
シャムス・エル・ムトワリ、ドバイ
ジッダ:サウジアラビアでは現在ハッジが行われているが、新型コロナウイルス感染拡大のために人数を制限して受け入れている。
ハッジはイスラム暦の最終月である12月目に行われる。この期間にイスラム教徒たちは聖なる都市に巡礼するが、まずはカーバ周辺から始まる。地上で最高の聖地とされている場所だ。
カーバはメッカにある神殿で、灰色の石と大理石で作られており、通常はキスワと呼ばれる巨大な黒い布で覆われている。
『クルアーン』にカーバの起源の一端が説明されており、アブラハムとイシュマエルがカーバの再建に重要な役割を果たしたという。
さらにカーバはイスラム教では非常に重要であり、イスラム教徒たちは日々の礼拝をカーバの方向に向いて行うことになっている。
イスラム教徒は一生に少なくとも1度はハッジに参加することが義務付けられている。これはイスラム教の5行のひとつだからだ。他の4行は、信仰告白、礼拝、断食、喜捨だ。
ハッジの初日に巡礼者たちは、神に祈りを捧げて許しを請いながらカーバの周りを7回まわらなければならない。
2日目に巡礼者たちは『ウークフ(アラビア語で「立っている」の意)』を実行する。アラファト山へ登り、日の出から日の入りまでを立ったまま過ごすのだ。
最終日には「投石の儀式」が行われ、石の壁であるジャムラト・アル・アカバに小石を投げ、悪魔に対する抵抗を表明する。
男女共に慎み深い服装が求められるが、特に男性は通常、神の前での平等を象徴する白い衣服を身に着けていることが多い。
ハッジは長らく世界中のイスラム教徒が集う中心地となっているが、近年では日本でもイスラム教が次第に認知されるようになってきた。
これはハラル食が見られたり、イスラム教徒が礼拝に訪れることのできるモスクができたりしていることからも明らかだ。