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イランの宗教指導者たちは自国の市民を恐るべきである

バリア・アラマディン
09 Dec 2019 12:12:24 GMT9

アラブ系イラン人が多数を占めるマフシャフルをデモ隊が占拠すると、デモ隊を武力で鎮圧するためにイラン革命防衛隊( IRGC )が出動した。恐れおののく市民たちは近隣の湿地帯に避難したが、そこで周りを囲まれて組織的に機関銃を使って虐殺された。マフシャフルにおける犠牲者の数は 130 人であったと推定されている。「威厳のなかったシャーが行わななかった事のうち何をあなた方はしてくれたのか」と街のモハメド・ゴルモルダイ議員はテレビ中継された議会で体制に対して怒鳴ったが、その後他の議員たちに暴行された。

米国政府関係者は最近のイランにおけるデモで千人以上の市民が殺害され数千人が負傷し、あるいは逮捕されたと推測している。 80% の規模で縮小した脆弱な経済と一晩で 200% も値上がりしたガソリン価格に端を発してほぼ国土全域で発生した怒りの抗議に対して、当局は無慈悲な効率性をもって対処した。革命防衛隊と民兵組織バシジの兵士が射殺命令下で全国に派遣され、インターネットの包括的な遮断のおかげで実質的にその責任を問われることもなかった。

しかし、テヘラン政府が自国市民を虐殺している間にも体制は同時に周辺地域における混沌を利用して、サウジアラビアを始めとする周辺国家を威嚇するために数千発ものロケットを輸出していた。敵国の不意を衝き、また今回の破滅的な事態が招いた自国への圧力を和らげるために、イラン政府は近いうちに湾岸諸国を標的に攻撃を仕掛けるつもりである、と西側諸国のベテラン外交官の一人は私に忠告した。今年繰り返された軍事的挑発に対するアメリカと欧州諸国の無反応がイランによるそうした活動方針のリスクを高めている。

最近イランがイラクにある民兵組織の基地に短距離弾道ミサイルを輸出した(イラク南部における配置により多くのサウジアラビアの都市は直接その 600 マイルの射程内におかれる)と諜報機関関係者は報告している。一方でイラン製の高精度ミサイル部品がイエメンに向けた輸送中に押収された。イラン革命防衛隊の顧問アラノール・ノーロラヒは「不幸にも湾岸諸国のいくつかは我が国の敵国の軍事拠点となってしまった。彼らの基地のうちの 21 ヶ所は我が国のミサイルの標的である、と私は言わざるを得ない。 NATO 自身も、イランが持つ 110 ヶ所の基地と発射拠点には1日に 2 万発のミサイルを発射する能力がある、と発表した」と宣言した。イランが前線にあるアラブ諸国を利用して敵国に「毎日」数千発のミサイルを発射すると自慢している事実は、これらの国々をさらに軍事拠点化しようというテヘラン政府の意図を表している。

宗教指導者たちは国内における冷酷な弾圧を通して、すべての敵対者は殺人的な圧力をもって対処される、という意思表示を行った。失業し貧困にあえぐデモ参加者たちは鎮圧され辱められなければならないのだ。悲嘆する遺族たちは、惨殺された家族の遺体を取り戻すにはまず彼らを殺害した銃弾の費用を支払わなければならない、と伝えられた。

この行為はイラクとレバノンに対する国内の反対者にどう対応すべきかの青写真のメッセージでもある。ゴドス部隊司令官のガーセム・ソレイマーニーと最高指導者アリー・ハーメネイーはダマスカス政権による自国民に対する戦いの計画者であった。彼らが罪もない何十万人もの人々の殺害を厭わないのであれば、鎮圧できない民衆の騒乱など無いと考えていても不思議ではない。しかし、現在のシリアにおいてでさえ、絶望した民衆が大量虐殺を行う政権に対して再び蜂起する可能性が取りざたされている。飢餓に苦しむ市民は貨幣の劇的なインフレの結果パンを買う金すらなく、彼らには他に何を食べろというのだろうか。お互いを食べあえばいいのか。

