高い意識を持って消費を行うことは、私たちの未来に欠かせない。人々は今、自分たちの食べ物が持続可能で有益なバリューチェーンを通じて作られたものであるという保証を得るため、より多くの投資を行っている。

今日、消費者は自分が何を食べ、どのように食べるかをより意識するようになり、社会に配慮した間食や食事がスタンダードになりつつある。したがって食品を購入する際には、責任を持って有益な選択をすることがますます重要になってきている。その一例として、地球と人類両方に恩恵をもたらす方法で栽培した、地元産の持続可能な農産物に対する強いニーズがある。ペプシコではこれを 「ポジティブ・アグリカルチャー」 と呼んでいる。

コミュニティ主導の意識改革や市民主導のイノベーション、それに伴うフードテクノロジーの急速な発展により、世界は消費者の食卓に自主性と選択の自由を与える方向に向かっている。食糧安全保障が世界各国の政府や市民の関心事となるにつれて、フードチェーンの民主化に関する話題が広まった。

より責任ある食を実現する鍵は、レシピを見直し、イノベーションの余地を見出し、残飯の二次利用を最大化することだ。食のシステムをより強靭に、自給自足的に、そして責任あるものにするためにはどうしたらよいかを自問することが肝要だ。

私たちは、地球と人類のために共有価値と成長を生み出すことを目指し、サステナビリティの目標の中心に人的資本を据えるべく全力を注いでいる。結局のところ、我々は根っからの農企業であり、作物の安定的かつ持続的な供給は常に我々のビジネスの核だった。だからこそ、私たちの役割を含め、食糧生態系を変革し再定義する上で、これほど困難でありながらエキサイティングな時はないと考える。

地域の潜在能力を引き出すには、何が可能かを科学的に解明するとともに、料理の芸術性と創造性を高めることが必要だ。企業レベルであれコミュニティーレベルであれ、質の高い製品を調達し、製品の賞味期限を延ばし、責任ある消費を促すためのより良い方法を見つけるために、起業家的な努力をすることがこれまで以上に必要になってきているのだ。

そこで私たちは、持続可能なフードシステムをめぐる対話を活性化するために、「Food for Thought」キャンペーンを立ち上げた。この取り組みを通じて、俳優やインフルエンサー、農家、食品科学者、起業家、農業従事者など、あらゆる立場のステークホルダーに議論に参加してもらい、有意義な変化を促す手助けをしてもらうのだ。

中東には、他の緊急かつ競合する優先事項よりもさらに優先すべき、気候変動の問題に取り組むという困難な課題がある。またエジプトとUAEは、それぞれ11月のCOP27と来年開催のCOP28という連続する気候変動枠組条約締約国会議の開催を控えており、絶好のチャンスでもある。この重要な2つの会議の場を活かし、より広範なサステナビリティの議論をさらに進展させ、地域が持つストーリー性を高め、地域社会主導の素晴らしい活動をいくつか前面に打ち出すことが不可欠だ。

中東のペプシコは、我々のビジネスの根幹をなす大胆な目標をすでに公表しており、これまで順調に進展してきた。しかし、もっと多くのことを行う必要がある。サウジアラビア、UAE、レバノン、ヨルダンでは、回収・リサイクルプログラムを推進しており、2022年には同様の取り組みを他国にも広げたいと考えている。

さらにイノベーションを後押しするため、UAEの気候変動環境省および農業研究プロジェクト「フードテックバレー」と連携し、起業家と協力してグリーンパッケージの開発を行う「中東・北アフリカグリーンハウス・アクセラレータープログラム」を立ち上げた。現在、候補が10社挙がっており、この地域の課題解決を支援する上で、これらの企業がもたらすインパクトに期待している。サウジアラビアでは農家と密接に協力して節水に取り組み、さらにその他の成功事例を導入して、この変革の中心にリジェネラティブ農業を据えようとしている。

我々は中東の歴史に深く根ざしていることを誇りに思っており、意義あるポジティブな変化をもたらすべく全力を尽くしている。これらのキャンペーンは、中東の創造的で情熱的なアイデアにプラットフォームを提供し、行動を起こしてもらうための道しるべとなるはずだ。

• ユージーン・ウィレムセン氏は、ペプシコアフリカ・中東・南アジア最高経営責任者（CEO）。