
アラブニュース
【メッカ】サウジアラビアは5日、メッカの「大モスク」およびメディナの「預言者のモスク」を、夜の礼拝イシャーの1時間後に閉鎖し、夜明けの礼拝ファジュルの1時間前に再開すると発表した。
サウジが新型コロナウイルス拡散を防止する最新の予防措置となる。
新型コロナへの不安からサウジは4日に小巡礼(ウムラ)を全面中止としている。また、今回のウムラ中止を受け、大モスク消毒作業のため巡礼者を立ち退かせている。
サウジ当局は今回の徹底消毒作業について、「一時的な予防措置」であるとし、「前代未聞」としている。上層階については引き続き礼拝はおこなわれる、ともした。5日ネット上に公開された動画では、巡礼者がカーバ神殿周辺を巡る区域マタフの閑散としたさまが映った。
ウムラの禁止措置が解かれるまで、カーバ神殿周辺も引き続き閉鎖される。同神殿は、巡礼者が7周し、サアイーと呼ばれるサファおよびマルワの丘を行き来する儀式がおこなわれる。大モスク内での礼拝はおこなわれる。
各モスクへの飲食物の持ち込みは現在禁止されている。また、ザムザムの水を詰めた容器も当面利用できなくなる。
メディナにあり、預言者ムハンマドおよびその2人の教友アブー・バクル・シッディークとウマル・イブン・アル=ハッターブの墓所がある「預言者のモスク」聖廟も礼拝者から遠ざけられる。
[caption id="attachment_10840" align="alignnone" width="670"]サウジはイランに対し、外国人による入出国を適確に記録しなかったため新型コロナの世界的な脅威を増大させたとして非難、その後今回の二聖モスクへの対処を改めた。
先にサウジ保健省は新型コロナに陽性反応を示した5人のサウジ人について報告している。これらはいずれも、イランからバーレーン・クウェート経由で帰国した人たちで、イランにいたことを明かしていなかった。
サウジ政府筋からはイラン政府を難じる声も聞こえる。国内にウイルスが蔓延しているというのに、パスポートへの入国スタンプなしにサウジ国民を入国させたのは無責任な行動だ、としている。
同筋は、感染率の高まりと世界へのウイルス拡散にイランが直接の責任を有する証左だとする。また、こうした行動のため国際社会の公衆衛生に深刻な脅威がもたらされ、世界的なウイルス封じ込めの取り組みが損なわれ、リスクがさらに高まった、ともしている。
同筋はまた、最近イランを訪問したサウジ国民全員に対して衛生上の予防策をはかるため保健省のフリーダイヤル(937)まで申告するよう求めている。現在イラン滞在中のサウジ国民については、帰国次第ただちにそのむねを報告することが求められている。
告知の48時間以内にイラン訪問を自発的に申告した国民については、旅券法および関連規制の適用対象としないと同筋はしている。何より重要なことはイランを訪問した国民およびその家族の健康と安全の確保であり、こうした安全策を利用すれば訴追の危険もないとしている。
同筋はまた、サウジ国民はいかなる理由でもイランへ渡航すべきではなく、これを無視する者は深刻な法的影響を被ることになると繰り返している。また、イラン当局に対しては、2月1日以降違法にイランに入国したサウジ国民の身元を明かすよう求め、さらに、イラン入国を申告せずイラン国内で感染したサウジ人すべてについてもイラン当局が全面的に責任を負う、としている。
新たな展開としては、ベツレヘムでパレスチナ人のホテル従業員7人が新型コロナに陽性反応を示した。このホテルにはギリシャ人観光客が滞在しており、パレスチナ自治政府は2週間の旅行者受け入れ禁止を宣言した。
イタリアはすべての学校を最低10日間閉鎖し、イランでは4月まで教育機関を閉鎖している。米カリフォルニア州は同州初の新型コロナによる死者が出たことを受け非常事態を宣言、また3,500人の乗客を乗せたクルーズ船を同州沖に停泊させている。