気温は47℃に達し、川は涸れ、この世の終わりのような山火事は人々の生活を破壊する。これは、ヨーロッパの典型的な夏の話に聞こえるだろうか。科学者によれば、もうすぐ実際にそうなるかもしれないという。
現在ヨーロッパを襲っている深刻な熱波と同じくらい悲痛で衝撃的なことは、この40℃台の気温はこれまでの世界記録を更新してさえいないということだ。今年の7月は記録的に暑かった3つの年のうちの1つである。そして、これはまだ始まりに過ぎない。
ヨーロッパの灼熱の夏は私たちの世界がいかに相互に結びついているかを思い起こさせるものである。この猛暑は、何千キロも離れた場所で起こった出来事の結果として起こったものだった。トロピカルストーム(発達した熱帯低気圧)・アレックスや、北半球の夏の強烈な日差し、そしてユーラシア大陸からの2つのジェット気流。これらの現象は、もはや1世代に1度のことではなく、気候変動により、より頻繁に、より激しくなっていくだろう。
このような異常気象は、大胆な対策を講じない限りすべての国で発生することになるのは確実である。私が所属する国際NGOのワイルドライフ・アライアンスは、大胆な活動を起こすことに慣れている。1995年に開始して以降、私たちは北極圏のツンドラから熱帯雨林まで、地球上で最も重要な生態系を保護するために各国政府と協力し始めた。
カンボジアでは、その昔クメール・ルージュの拠点であり、大規模な違法伐採の温床であったカルダモン山脈の熱帯雨林の景観において、約150万ヘクタールの熱帯雨林の保護という、かつては想像もできなかったことを実現するために長い道のりを歩んできた。
直接的な森林保護におけるワイルドライフ・アライアンスの野心的なモデルは、人と地球にとって双方に利益をもたらす関係である。地球温暖化は抑制され、カルダモン山脈に住む何千人もの人々の生活の質は向上している。ここでは、森林が年間を通じて水を供給するなどの生態系サービスを提供し、その結果、水力発電による電力供給が可能になる。
欧米では異常気象の影響が出始めているが、気候危機と闘う責任は全世界にある。
スワンナ・ガントレット博士
幸いなことに、国民の生活を向上させるために行動を起こしているのはカンボジア政府だけではない。アラブ諸国でも同様に、大胆な活動によって一般市民の生活が変化している。サウジアラビアでは、石油産業の発展が清潔な飲料水と電気をもたらし、1人当たりの国内総生産が世界銀行の記録開始以来3,500パーセントという驚異的な伸びを記録している。
現在、世界的な気候変動危機は大胆な新しい取り組みを求めている。サウジアラビアの開発・多様化計画「ビジョン2030」は、人と地球の未来を改善するために世界が必要としているリーダーシップを例示している。より多様で持続可能なサウジアラビア経済を創造するという決意は、この国の最大の資産である「人」に対する信頼を表している。
人々の努力によって、変革は可能である。ビジョン2030は大きな期待を抱かせるものであり、なんといっても、政府は国民の生活の質の向上を実現してきたという実績がある。
30年以上の経験を持つ自然保護活動家として、私は現在と将来の世代に恩恵をもたらすであろうサウジアラビアの環境保護計画に大きな期待を寄せている。最近サウジアラビアを訪問した際、今後さらに拡大されると聞いている、確立された中水(家庭や商業、産業で使用済みの水)システムも含め、海水淡水化の規模や都市の廃棄物管理の水準の高さに驚かされた。
さらに、包括的なリサイクルプロジェクトの確立や、あらゆる種類の汚染の削減、砂漠化との戦いなどの計画は、ヨーロッパや私の母国アメリカの政府が注目するべき、崇高で必要な取り組みである。
結局のところ、欧米では極端な気候変動が起き始めているが、気候危機と闘う責任は全世界にあるのだ。この点において、サウジアラビアのビジョン2030は、持続可能な開発に対するムハンマド・ビン・サルマン皇太子の取り組みを示し、全世界が繁栄するための門戸を開く、まさに先駆的な取り組みと言えるだろう。
– スワンナ・ガントレット博士は、ワイルドライフ・アライアンスの創設者兼CEO。世界で最も過酷な環境下にある熱帯雨林と野生動物の保護に生涯を捧げている。
ツイッター:@dr_suwanna