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イスラエルとの海上境界線合意がレバノンにとって好都合な理由

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22 Sep 2022 05:09:39 GMT9
22 Sep 2022 05:09:39 GMT9

ここ数年、レバノンからは厳しいニュースばかりが伝わってくるが、ここにきて、レバノンの低迷する現状を変えるような朗報が舞い込んできた。イスラエルとレバノンの両国は、海上境界線を定めるための間接協議を何年にもわたって断続的に続けてきたが、米国の仲介による提案がまもなく承認されるかもしれないというシグナルを送ってきたのだ。

月曜日には、レバノンのミシェル・アウン大統領が、レバノン南部の海上境界線を画定するための交渉が、同国の石油とガスの探査権を保証する形で「最終段階」に達したとツイートした。同国の激しく分裂した政治舞台で、ヒズボラの盟友であり、任期満了を目前に控えたアウン大統領は、まず主要な支持者に確認することなしに、このような前向きなツイートを送ることはなかっただろう。

係争中の国境の反対側では、イスラエル政府関係者が、米国の調停役アモス・ホッホシュタイン氏による地中海における国境の正確なルートに関する最近の妥協案が、テルアビブによればレバノン側により傾いているものの、イスラエルが受け入れる可能性があることをほのめかしている。ハアレツ紙によれば、妥協案の焦点は、いわゆる23号線にあり、国境の位置に関するレバノンの要求(もっと南)とイスラエルの要求(もっと北)の中間であるが、レバノンの要求により近いものだとされている。

10年前、レバノンは23号線をイスラエルとの海上境界線として受け入れていた。それ以来、同国は南の海上境界線に29号線を含めるべきだと主張している。イスラエルのカリシュ・ガス田は29号線をまたいでおり、レバノンのカナ・ガス田から数キロの距離にある。この海洋紛争は何十年も続いているが、数年前に東地中海の海域で大量の天然ガスが発見されたことで、係争中の境界線をめぐる領有権の主張が再び強まっている。

イスラエルは今月、カリシュでの掘削を開始すると発表していたが、これに対しヒズボラ指導者のハッサン・ナスラッラー氏は脅迫で応じ、先週にも脅迫を発した。しかし、ナスラッラー氏は脅迫を繰り返す一方で、予想される合意に祝福を与えているように見える。彼の言葉を借りれば、「レバノンには二度とない歴史的なチャンスが目の前にある。経済危機と私たちの生活に対処するために石油と天然ガスを生産する私たち自身のチャンスだ 」と述べた。その後、イスラエルは9月には掘削を開始せず、代わりにパイプラインを準備するだろうと述べた。

皮肉なことに、この2つの海底油田が互いに至近距離にあることは、安定を維持しようとするお互いの熱意を確かなものにするために役立つかもしれない。もしレバノンとイスラエルが23号線の修正案を受け入れれば、両国の国境沿いの緊張した平和を維持することに大きな関心を持つことになるだろう。それだけでも、経済的に困窮しているレバノンにとっては、大きな成果である。

大量の天然ガスの発見により、係争中の境界線をめぐる領有権の主張が再燃

オサマ・アルシャリフ

イスラエルとレバノン両国の立場の変化は、政治的にも経済的にも便宜に基づくものである。レバノンが 「29号線」 の主張に固執したなら、米国は手を引いていただろう。それは双方にとって痛手となる。イスラエルは当分の間、カリシュガス田を開発することはできないかもしれないが、もっと南の他のガス田の開発を続けることはできる。レバノンにとっては、米国が交渉から離脱すれば、何も残らないだろう。

アウン氏もナスラッラー氏も、不満を募らせるレバノン国民に何らかの朗報をもたらす必要がある。5月の選挙以来、ナジーブ・ミカティ臨時首相は新政府を樹立することができず、国家予算も通過させることができないでいる。レバノンの経済問題は深刻で、通貨は暴落し、重要なサービスは崩壊している。

海上境界線合意によって、国際通貨基金や世界銀行との金融救済をめぐる協議が復活する可能性がある。また、重要な次期大統領選挙を前に、ヒズボラに新政府の樹立を認めるよう説得することもできるかもしれない。

もちろん、レバノンが海洋石油・ガスを発見し、掘削し、送り出し、販売するまでの道のりは長く、危険も伴う。月曜日、レバノン政府は、ロシアのノヴァテク社が撤退を発表したのをうけて、2つの石油・ガス鉱区の探査を許可されているコンソーシアムの20%の株式を引き継ぐことに関心があると発表した。ロイター通信によると、2020年に、イタリアとフランスの企業が主導するコンソーシアムは、ベイルートの海岸沖のレバノンの洋上ブロック4で試掘を完了し、商業的に採算の合う量の炭化水素を発見できなかったと発表している。

専門家によれば、今のところ、カリシュ・ガス田とは異なり、カナ・ガス田でも炭化水素の埋蔵量は確認されていない。初期調査では「見込みが高い」とされているが、試掘を行わなければわからない。今のところ試掘は行われていない。

しかし、石油やガスがあろうとなかろうと、イスラエルとの合意は、レバノンが切実に必要としている政治的な打開につながる可能性がある。国際金融機関との交渉が再開され、レバノンの権力者たちの間で妥協への道が開かれる可能性さえある。

また海上境界線について合意されれば、両国間の国境の安定が実現し、今のところ、イスラエルはレバノンの問題の中で些細なものだというメッセージを送ることになるだろう。

オサマ・アルシャリフ氏、アンマンを拠点とするジャーナリスト、政治評論家である。Twitter: @plato010

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