
アラブニュース
リヤド:米国務省が木曜日に発表した最新の年次人身売買報告書でサウジアラビアのランクが格上げされ、サウジの人身売買への取り組みが効果を上げていることが示された。
この報告書は各国の反人身売買への取り組みの最も包括的な分析として世界的に認められているもので、サウジアラビアのランクは「第3階層」から「第2階層ウォッチリスト」へと引き上げられた。中でも、省庁間の調整の改善、透明性の向上とデータ共有、サウジの人身売買防止法に基づいた起訴および有罪判決の「大幅な増加」が強調された。
この最近の進歩は、主要省庁と当局が結集された多機関組織である全国人身売買対策委員会が率いたもので、国際移住機関、国連薬物犯罪事務所などの国際機関とのパートナーシップにより支援されたものだ。
「今日という日の趣旨は、人身売買の犠牲者および潜在的な犠牲者に敬意を払い、この凶悪犯罪を根絶するという誓約を新たにすることです」と、同委員会会長でサウジアラビア人権委員会会長のアワード・アル・アワードは述べた。
「人身売買対策の強化はサウジが抱える人権改革の課題のなかでも主要な部分であり、私たちはこの取り組みが認識されてきていることを嬉しく思います。女性の権利の進歩、刑罰改革、人身売買対策の改革など幅広い改革が進行中であり、これらは永住か一時居住かに関わらず国内に住むすべての人にとってサウジをより良い場所にすることに真剣に取り組んでいることの現れです」
この1年間、委員会とその提携機関は、人身売買との闘いにおいて多くのことを達成した。ここには、同国初の国家付託機構の立ち上げ、および人身売買関連犯罪の捜査と起訴が含まれる。国家付託機構は、被害者の特定と保護に関するサウジ当局の役割と責任を指定・調整する機関だ。
またサウジは、労働力供給国の当局とともに初となる反人身売買政策に関する円卓会議を開催するとともに、国際基準に準拠したベストプラクティスの採用が徹底されるよう約3,000の人材紹介機関と協力した。
「今年の人身売買報告書におけるサウジのランク改善は、政府が対応の構造を改善するために今年行った協調的な取り組みが認められたことを意味します」と国際移住機関の中東・北アフリカ地域ディレクターのカルメラ・ゴドーは述べた。「国際移住機関は、この取り組みにおける重要なパートナーであることをうれしく思い、今後も近年の勢いにも増して努力していく所存です」
最近のサウジのイニシアチブでもう一つ重要なものとして、刑事裁判所への専門家パネルの導入がある。これにより、人身売買に関与した人々の起訴と処罰をより積極的に追求することが可能となった。また当局は国連薬物犯罪事務所および国際移住機関と協力して人身売買との闘いの最前線にいる作業員のために包括的な訓練プログラムを導入することで、検挙能力の向上に成功した。
「国連薬物犯罪事務所は、サウジアラビアのパートナーとともにこの1年間で達成した大きな改善とすばらしい成果を一緒に祝うことができ、うれしく思います」と、同事務所の湾岸地域担当、ハテム・フアド判事は述べた。
「サウジの具体的な成果は、より大きな改革に向けて国連と堅固なパートナーシップを築いていく強い意志が反映されたものです。COVID-19によるロックダウンにもかかわらず、私たちの共同作業と訓練は加速的なペースで続けられています」
報告書では、サウジアラビアが第2階層に、そして最終的に第1階層に到達するためにまだやるべき仕事があることが明らかになったが、アル・アワードはこれまでと同様、今後も大きな進歩が遂げられると確信している。
「まだまだ改善できる分野があることを私たちは誰よりもわかっていますが、正しい軌道に乗っていることを確信しています」とアル・アワードは述べた。