備制度理事会の幹部によると、新型コロナ感染症による深刻な景気悪化からアメリカ経済が回復するには時間がかかるという。(AFP / オリヴィエ・ドゥリエリー)
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21 May 2021 06:05:01 GMT9
コーネリア・メイヤー
21 May 2021 06:05:01 GMT9

コーネリア・マイヤー

エコノミストたちが昨今よく口にする言葉が「インフレ」だ。先週、アメリカの消費者物価指数は4.2%上昇、生産者物価指数は6.2%上昇した。インフレが一時的なものか、長期にわたり継続するのかというのは皆が考えることだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は19日に、コロナ禍以降初の議事録を公開した。各地区の連連邦準備銀行総裁の一部が資産購入の減速を検討していることが示されている。議事録公開により、債券利回りとドル相場に即座に影響が出て、上昇した。同日の早い段階で4か月ぶりの高値を付けていた金相場が、発表直後に下落した。

ヨーロッパでは、EUの生産水準がコロナ禍前の段階にまだ回復していないにもかかわらず、ドイツの生産者物価指数が2011年以来の大幅な伸び率となった。欧州中央銀行(ECB)は、現在のインフレ圧力が一時的なものであり、現行の金融緩和政策を維持すると断言している。

インフレ圧力があるのは否定できない。石油価格は年初から30%近く上昇しており、鉄鉱石や銅などの他の一次産品価格も生産者・消費者物価の両方に上昇圧力をかけている。

世界のサプライチェーンは混乱しており、需要が回復するにつれて企業は原材料を買いだめしており、半導体は世界的に不足している。海上コンテナも不足している一方で、トラックや鉄道などの陸上輸送は苦境に立たされている。これらすべてが重なって価格上昇圧力となった。売上高世界一の海運企業「A.P. モラー・マースク」は、輸送費が下がるペースは非常に緩やかとみている。

では、各国中央銀行と一般市民は現在の状況にどう対処すべきなのだろうか。一つには、インフレが一時的なものなのか、今後も続くのかが非常に重要だ。特にアメリカでは、非常に慎重ながらも超金融緩和政策の縮小に関する議論が始まったようだ。

湾岸協力会議(GCC)諸国の経済見通しは、石油・ガス・石油化学製品を消費する世界経済に左右される。物流・航空会社・観光業も、UAEやサウジアラビアなど国では、ますます大きな役割を果たすようになっている。したがって、欧米諸国のインフレの行方が中央銀行の政策にどう影響するかは、湾岸アラブ諸国にも影響を与える。

コーネリア・マイヤー

インフレが恒久的であるか一時的なものかは、賃金インフレが起こるか否かに大きく左右されるが、これを評価するのは容易でない。失業率は依然としてコロナ禍以前の水準を上回っており、しばらく好転する様子はない。

ただし、労働市場の特定部門では有資格者の数が不足している。建設、工学、ソフトウェア開発、デジタル化、脱炭素化、医療の分野では、資格を持つ人員が不足している。したがって他の部門の失業率がコロナ禍以前の水準を上回るとしても、当該部門では賃金が上昇することになる。他の分野では、移動制限が解除されない限り、労働力と人手が必要な場所が一致しない可能性もある。ヨーロッパの農業部門がそうで、食料価格のインフレにつながることになる。

上記で述べた現象はインフレ促進効果があり、最終的には中央銀行が金融緩和政策を縮小するかどうか、または縮小する時期を探る手掛かりになりそうだ。ヨーロッパでは金融緩和の縮小は当分先の話になりそうだが、今回のFRB議事録から判断すると、アメリカでは議論が進んでいるようだ。

これは新興国市場にとって非常に重要となる。FRBが金融政策を引き締めると、さらに緊縮的な金融政策を取らざるを得ない国の通貨は上昇する。2013年にFRBが量的緩和策の縮小を示唆したことで、金融市場に大きな波乱を巻き起こした「バーナンキ・ショック」を忘れた人はいない。これにより、新興国市場に深刻な悪影響が出たからだ。湾岸協力会議(GCC)諸国の株式市場は、MSCI新興国市場株価指数に含まれており、アメリカの金融政策変更により影響を受けるとみられる。それでも、サウジアラビアやUAEのようなドルペッグ制(自国通貨の為替レートがドルと固定されている)の国であれば、ドル高の影響はさほど深刻にならないだろう。

OPECプラスが産出量を上手に調整したことに加え、インフレ圧力により石油価格が上昇し、GCC諸国の経済と政府予算に好影響が出た。その一方でGCC諸国の経済見通しは、石油・ガス・石油化学製品を消費する世界経済に左右される。物流・航空会社・観光業も、UAEやサウジアラビアなど国では、ますます大きな役割を果たすようになっている。したがって、欧米諸国のインフレの行方が中央銀行の政策にどう影響するかは、湾岸アラブ諸国にも影響を与える。

  • コーネリア・マイヤーは、投資銀行業界で30年の経験を持つエコノミスト(博士号を持つ)。経営コンサルティングファーム「Meyer Resources」の会長兼CEOを務めている。Twitter: @MeyerResources
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