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成長を促進するためにMENAP地域が取り組むべき3つの事項

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13 Feb 2020 02:02:14 GMT9
13 Feb 2020 02:02:14 GMT9

この地域の経済は岐路に立っている。

パキスタンからモロッコにまたがるMENAP(中東、北アフリカ、アフガニスタン、パキスタン)地域は、世界人口の8.5%を擁している。しかし、私たちは世界のGDPの3.4%しか生み出しておらず、フォーチュン500にリスト入りしたのはたった2社のみだ。2019年の予想成長率はわずか1%であり、地域全体の見通しは低成長またはゼロ成長に留まっている。

私たちは、失業問題や経済的不平等、社会的結束など喫緊の問題を是正しながら、将来を好転させるために迅速に行動する必要がある。

これは、地域全体から政治および産業のトップが集まったダボスの世界経済フォーラム年次総会の、私が参加したパネルディスカッションでの起点だった。

アラブ首長国連邦が長年行ってきたように、この地域で現在最も急速に経済成長しているエジプトなどの国々は、経済構造の再構築の利益を享受している。サウジアラビアなど他の国々も同様のモデルに倣い、広範な改革と官民連携事業を導入している。しかし、MENAP全体を再び軌道に乗せるためには、全市場においてより連携し構造化されたアプローチを促進する協調的努力が求められるだろう。

以下に、公的部門と民間部門がより強力な経済統合を達成するためにどのように連帯できるか、ダボスのパネルで話し合われた3つのポイントを挙げる。

1.域内貿易と域内投資

私たちは規模を有していないので、世界において十分な力を持っていない。市場の分裂は成長を妨げる最大の要因である。

現在、ほとんどの世界的な経済成長は、例えば東南アジア諸国連合やEU、北米自由貿易協定などのブロック内で起こっている。しかし、マジドアルフッタイムがマッキンゼー・アンド・カンパニーをナレッジパートナーとして作成した最近のレポートによれば、MENAP諸国間の貿易は、総貿易の約16%に過ぎない。原油を考慮から外すと、さらにその3分の1未満になる。これは、アジア太平洋地域では52%、ヨーロッパ地域では63%のブロック内貿易の数値とはまったく対照をなしている。

私の共同パネリストでエジプトの国際協力大臣のラニア・アル・マシャット博士は、私たちの地域が非常に不均一であることを指摘した。しかし私は、文化や地理的な近さを始めとする多くの共通点があると強く信じている。

アジアとヨーロッパで見られるのと同等の成長と安定性を推進するには、共通の進歩のマニフェストに共同で取り組む必要がある。そのためには、市場と業界標準を調和させて国境を越えた業務を簡素化し、商品、サービス、資本、人、データの自由な往来を可能にすることが求められるだろう。

経済統合の強化は、唯一かつ最重要なMENAPの成長の原動力になるだろう。同レポートによると、これによって世界的な競争力を増し、人材と投資を誘致することで、地域経済に2,310億ドルがもたらされると予測される。

2.新規および既存のビジネスの規制緩和奨励

これに加え、活発な民間部門を促進し、フォーチュン500入りする企業の数を現在の2社(SABICとエミレーツグループ)から増やす必要がある。

マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、高度な成長を経験している新興市場経済には共通する重要な特徴が1つある。それは、経済の成長軌道を推進する大規模で競争力のある企業の存在だ。

民間部門を育てるということは、有効な規制緩和と、手続きの簡素化を意味する。規制を緩和した場合にのみ、市場の歪みを除去し、イノベーションとより良い競争を促進し、最終的に成長を推進することができる。

これは難しいことではない。例えばサウジアラビアは最近、49カ国に対するビザの手続きを簡素化して、観光産業を後押しした。予想される観光部門への外国直接投資の流入は、現在の配分レベルでのGDPの3%から2030年までに10%へと実質的に増加するだろう。

より多くの官民連携を可能にし、必要に応じて国営企業を民営化することもこのカテゴリーに含まれる。

その過程で、公的資金が解放され、起業活動やスタートアップの資金、教育、インフラなど最も必要とされる場所に向けられることが可能になる。

3.仕事のマッチング

MENAP地域には、有効求人に対して多すぎる数の大卒者がいる。

例えば、中東や北アフリカの若者の失業率は四半世紀以上にわたり世界で最も高い。若者はしばしば仕事を見つけるまでに長い期間をかけており、それが社会や経済に有意義に参加するための能力に影響を与えている。

私のダボスのパネリスト仲間でクレセント石油社CEOのマジド・ジャファル氏は、才能ある人材についての難題を「教育を受ければ受けるほど、就職の可能性が下がる」と要約した。

地域全体で、今後10年間で8000万から1億人の雇用を創出する必要がある。先駆的なエジプトでさえ、現在の数の労働市場への参入者を受け入れていくためには、10年間で約8%の年間成長率が必要である。

そして、雇用の創出は重要だが、適切な人々に適切な仕事を確保することも大切だと私は考える。各国は、現在のスキルの不一致を解消するために教育構造を再編しなくてはいけない。デジタル化が進むにつれて、デジタルに精通した人材の需要が高まるだろう。

ここでの優先事項は再教育であるはずだが、パネリストたちは、人々と仕事をマッチさせるには、「頭脳流出」を増やすのではなく、大卒者たちが地元で必要とされるスキルを身につけられるような大学のコースの再設計も必要だという事実を強調した。

パレスチナ自治政府のムハンマド・イブラヒム・シュタイエ首相が示唆するように、学問コースと職業コースを有するドイツのようなデュアルシステムへの移行も検討する価値があるかもしれない。

もしもではなくいずれ

パネリスト仲間のアブドゥラ・アルスワハ・サウジアラビア通信情報技術大臣は、パネルディスカッションの中で「中東の成長はもはや『もしも』ではなく『いずれ』だ」と言った。

上にまとめた3つの優先事項において進歩を遂げた時には、その「いずれ」はかつてないほどに近づくだろう。

  • アラン・ベジャニはマジドアルフッタイムCEOである

免責事項:この記事における著者の見解は個人のものであり、必ずしもアラブニュースの見解を反映しているものではありません。

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