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イスラエルの安全保障関係者、ヨルダン川西岸地区での武力衝突を的確に警告

占領下にあるヨルダン川西側地区で、イスラエルのバスへの攻撃が報告された現場を査察するイスラエル安全保障部隊員。(AFP通信)
占領下にあるヨルダン川西側地区で、イスラエルのバスへの攻撃が報告された現場を査察するイスラエル安全保障部隊員。(AFP通信)
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08 Sep 2022 02:09:21 GMT9
08 Sep 2022 02:09:21 GMT9

オサマ・アル・シャリフ

占領下にあるヨルダン渓谷で4日、3人の武装したパレスチナ人が、イスラエル軍兵士らの乗ったバスを襲撃した。これは、特にイスラエル政府にとっては驚くに当たらない出来事だ。イスラエルの安全保障関係者は、ヨルダン川西岸地区について、一触即発の危険をはらむ地域であると警告し続けている。彼らが話題にしてきたのは、第三次インティファーダ(パレスチナ人による対イスラエル抵抗運動)が起ころうとしている可能性だ。ヨルダン川西岸地区の不安定な治安情勢が、ガザ地区のそれより危険かもしれないと示唆する者もいた。

親族関係にある3人によって行われ、そのうちの1人がイスラエルの身分証明書を携帯していたこの攻撃には、ファタハのアル・アクサ殉教者旅団が犯行声明を出した。だが、新たに実行された「一匹狼」的な攻撃の1つだった可能性が高いと見られている。イスラエルは、疑わしい運動家らを一斉検挙するために数週間にわたってパレスチナの町や難民キャンプへの強制捜索を強化しているにもかかわらず、この種の攻撃を予測し、撃退することができないでいるのだ。強制捜索の多くで、占領への抵抗を理由に若いパレスチナ人運動家らを冷酷に射殺したとしてイスラエル兵が非難されている。

ヨルダン川西岸地区ではこの大虐殺により、今年の初めから女性や子供を含め、140人以上のパレスチナ民間人が暗殺されている。数百人が逮捕され、ほとんどの人々は罪状もなく行政拘禁されている。占領下であらゆる制約が課され、パレスチナ当局が国民を制御できなくなっている中で、イスラエルの安全保障関係者がヨルダン川西岸地区における突発的な武力衝突を警告するのは当然である。新たなインティファーダは、イスラエルとパレスチナの人々にとって悲惨な結果をもたらすだろう。だが、予測される影響の度合いは2国間で同等ではない。

数十年にわたるイスラエルの冷酷な占領は、絶頂期を迎えている。

今回の武力闘争には、一体どんな違いがあるのだろうか。第一に、パレスチナ当局は自国民の実態を把握できていない。それ故、少なくとも理論的にはその支配下で生きている何百万ものパレスチナ人を保護することができないのだ。第二にパレスチナ当局は、長年の政治的停滞から脱却を図ることができないでいる。このことは、歴代のイスラエル政府による入植用建造物の増築、パレスチナ領土の収用強化、そして集団処罰やパレスチナ人住居の取り壊し推進を助長してきた。パレスチナ人が、自国の家や田畑で不法入植者から攻撃を受けるのに当局は見て見ぬふりをしてきたのだ。

第三に、パレスチナ自治政府の影響力が低下してきたことで、ハマスやイスラム聖戦、さらには不安定で服従的なリーダーシップに不満を持った若いファタハ運動家まで、他の派閥が介入を始めている。

イスラエルのいわゆる「芝刈り」政策は、4日の攻撃が強く示すように、結局のところ差引きゼロの結果に終わっているのが現実だ。

オサマ・アル・シャリフ

イスラエルの短絡的かつ残虐な政策が何の責任も問われないまま進行する中、イスラエルの政治家らは激しい選挙運動に専念している。そこで唯一共通するのは、パレスチナとの政治的解決についてただの一言も言及されていない点だ。現在のイスラエルでの戦いが右派と宗教右派、そして極右の間で行われており、パレスチナ国民に自己決定権を与えることにつながる平和的解決を誰も信じていないのは驚くべきことである。

次の、そして将来のイスラエル政府にとって、占領に対するパレスチナ人抵抗運動へ対処する唯一の方法とは、一方的な武力行使なのだ。パレスチナの状況は今、ヨルダン川西岸地区の残りの部分を分割し、パレスチナ都市部を互いから隔離する方向へと少しずつ近づいている。だがイスラエルのいわゆる「芝刈り」政策は、4日の攻撃が強く示すように、結局のところ差引きゼロの結果に終わっているのが現実だ。

わずかな希望の光もなく、何万人もの若いパレスチナ人が闘争という最後の手段に訴えようとしている。これはイスラエルの過ちであり、他の誰のせいでもない。イスラエルの有権者が選挙周期の度に右傾し、極右へと寄り続けているために起こっている事態なのだ。イスラエルの非宗教左派は、開拓者や宗教右派によって内なる敵と見なされている。過激派の人種差別主義者として知られるイスラエルのイタマール・ベン・グヴィル議員に、11月の選挙の世論調査で支持拡大が報じられるようになっているほどだ。グヴィル議員はかつて、過激なイデオロギーを理由に入隊を禁止されていたことがある。ベンヤミン・ネタニヤフ元首相は、イスラエル史上最も過激な連立政権の一つを結成しようとしている。元首相は現在世論調査で先行している。

オープンで大規模なパレスチナ人の移送を求める限界的で孤立した呼びかけは、明白に人種差別的な論調と共に、徐々に政党綱領の主要要素になりつつある。ヨルダン川西岸地区に暮らす300万人近くのパレスチナ人を従属させようというイスラエルの試みは、武力を行使しようと、経済的利益を提供する不均衡な政策を通じて行おうと、短命に終わるだろう。米国や欧州からの最大限の支援も、ヨルダン川西岸地区で蓄積されている怒りと失望の抑制には役立たないだろう。清算の時がゆっくりと、しかし確実に近づいてきている。

第3次インティファーダがもしも勃発すれば、その時イスラエルは、鎮圧のために武力を用いるだろう。しかしガザ地区とは異なり、攻撃用のロケット発射装置はなく、イスラエルのF -15戦闘機が標的を捉えることはない。イスラエルは、世界が許す限り大勢のパレスチナ人を殺すだろう。だが人々の震えはグリーンラインをはるかに超え、イスラエル全土へと伝わるのだ。

多数の犠牲者を出してインティファーダが鎮圧されたとしても、それがイスラエルの抱える難題を解決することはない。中心的課題は引き続き占領にあり、状況は危機的なままに留まるだろう。問題は、パレスチナ人が生き延びるどうかではない。彼らは生き残る。それよりも、余波の中でイスラエルが団結を継続できるかが問われている。

  • オサマ・アル・シャリフ氏はアンマン在住のジャーナリスト、政治コメンテーター。
     
    Twitter@plato010
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