
サウジアラビアは、同国の「ビジョン2030」に沿った石油依存からの脱却と経済の多様化を目指した投資のために資金を工面するため、財政赤字になろうとしている。
国家予算全体の16.1%を占める教育は、総支出のかなりの部分を占めることになる。それはやはり、間もなく労働力になろうとする若年層を訓練するためにも必要なことだ(サウジアラビア人の58.5%は30歳未満だ)。
2019年の失業率は前年と比べて0.4%減って12.3%になった。
2020年のGDPの成長率は、2.3%と予想されている。サウジアラビアの輸出額のうち最大のシェアを占めるのは、石油からの歳入だ。そうした中、OPECプラス(OPEC加盟国とそれらの10ヵ国の同盟国)が、3月までに170万バレル・パー・デイの石油生産の削減で合意したことは重要な意味を持った。その合意により、石油価格はこれまでのところ1バレル当たり60ドル台半ばで安定して推移してきた。
2019年の予想以上に巨額な財政赤字は、部分的には、2019年の石油価格があまり値上がりしなかったことにより予想以上に低かった石油収入に起因する可能性がある。
今年の予算では、民間部門の開発と民営化が特に強調されている。このことは部分的に、全体の税収が増えないことの説明になっている。
今年の予算では、民間部門の開発と民営化が特に強調されている。このことは部分的に、全体の税収が増えないことの説明になっている。
コーネリア・マイヤー
ほかの注目点は、PIFが、「ビジョン2030」を支えるプロジェクトへの投資において主導的な役割を果たし続けるということだ。
GDP上昇に対する観光の貢献度も、新たな観光ビザプログラムに後押しされて増大するだろう。
最後に、アラムコIPOからの収入も、サウジの経済・社会改革の課題解決を後押しするプロジェクトへの投資を支えるために活用されることになる。
全体としては、この予算は現実的なものであり、「ビジョン2030」で示されているサウジ経済のロードマップとも整合性がとれている。
コーネリア・マイヤーは事業コンサルタント、マクロ経済エコノミスト、エネルギー専門家。ツイッターは@MeyerResources