木曜日の夜にドバイでオープニングセレモニーが開催された大規模イベント「2020年ドバイ国際博覧会」は金曜日に開幕し、今後6カ月間、200以上のパビリオンが世界各国からの来場者を迎え入れる。

このイベントは画期的な技術革新や人類が直面している課題を取り上げ、また1日60以上のライブイベントで来場者を魅了する。そして、各国が自国の文化、料理、芸術、旅を紹介する場になるだろう。このイベントは新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが始まって以来、最大規模の集会で人々を鼓舞し、様々な体験を提供し、楽しませる。2020年ドバイ国際博覧会は、世界の国々に最悪の事態は確実に去ったことを実感させる。それは希望の光となるだろう。

しかし、2020年ドバイ国際博覧会は、単に世界最大規模のショーというだけではない。博覧会はまた、世界的なソフトパワーとしてのUAEの役割を示し、確固たるものにしている。

ここ数年、UAEは外交政策の方向性を戦略的に変化させてきたが、それはそのままソフトパワーの向上につながった。それを示す例として、2020年ドバイ国際博覧会以上のものはないだろう。イノベーションとインスピレーションによって国と国を結びつけ、橋を架けるこの博覧会は、UAEを象徴する魅力的なソフトパワーの縮図である。

米国の国際政治学者ジョセフ・ナイ氏の言葉を借りれば、国際関係においては、各国がソフトパワーを使い、武力や強制を伴わずに相手を説得し、相手の長期的な態度や好みを形成することができると私たちは学んでいる。実際米国は、商業企業、大学、ハリウッド、文化、価値観などを通じてソフトパワーを発揮し、それに成功している、この仮説の支持者と言えるだろう。

UAEのように、地域の新勢力、あるいは「リトル・スパルタ」とアナリストに呼ばれることの多い国にとって、ソフトパワーという言葉はさらに一歩進んだものである。何十年もの間、国際的な対外援助がソフトパワー政策の代表的な戦略であったが、今日ではいくつかの、同様に重要な要素で構成されている。UAEは古くから観光と貿易の拠点であり、エミレーツ航空やジュメイラ・グループなどの国際的なブランドの本拠地でもあったが、現在ではテクノロジー、科学、スタートアップのリーダーとしても頭角を現している。他国が音楽や郷土料理、ソープオペラを輸出しているのに対し、UAEはアイデアやイノベーション、ベストプラクティスを輸出している。

UAEは古くから観光と貿易の拠点であったが、現在ではテクノロジー、科学、スタートアップのリーダーとしても頭角を現している。

アスマ・I・アブドゥルマリク

50歳を目前にした若い国家であるUAEは、世界的に重要なソフトパワーとなることに成功した。アラブの若者だけでなく、多くの人々を魅了し続けており、第12回アラブ青少年調査によると、9年連続で住みたい国のトップとなり、アメリカやカナダをも上回っている。また、年齢や国籍を問わず、この国で働く、あるいは単に住むことを選択した外国人にとって、この国はモデル国家として浮上している。UAEは居住に関する法律やプログラムを刷新、外国人の才能や、医師、エンジニア、学生、芸術家、科学者などの優秀な人材とその家族を惹きつけるための国際的なキャンペーンを展開している。UAEはこの国を、居住者が暮らし続け、そして引退し、繁栄する故郷にするという、長期的なビジョンを進めている。

また、パンデミックの際には多くの人が、UAEからの人口流出があるだろうと予測していたが、実際には富裕層の移住先として最も好まれる国の一つであり続けている。過去20年間、UAEは世界で最も多くの富裕層が移住してきた国のひとつである。最新のワールド・ウェルス・レポートでは、2000年から2020年の間に35,000人以上の富裕層がUAEに移住したと推定している。これらの個人の多くは、インド、中東、アフリカからの移住者である。

2020年ドバイ国際博覧会は、都市の中に造られた世界であり、UAEが同盟、パートナーシップ、創造性を通じてソフトパワーをどのようにモデル化するかを示すものである。気候変動、エネルギー、サスティナブルな開発など、世界で最も困難な問題を解決するための中心的な役割を果たしている。博覧会は、UAEのコア・バリューである、寛容と共存を体現している。2020年ドバイ国際博覧会では、数え切れないほどの技術的進歩と、人生を変えるようなイノベーションが披露される。空の旅の未来、ヘルスケアの挑戦、人類に貢献するためのAIのあり方などを探求、そして偉大なスティーブン・ホーキング博士に触発されたパビリオンも開催される。

このイベントのビジョンは、心をつなぎ、未来を創造することでより良い世界を築くことであり、それはUAEのダイナミックなソフトパワーのビジョンをそのまま反映している。

• アスマ・I・アブドゥルマリク氏

ツイッター： @Asmaimalik