
ワシントンDC:米英軍は24日、イエメンで10以上のフーシ派の標的に空爆を実施したと発表した。この地域で船舶への攻撃を続ける親イラン派の武装勢力に対する軍事行動の新たな展開だ。
米国のフーシ派に対する空爆はほぼ毎日おこなわれている。フーシ派はイエメンの人口稠密地域の大部分を支配しており、船舶への攻撃はイスラエルの攻撃を受けるガザ地区のパレスチナ人への連帯を示すものだとしている。
これまでのところ、空爆はフーシ派の攻撃を阻止するには至っておらず、国際貿易は混乱し、海運輸送費の高騰を招いている。
空爆に参加した、または空爆を支援した国々による共同声明によると、軍事行動はイエメンの8カ所に位置する18のフーシ派の標的に対しておこなわれ、標的には地下の武器・ミサイル保管施設、防空システム、レーダー、ヘリコプターなどが含まれた。
ロイド・オースティン米国防長官は、空爆は「イランの支援を受けるフーシ派武装勢力の攻撃能力をさらに阻害し低下させる」ことを目的としたものであると述べた。
「われわれはフーシ派に対し、違法な攻撃をやめなければ報いを受けることを引き続き明確に示していく。かれらの攻撃は中東経済に打撃を与え、環境破壊を引き起こし、イエメンやその他の国々への人道支援物資の輸送を阻害している」と、オースティン長官は警告した。
オーストラリア、バーレーン、カナダ、デンマーク、オランダ、ニュージーランドが空爆を支持している。
フーシ派が運営する主要テレビ局であるアル・マシラTVの24日の報道によると、米英軍は首都サヌアで一連の空爆を実施した。
同局は、匿名のフーシ派軍関係者の発言を引用し、新たな空爆は「ガザ地区のパレスチナ人を支援するイエメンの軍事作戦を妨害しようとする惨めな試み」であるとした。
今週前半、フーシ派は英国所有の貨物船1隻への攻撃と米軍駆逐艦1隻へのドローン攻撃の犯行声明を出すとともに、イスラエルの港湾・リゾート都市エイラトを標的として弾道ミサイルおよびドローン攻撃を実施した。
フーシ派の攻撃により、世界の海上交通の約12%を占める要所であるスエズ運河ルートは寸断され、より長くコストのかかる喜望峰ルートへの切り替えを強いられている。
フーシ派の攻撃による船の沈没や船員の死亡は起こっていないが、2月18日に被弾し、乗員が退避した英国所有の貨物船ルビーマール号について、今後が懸念されている。米軍によれば、ルビーマール号は攻撃を受けた際、4万1000トン以上の肥料を積載しており、紅海に漏洩すれば環境災害を引き起こすおそれがある。
EUは「航行の自由を回復し保障する」ための海軍ミッションを派遣している。
米国もフーシ派の攻撃から商船海運を守るため、同様の合同作戦「繁栄の守護者作戦」を展開している。
ロイター