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米国はイランに代理勢力が犯した暴力の代償を確実に支払わせるべきである

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18 Nov 2021 09:11:04 GMT9
18 Nov 2021 09:11:04 GMT9

バイデン政権は米国が以前シリアで犯した過ちをイラクで繰り返している。オバマ政権下でイラン政府と核合意を結んだ際、米国政府はシリア内のイラン勢力を確認しなかった。その結果イランはシリアに混乱をもたらした。先週はイラクのムスタファ・アル・カディミ首相に対する暗殺未遂事件が起きた。米国務省はこの攻撃を非難したが、何らかのグループに実行の責任を負わせることはしなかった。このことは、イラク内部でのイランの危険な行動をさらに招くこととなるだろう。

イランはアラブ・イスラム世界全域にテロを広めている国だ。論理的に、そのような悪質な行為を犯したのはイランなのである。重要な問いはこうだ。米国の情報機関はイランが犯人だということを知っていたのか? そして、もし知っていたなら、なぜイラン政府が有罪だと宣言しないのか?

イランが暗殺未遂事件の首謀者である確率は高い。次の事実がその理由である。イランが支配下に置こうとしている国では傘下の民兵が高度な能力を持つに至っており、武装ドローンを使った殺人攻撃を実行可能なのである。イランは、この攻撃を非難することによって、またもや嘘をついていたことを証明した。

皮肉なことに、米国民が常識を持っていることをジョー・バイデン大統領は理解していない。私が今回のニュースを聞いたとき、友人から次のように言われた。「ほらね、イラクのこととなると、バイデン氏と(ドナルド)トランプ氏は正反対だ。バイデン氏はイランの擁護者になって、イラン政府のために出来る限りの言い訳を出してくるだろうね。イラン政府は攻撃には関与していない、と言うわけだ。トランプ氏だったら逆に、ガーセム・ソレイマニ氏やアブ・マフディ・アル・ムハンディス氏のような、攻撃の背後にいる人物を探しただろうね。そして迅速に断固として叩いただろうね」

バイデン政権はイラクでどういう政治的変化が起きているのかを理解しようとはしていないようだ。それがバイデン政権が抱えている問題なのである。基本的に、2つの重要な流れが互いに平行して進展中だ。1つ目は、先月の選挙の結果、親イラン民兵のものとなっていたイラク議会の議席数が48から19議席へと縮小したこと。2つ目は、アル・カディミ氏は選挙に出馬しなかったこと。その結果、アル・カディミ氏は自身の政治的立場を強化することができた。自分は無党派であり、イラクを統一して国内の様々な政治的色彩の中に最小限の合意を確立する力を持った国家的人物なのだというイメージを醸し出した。これによりアル・カディミ氏は、イラクの複数の深刻な問題を解決する方法を見出すことが可能となる。

これはイランにとって非常に厄介なことだ。なぜなら、イラク人をイランの政治的意志の方へ傾けることがイランの主目的だからだ。さらにイラン政府は、お仲間の代理人であるヒズボラを通してレバノンで実行したのと同様の政治的脅迫作戦をイラクで模倣しようとしている。レバノンに政治的な膠着状態が存在すれば、イランの要求が満たされるまでヒズボラがレバノン政府の機能を停止させる。イラクにいる親イラン民兵も同様のことを実行できる。しかしイラクには米軍が駐留しており、そこがイラクとレバノンの違いである。イラク内のイランの軍事力が上昇することになれば、米軍との公然かつ直接的な軍事衝突に向かっていく可能性がある。

バイデン政権はイラクでどういう政治的変化が起きているのかを理解しようとはしていないようだ。

マリア・マーロウフ

まず間違いなく、イラクにいる親イラン民兵はアル・カディミ政権を確実に機能不全にするために政治的混乱の場面を何度も引き起こすだろう。米国は、たとえば石油採掘や精製産業などの、イラクの極めて重要なインフラに対する保護を提供する必要がある。こうした経済的資産はイラクの国民所得の主要な動脈なのだ。これらが破壊されれば、イラクは無一文になってしまう。

暴徒が発生した状況を終わらせるためにイラクの治安部隊の訓練を始めるのも米国にとって賢明なことと言えるだろう。それはイラン民兵の発案物なのであり、イラン政府が演出した国では、そうした暴徒が国家的な麻痺状態を誘導しているのである。また米国政府は、アル・カディミ氏に対する暗殺未遂事件の責任者が誰なのかを決定的に確定するための公正な調査が実施できるよう、イラク当局の取り組みの強化もしなければならない。別の言い方をすれば、イラクでの調査は2020年8月のベイルート港爆発事故の調査のようになってはいけないということである。港爆発事故の調査は恥ずかしく不名誉なことに何度も中止されている。

ナショナル・インタレスト誌にフセイン・アブドゥル・フセイン氏が書いたように、バイデン政権はイラク内部に反イラン連合を作る必要がある。フセイン氏はイラクの地理や人口も重視している。これらがイラク内部においてイランのテロリズムや野望を阻止する要素になっているからだ。

イランが支配しようとしている国々に対応する際、米国にはもう1つジレンマがある。そのようにイランが覇権を持った状態は容認可能だという考え方である。つまり、イランの内政干渉の拡大で抑圧されている国は、そうした侵入行為に対処可能だということである。しかしながら、イランに対する宥和政策は、ただ単にイランによるさらなるテロリズムへと変換されるだけである。

今月ウィーン核交渉の再開が予定されているが、そこでイラン代表団に対し、イラクやシリアやレバノンなどの国家の主権を本当に認めているのか? と問うのがバイデン政権からの公正な質問である。イランは条約や協定、国際的・地域的組織から課されている国際的・地域的な義務を一度も果たしたことがない。

イランが常に広めている考え方は、イランが政治的に干渉している国で起きている暴力は、単なる衝動かあくまでも偶発的なものであって、計画されたものではない、というものである。真実はその逆である。暴力はまさしく、シリアやレバノン、そしてイラク内部にいるイラン人による組織的な政治的企てなのである。バイデン政権はイランに次のように告げることを躊躇してはならない。イラクの首相を殺害しようとしたのはイランであり、このような犯罪のために高い代償を支払うことになるだろう、と。

  • マリア・マーロウフ氏はレバノン人ジャーナリスト、ブロードキャスター、出版者、執筆家である。リヨン大学で政治社会学修士号を取得している。ツイッター: @bilarakib
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