イランの傀儡政権による大量殺人はイラクにおいて民衆の怒りを増大させている。その怒りはイラン大使館や民兵組織の事務所に対する攻撃という形をとって、またハーメネイーやロレイマーニーの肖像を燃やすという行為で現れている。シーア派が多数を占める南部において有力部族のイラク人たちを多数殺害したことによってイランは軽率に「血の争い」を引き起こした、と専門家は警告する。部族は「これをイランおよびその傀儡政権のせいにしている。とても危険な状態であり、テヘラン政府がこれまで経験したことのないものである」と専門家の一人は述べる。

先週、数千の民兵組織アルハシド・アルシャービ兵がバグダッドのタハリール広場に襲来してデモ隊を威圧し多くの人が刺されたと報道され、抗議活動を取り巻く事態はさらに悪い方向へと向かった。その後数日の間、民兵たちはデモ隊に直接発砲し、数十人が殺害された。抗議活動に理解を示して自身の会派を政府から離脱させた政治的指導者ムクタダー・アッ=サドル師の自宅も攻撃を受けた。これを受けて米国は殺戮を命令したとされるハシドの指導者たちに制裁を科した。

レバノンにおける民衆の怒りの蜂起に対してかの国の政府高官が全く無関心であるかのようであることに私はショックを受けた。私が話した勘違いをしている高官の数人はデモ参加者たちを見くびり、ゲブラン・バジル氏が大統領となってすべてはじきに日常に戻ると予言した。騒乱を自身の地位を高めることに利用しようという人気のないバジル氏(デモ参加者によって盗人および寄生虫として非難されている)のような人物による企みは事態を百倍悪い方向に向かわせるだけである。最近大いに取り上げられた負債に苦しむ貧しい人々による 3 件の自殺はこの国の悲惨な状況の原因を追求する議論に火を点けた。

カタールにおける(イラン、トルコ、ロシアおよびイスラエルの代表者高官による)防衛問題カンファレンスに出席した私が信頼する情報源によると、政権と繋がりを持つイランの研究者たちが 5 年間の弾道ミサイルの開発の凍結、イエメンからの撤退、核問題に関する米国の求める主要条件への同意、およびヒズボラの軍事組織から純粋な政治団体への変革という提案を示唆したという。こうした提案を真に受けることはできないが、このことは体制が多いに心配していることを表している。

パレスチナ騒乱の間、イスラエルの軍部は事態を制御するためにそうした殺戮は数カ月ごとに必要であると考え、パレスチナ軍事組織の鎮圧を陰惨にも「芝刈り」と表現した。同様にテヘラン政府は秩序は回復されたと考えているかもしれないが、それは単に「芝を刈っている」に過ぎないのだ。

中流階級でさえも過酷な貧困に苦しんでいるイランの一般市民は自分たちのことを、食べ物や仕事、人生の意義も無いゾンビであると捉えている。

イラクとレバノンにおいても、特にイランがこれらの国々を文明世界に対する誇大妄想的な戦争における前線国家として利用しようとするならば、イラン政府の暴力的な鎮圧は永続的な外国からの様々な干渉の対象となるような不良環境をその国々に作り出す社会的および部族間の過激な反動を生む危険性をはらんでいる。

アラブ人をイランの支配から解放することへの最大の希望は、皮肉にも宗教指導者たちの汚職や残忍性、テロ的行為に立ち向かう打ち負かすことのできないイラン人自身の精神を介したものなのかもしれない。よって、イラン・イスラム共和国存続への最大の脅威はアメリカやイスラエルではなく、自国民たちなのである。

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バリア・アラムディンは受賞歴のある中東およびイギリスのジャーナリスト/キャスターである。彼女は『メディア・サービス・シンジケート』の編集者であり、数々の国家元首をインタビューした経験がある。

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