我々は今や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの3年目に入っている。多くの人々が「もうたくさんだ」と言い、公衆衛生を巡って政治的分断を深めている。しかし感染力の強いオミクロン株で感染者数が急増しており、COVID-19の時代を脱するために必要な変化の大きさに対処を始めるにも、依然として多くのことが必要とされている。
最近の感染増加はパンデミックはまだ終わっていないという注意喚起になっている。2020年1月に最初のデータが公表されたとき、注目を浴びる統計情報が1つあった。最後のコンタクト・トレーシングは2027年に現れるというものだ。この日付は今も、信頼できる国際的な保健機関がCOVID-19パンデミックの終息宣言を出すことができる時期として有効である。
オミクロン株の拡散の特質が労働力の供給源に影響している。検査で陽性となった人を隔離する必要があるからだ。この事は例えば、航空会社の従業員の就業時間や交代スケジュールに影響する。このウイルスが今後数ヶ月や数年でどのように進化するかが、この世界的な危機の結末がどのようなものとなるかを決定づけるだろう。
オミクロン株が引き起こしたウィルスの波が世界中で急上昇を続けており、一定の対策が引き続き必要であることを示す証拠がある。次に何をすればよいかに関しては異なった立場があるが、一歩離れて対立する見解を再考察する態度が必要だ。論争が起きれば起きるほど、予期せぬ影響が長引くこととなる。オリジナルのCOVID-19ウイルスの進化は現在進行中であり、因果関係により真の終息は見えてきていない。
米国ではCOVID-19で80万人以上が死亡しており、1918年のインフルエンザ大流行での同国の推定死亡者の67万5,000人を超えている。現在のパンデミックで貿易が5.3パーセント減少し、2020年のグローバルな経済成長は約3.2パーセント減速した。同時にパンデミック前のレベルと比較して、推定7,500万人が極度の貧困状態に陥り、8,000万人以上が栄養不足となっている。COVID-19と1918年のインフルエンザ大流行は疾病率や死者数という点で別個のものではあるが、感染症の緊急事態の頻度が今後急増することを示唆する証拠がある。
100ヶ国以上がCOVID-19の拡大を遅らせるためにロックダウンを行った。医療システムの逼迫を防ぐために商業や娯楽活動を停止した。現在、全ての国や地域が同様の感染状況に直面しているというわけではないが、検査義務やロックダウンや移動制限は全ての大陸で行われており、貿易の物流への影響は続いている。いくつかの国では人々がまだ回復期にあるときにPCR検査を受けるための行列ができた。これは公衆衛生システムに重大な欠点があることを明白に示している。需要と供給の要因次第ではこういう事態が再び発生する可能性がある。 おそらく一部の観測筋が想定している以上に回復は遅れている。
サプライチェーンの遅れがインフレにつながり、食料やその他の日用必需品が真っ先に急激な価格上昇を起こす。今年の末までに、主要な市場における景気低迷の悪化が、ウイルスの継続と何らかの形で組み合わさって、目の前の課題となるだろう。
COVID-19のパンデミックの終息が遠ざかっていると考えられる理由は2つある。1つ目は、パンデミックで疲れや怒りが溜まり、家族や共同体に悪影響を与えていることである。2つ目は、ウイルスの余波に対処するために地域や国家当局の能力にどのような形で負担が課されているかということだ。例えば職場や交通や労働時間を規程する命令や規則などと言ったことである。「新型コロナウイルスの時代」を共同的な取り組みが求められる世界的な現象として扱うことが当面の間は必要となる。
このウイルスが今後数ヶ月や数年でどのように進化するかが、この世界的な危機の結末がどのようなものとなるかを決定づけるだろう。
テオドール・カラシック博士
この病原体は最終的には(予防接種が済んでいるもののような)よくある風邪の一種に変化していくのだろうか? それともインフルエンザやさらに悪いもののような、より脅威的な新たな変異株に変化するのだろうか? 世界的なワクチン接種の推進で、既に100億回近くの接種が行われており、現代的な医薬品の物流や医療の進歩状況を変えている。しかしこの病原体が今後どのように振る舞うかは不明である。
ワクチン供給や緩和プログラムに対処するために世界的な公的医療がどのように強化されてきているかを考えれば、総じて、パンデミックのタイムラインが重要となってくる。今やシステム全体がパンデミックがいつまで長引くのかに基づいて持ちこたえられるようにする必要性に直面している。今のところは人類がこの病原体を管理しており、その逆ではない。
テオドール・カラシック博士はワシントンDCのGulf State Analyticsで上級顧問を務めている。ツイッター:@tkarasik