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冬の訪れ間近のサウジ、インフルエンザ・ワクチンを巡る人々の考えもさまざま

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14 Oct 2020 06:10:39 GMT9
14 Oct 2020 06:10:39 GMT9
  • その症状の類似性から、人々の間でインフルエンザとCOVID-19の区別に関心が向けられている

ハラ・タシュカンディ

リヤド 10月も半ばを迎え、王国全土の気温も下がりつつあることもあって、多くのサウジアラビア人は、コロナウィルスによるパンデミックだけでなく、インフルエンザ・シーズンへの対処についても懸念している。

鼻詰りで不安を感じ始めた人々のため、どのようなときに心配すべきなのか、インフルエンザ・ワクチンについて誰もが知っておくべきこととしてどのようなことがあるのかについて、アラブニュースが医療関係者に話を聞いた。

いくつかの予防接種とは異なり、サウジアラビアではインフルエンザの予防接種は義務づけられていない。しかし、インフルエンザおよび肺炎球菌予防接種科学委員会のガイドラインでは、とくにインフルエンザ・シーズンにおいては、保健医療従事者は毎年予防接種を受けることが推奨されている。それは、ワクチンの組成が毎年変更されるからだ。

また、保健省も保健医療従事者に予防接種を推奨している。

先日の記者会見では、保健省のモハメッド・アル・アブド・アル・アリー広報補佐官が、COVID-19に対する保護効果がなかろうと、インフルエンザ・ワクチンの接種を推奨すると述べている。

「インフルエンザへの感染から身を守ることは、総合的な健康度を高め、コロナウィルスを含めた感染症の罹患に伴うさまざまな健康問題から身体を守ることになる」と言う。

しかし、インフルエンザとCOVID-19は症状が類似していることから、症状が出た場合にどちらかに罹患しているのかをどう見分ければよいのかが気になるところである。

COVID-19との戦いで最前線にいたことがあり、耳鼻咽喉科医で頭頸部外科の研修医であるアブドゥルマリク・イスマイル医師によれば、それがCOVID-19の症状かインフルエンザの症状かを確実に判断する方法はないが、検査を受けるべきかどうかについては「ヒント」があるという。

インフルエンザ・ワクチンで命に関わるアレルギー反応が出ることは稀だが、予防接種では頭痛や発熱、吐き気、筋肉痛などの副作用が出ることがある。(Shutterstock)

 

医師はアラブニュースに対し、「通常の風邪は、喉の痛みや咳、鼻水、くしゃみ、倦怠感を伴います。インフルエンザは同様の症状を呈し、軽くすむこともありますが、高熱や頭痛、全身の痛み、胸部不快感など、より重篤な症状を引き起こすことがあります。また、高齢者や免疫が低下している人など、特定の人においては、肺感染症、つまり肺炎を引き起こすことがあります」と語った。

COVID-19の場合、インフルエンザに似た症状のいくつかは、典型的なインフルエンザよりもはるかに重篤化する可能性があり、そしてそれが一種の判断基準になるのだとイスマイル医師は言う。

「COVID-19の症状は、インフルエンザに似て軽度のものから重度のものまでさまざまです。また、通常の風邪やインフルエンザに比べてはるかに重度の味覚喪失や嗅覚喪失が生じることもあります。もう1つのヒントは、一般に子どもは通常の風邪やインフルエンザにかかりやすいということです。ですが、子供がCOVID-19に感染する可能性は高くありません」

イスマイル医師が言うには、気になる症状がある人、とくにそれが呼吸器系のものである場合には、自己隔離を開始し、自分の体調が悪化しないよう、注意深く監視する必要がある。

「呼吸器症状を発症した人は、他の人から隔離し、公衆衛生上の措置を遵守する必要があります。医療機関の受診が必要と考えられるような憂慮すべき兆候には、症状が重度で持続性があるということや、胸の痛み、息切れ、呼吸困難などがあります」

多くの人にとってとくに心配なことの1つは、インフルエンザとCOVID-19に同時に感染する可能性があるということだ。こうしたことから、普段その習慣がない人々の間でも、今年は予防接種を検討すべきかどうかを問い始める声が出てきた。

イスマイル医師は、COVID-19のワクチンはまだ無理だとしても、予防接種によってインフルエンザから身を守ることができると言う。しかし、予防接種は義務でなく、副作用を嫌う人もいるため、予防接種が自己防衛のための最善の方法なのか、疑問に思う人も多いようだ。

公衆衛生学が専門のハヤ・ゼダン博士は、今年の未曾有の事態を踏まえ、インフルエンザ・ワクチンとその効果について十分な知識を身につけるよう人々に促した。

「公衆衛生学者であり研究者の1人として、今はこれまで以上に、自分や家族の健康にとって最善の選択を、十分な情報に基づいて行う責任があるということに注意しなくてはなりません」とゼダン博士はアラブニュースに語った。「インフルエンザ・ワクチンなどのワクチンやその効果については、科学的に検証された情報源から学ぶ努力をすべきです」

インフルエンザ・ワクチンで命に関わるようなアレルギー反応が出ることは稀だが、予防接種では、頭痛や発熱、吐き気、筋肉痛、腕の注射部位の痛みや発赤といった副作用が出る場合がある。

公衆衛生の専門家であり、2児の母でもあるラニア・ナジランさんは、過去に自分や子供が不快な副作用に苦しんだことがあるため、インフルエンザの予防接種が自分や家族にとって正しいことなのかどうか迷っている。

「考慮すべき要素がたくさんありすぎて」と彼女はアラブニュースに語った。「副作用があるというのはその一部に過ぎません。予防接種でインフルエンザにかかるのを100%防げるわけではなく、大抵は症状を最小限に抑えられるだけだということも知っています。できれば、自分の体を副作用に晒したくありません。むしろ、ビタミン豊富な食事や運動などの自然な方法で免疫力を高めたり、社会的距離をとったりするなど、他のインフルエンザ・シーズンでもとるような対策の方を選びたいです」

しかし、小児科医のヒンド・アシリ医師のような人々にとっては、この現状においてインフルエンザの予防接種を受けることへの優先度は高い。

「今年のインフルエンザ・シーズンは、自分や子供たちを守ってくれる可能性があることであれば何でもすべきです」と彼女はアラブニュースに語った。「私自身、子供が4人いますが、全員がインフルエンザの予防接種を受けています。ありがたいことに副作用は問題ありませんし、このような危険な時期において、一定の保護効果が得られるということがわかっていれば安心して眠ることができます」

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