
アラブ連合の指導者たちが今週アルジェで一堂に会した。前回のアラブ連合首脳会議から3年が過ぎており、その間に多くのことが起きた。
北半球に冬が近づく中で、COVID-19の感染が拡大する恐れがある。イエメン、シリア、エチオピア、アフガニスタン、マリ、ソマリアでは武力紛争が続き、他の国でも社会不安が生じている。
ロシアによるウクライナ侵攻は世界規模の大きな影響をもたらした。食糧と燃料供給は減少し、ヨーロッパでも他の地域でも物価が上昇している。エジプトのように、ウクライナ周辺地域から小麦を調達しており、すでに苦境にあった国々にはさらに重圧がのしかかっている。
これに加えて、気候変動の影響もある。深刻さを増す鉄砲水や干ばつ、上昇する気温、地表近くのオゾンによって引き起こされる大気汚染など、気候の変動は科学者たちが予想したよりも早く、大きな影響をもたらしている。気候変動によって、もっとも豊かな国々も影響を受けており、今後もそれは続くであろうが、すでに水や食糧、その他の必須の資源の不足に悩む国々にとって影響は壊滅的なものになるだろう。核の脅威にも人々の関心が向かう中、首脳会議では多くの議論すべき問題があった。
アフマド・アブルゲイト・アラブ連合事務総長が述べたように、中東・北アフリカ地域での紛争を終わらせる時である。アラブ連合の力を結集して、この嵐のような時代にあって互いに助け合わなければならない。平和を仲介し、互いに戦うのを止め、次の数年間をどのようにもっとも上手く乗り切るかに集中し、それぞれの国が持つ技術を出し合うことがどうしても必要なのだ。結局のところ、もしそれぞれの国とその経済を強め、世界での我々の地位を高めるために使われるのでなければ、連合の存在意義とは何だろうか。
全体として、首脳会議の大部分は平和の発展のための方策を議論することに捧げられたようである。
バシャイア・アル・マジェド
上に挙げたような問題によって、アラブ世界で1億4,100万人が食糧不足に苦しんでいる。これによって、社会不安や紛争は深刻化し、さらに経済的困難は増すであろう。小麦その他の穀物不足は干ばつや気温の上昇と相まって、今すぐに気候変動の問題に最大限の努力で取り組むことがいかに重要かを痛感させる。
大半のアラブ諸国は、ロシア・ウクライナ戦争への関わりを回避しているが、サウジアラビアは交渉の中立的参加者としての役割を果たすことを提案している。石油増産をめぐってアメリカと意見が対立した結果、産油国で構成されるOPECプラスは減産の方針を維持することを決めた。
地球温暖化と、GDP増大を代替資源によって達成する必要性に照らして、これは前向きに捉えるべきであろう。経済を多様化するプロジェクトにより投資すればするほど、その経済はますます維持可能なものになってゆく。一つの例はサウジアラビアとUAEで発展し始めたエコツーリズムである。経済面でよりサスティナブルであるだけでなく、これらのプロジェクトはいまだ発展途上の最新のグリーンエネルギーに投資し、サンゴ礁その他の繊細な生態系の研究と保全を行い、女性たちに教育および工学、建築、起業、リーダーシップといった重要分野で活躍する機会を与えることになる。
サミットでは、クウェートのシェイク・ミシュアル・アル・アフマド・アル・ジャーベル・アッ・サバーハ皇太子が平和を呼びかけ、対立するアラブ連合加盟国間の和解への方策を求めた。クウェートはまた、不安定化と恐怖をもたらすだけでなく、潜在的投資家の中東地域への信頼を削ぐテロと過激思想にも取り組んでいる。クウェートはフーシ派によるイエメンの給油港に対する攻撃を強く非難し、国際社会に平和で外交的な解決に向けた支援を呼びかけた。
エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は中東・北アフリカ地域におけるテロリストと武装派組織がアラブ世界全体の力を弱めているという点に同意した上で、それらの組織を排除すると同時により良い地方自治制度と立法府を構築し、人権と平等な市民権を尊重することが、全体としてのより強力な統一アラブ世界を築くことにつながると述べた。
全体として、首脳会議の大部分は平和の発展のための方策を議論することに捧げられたようである。安全保障と安定した食糧供給という、基本的で必須の必要が保証されるまでは、これ以上の達成はほぼ望めない。アラブ諸国間の争いを終わらせることが、加盟国すべてに対してより大きな安全の保障となるであろう。そして、必要を共有する、統一された全体として自らを示すことで、国際社会に向けてより力強い我々の姿を発信することになる。その結果世界に我々の声が届き、要求も通りやすくなるだろう。