• 日本の安保理議長国就任に伴い、石兼公博国連大使はアラブニュースに対し、安保理内での政治的対立にかかわらず国境を越えた支援決議の更新を目指すと語った
• 国連主要機関の代表者らは、安保理決議を採択できなければ、何百万人ものシリア人にとって「破滅的」な結果をもたらすだろうと警告した

エファレム・コッセイフィ

ニューヨーク市：国境を越えてシリアへの支援物資を届ける国連の仕組みは、弱体化しつつある中、9日月曜日に期限切れが迫っており、国連安保理は更新決議案の投票を行う予定である。

外交官らは、シリア政権の同盟国であるロシアが拒否権を行使して、国連が支援するシリアへの玄関口として最後に残されたトルコ国境のバブ・アルハワ国境検問所の閉鎖を強要するのではないかと懸念を表明している。

日本は今月、安全保障理事会の輪番議長を務めている。日本政府の国連常駐代表である石兼公博氏は、アラブニュースに対し、更新決議の採択に向けて尽力することを固く決意していると語った。

石兼大使は「集中的な議論」が行われた旨を強調し、特に安保理理事国であるアイルランドとノルウェーは、シリアでの人道的努力に関する交渉および決議案作成を主導する「ペンを握る者」として「多くの作業」を行ったと述べた。

石兼大使は「シリアの人道状況は悪化しています」と語り、特に、反政府勢力が支配する北西部に住む440万人が海外援助を頼みとして生活している状況は憂慮すべきであると付言した。

「現行の越境的人道活動を延長する決議を採択する必要があり、皆それに取り組んでいます」と石兼大使は述べた。

「私はこれが実現することを本当に望んでいます。ただ望んでいるだけでなく、実現させることを固く決意しています。これは非常に多数の人の生死にかかわる問題です。ですからあらゆる政治的対立を離れて進めていかなければなりません。これが、私の決意であり、現在、皆さんにお伝えできることです」

3日火曜日、国連主要機関の代表らは、安全保障理事会の理事国に対し、国境を越えた援助合意の延長を強く求め、安保理決議第2642号を更新しなければ、冬の真っ只中で深刻なコレラの発生が続き、必死に援助を求めているシリア北西部の何百万人もの人々にとって「破滅的」な結果をもたらすことになると警告した。

この声明は、国連人道問題調整事務所、国際移住機関、国連児童基金、世界食糧計画、世界保健機関、国連人口基金、国連難民高等弁務官事務所の代表者が連名で発表したものである。

同声明は、「国連の国境を越えた活動が（なければ）、何百万人もの人々、特に何年にもわたり何回も避難している人々が、食料やシェルター、厳冬期に対する支援、コレラの封じ込めに必要な監視、治療、検査能力、安全な水、そして、ジェンダー的な暴力に対する保護を受けられないことになるでしょう」と述べている。

国連機関の代表者らによれば、昨年、トルコからシリアへ国境を越えて届けられた援助物資は、平均して毎月270万人の人々に届けられたという。

さらに彼らは、「我々はまた、シリア国内の政府支配地域から前線を越えて北西部へと至る支援を強化し、食糧、保健、教育、その他の物資を、必要とする何千人もの人々に届けることができました」と付け加えている。

「我々はこのような物資支援の維持・拡大を固く決意しており、持続的かつ予測可能な人道的支援を、政府支配地域からシリア北西部へと届けられるよう取り計らうことを、すべての関係者に要請します」

支援の効果は証明済であるが、戦線を越えたこのような物資輸送は、その規模および範囲において国境を越えた活動に及ぶことはできず、現在もこれからも「不可欠」であると同声明は付言している。この戦線を超えた支援の仕組みは、シリアの反体制派支配地域に国連援助を直接届けられるようにするため、2014年に創設された。

国際人道法では、ある国家への援助物資の搬入はすべて受け入れ国政府を経由するよう義務付けられている。しかしシリアのバッシャール・アサド大統領が人道支援物資の配送を戦争の武器として利用する戦術をとったため、安保理は、支援物資を直接届けるべく、ヨルダンから1カ所、イラクから1カ所、トルコから2カ所の計4カ所の国境検問所を利用することを承認した。現在開通しているのはバブ・アルハワの1カ所のみである。