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パレスチナ国旗の排斥は裏目に出るだろう

エルサレムの同胞への支持を示すためにガザ市で巨大な国旗を掲げて更新するパレスチナのスカウト。(AFP)
エルサレムの同胞への支持を示すためにガザ市で巨大な国旗を掲げて更新するパレスチナのスカウト。(AFP)
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23 Jan 2023 10:01:59 GMT9
23 Jan 2023 10:01:59 GMT9

時として、良識と正義、公正さの真の基準を人々が思い出すために、狂人が現れてとんでもないことを仕出かす必要がある。

イスラエルでは、この基準が首相に復帰したベンヤミン・ネタニヤフ氏の任命した狂信的右派政治家、イタマル・ベングビール国家安全保障相の命令によって明確に示されている。

ベングビール氏はイスラエル警察に対し、国内とイスラエルが軍事的に常時の抑圧によって支配している被占領地域の両方で、非ユダヤ系・ユダヤ系を問わず市民が掲げるパレスチナ国旗をすべて撤去するよう命じた。

パレスチナ国旗の禁止は、パレスチナ人の市民権と人権を抑制するという目標を達成するよりはむしろ、イスラエル国家の抑圧的本質を白日の下にさらすのに役立っただけである。

イスラエルの過激主義者たちが嬉々として圧政を強化していることは、一面では良いことである。というのも、長年イスラエルを擁護してきた人々にとっては平手打ちのような効果をもたらすからである。

世界の数百の国と機関に認知されている旗の掲揚を禁止することは、パレスチナ国家樹立への抵抗を示す以上に、イスラエルの方針への非難の根拠となるだろう。

ベングビール氏によるパレスチナ国旗の禁止はパレスチナの人々とその支援者を黙らせるどころか力づけ、数十年間のイスラエルによる抑圧的政策の下で彼らが心に秘めてきた国家樹立の希望を、再び目覚めさせることになった。

この禁止により、イスラエルは単なるユダヤ人国家ではなく、政策と精神の両面で抑圧的国家なのだと批判することがより容易になった。沈黙を守れば、イスラエルの穏健化を期待できると考えてイスラエル批判を控えていた人々も、これ以上黙っていることはできないと気づいたのだ。

赤、黒、白、緑色をあしらったパレスチナ国旗は現在、世界中でこれまでにない仕方で注目を集めている。人々はこの旗について語り、民主主義国家を名乗るとともに人種差別的政策は行わないというイスラエルの主張に疑問を持ち、その長年の防衛政策の基礎となってきたもの、市民権や人権の侵害に関する批判をはね返してきた嘘とプロパガンダを問い直している。

年来、イスラエルはしばしば頭部をスナイパーに撃ち抜かせてデモ参加者を殺害し、それらの人々が抗議デモの際に感情的になり、暴力行為を呼びかけたという偽りの主張をしてきた。

だが、今回の国旗排斥は、イスラエルのプロパガンダによる自己弁護の信ぴょう性に大きな疑問を投げかけた。

アメリカの資金援助を受けたイスラエルの強大な軍事力よりも強いものの存在を信じるという、パレスチナ市民の基本的人権を象徴する旗の禁止によって市民権を抹殺しようとこれほどの力を注ぐのは、アパルトヘイト的人種差別国家だけであろう。

旗の形を取った1枚の布という非暴力そのもののような存在を踏みにじる行為ほど、抑圧者の失敗をよく象徴するものはない。

レイ・ハナニア

パレスチナ国旗は力強いシンボルであり、ベングビール氏による禁止令はその力をさらに強める結果になった。排斥により、この旗はイスラエル・パレスチナ間で70年以上続いてきた心理戦において強力なメッセージとなり、パレスチナ側に形勢逆転のチャンスを与えることになった。

パレスチナの人々はさらに多くの旗を作り、配布すればよい。パレスチナの旗をすべての家と山の頂上にはためかせて、マーティン・ルーサー・キングJr.牧師のような自由の闘士が掲げた原理を伝える強力なメッセージとしなければならない。キング牧師はアメリカにおける市民権と人権の擁護者であり、彼の死は西側諸国で人種主義と闘い続ける力強い運動を生み出した。

ベングビール氏の暴力的な突撃隊がパレスチナの旗を1つ引き裂き、平和的に抗議するパレスチナ人の手からもぎ取る度に、新たに2つの旗を掲げなければならない。国旗の排斥を突き付けられる、あるいは要請される人が1人出る毎に、新たに5人がパレスチナ人の連帯に加わる決意をするだろう。

パレスチナ国旗は新しく力強い意味を見いだした。長年にわたるイスラエルの現状維持を目指す暴力、残虐行為と抑圧によって忘れ去られたと思われた意味を。

旗の形を取った1枚の布という非暴力そのもののような存在を踏みにじる行為ほど、抑圧者の失敗をよく象徴するものはない。

国旗の禁止は、イスラエル新政権がパレスチナの存在を抹消し、自由と正義、国家樹立を求めるパレスチナ人の声をかき消す試みに失敗したと公に認めているのに等しい。

ある意味で、私たちはベングビール氏に感謝しなければならない。パレスチナの自由のための闘争とは何であるかを、皆に思い起こさせてくれたのだから。氏が弄する醜い、憎悪に満ちた言辞と政策はパレスチナ人の闘志をかき立てる燃料の役割を果たし、パレスチナのみならず世界中で抵抗運動の復活をもたらしている。

すべてのパレスチナ人と、彼らのための平和と正義を支援する人々は家だけでなく、ソーシャルメディア上でもパレスチナの国旗を掲げるべきだ。

ネタニヤフ政権が忌まわしい市民権上の人種差別的政策をパレスチナ人に課そうとすればするほど、より多くのパレスチナ人が、怒りに任せるよりも有意義な方法で反撃する力を見いだすだろう。怒りに任せた場合、抗議活動は暴力的で憎悪に満ちたものになり、パレスチナ解放運動の本質が歪められてしまう。
パレスチナの旗に身を包み、それをイスラエルの醜悪さに立ち向かうための無限の正義の原理として用いるよう呼びかける。一言も発さなくとも、もう十分だ、というメッセージを伝えることができる。
ベングビール氏はパレスチナの自由への誇大妄想的な憎悪の赴くままに、好きなだけ旗を引き裂けばよい。だが、1つ引き裂く度に、市民権と自由を求める歌声とともに、より多くの旗が掲げられ、振られることだろう。

  • レイ・ハナニア氏は受賞歴を持つ元シカゴ市役所の政治レポーター兼コラムニスト。ハナニア氏のウェブサイトはwww.Hanania.comで、
    ツイッターは @RayHanania
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