
ラシード・ハッサン
ジッダ:新たな詐欺の手口が広まっている。銀行員になりすましてサウジアラビアの顧客に電話し、口座に関する情報を要求するというものだ。
アラブニュースの多くのスタッフが、ここ数週間で同様の電話を受けている。発信者の一人はウルドゥー語を話しており、銀行本部の上席を装った他二人は訛った英語とアラビア語で話していた。
発信者は地元の番号と思われる電話番号を使用していたが、折り返し電話をかけても繋がらなかった。
詐欺師たちは顧客の電話番号を入手し、銀行口座やATMカードを直ちに更新する必要があると言って電話をかけてくる。その後、手に入れた情報を利用して銀行口座にアクセスするのだ。
サウジアラビアの銀行の、メディア・銀行意識向上委員会の事務局長であるタラット・ザキ・ハフィズ氏は、アラブニュースの取材に対し、次のように話した。「メディア・銀行意識向上委員会に属するサウジアラビアの銀行は顧客に対し、取引記録や個人情報の更新を求める不審な電話には応じないよう繰り返し警告してきた」と述べた。また、銀行が電話やSMSメッセージを通じてそのような情報を要求することはないことを念押しした。
リヤドにあるキングサウ大学のサイバーセキュリティ専門の教授であるモハメド・クーラム・カーン氏はアラブニュースにこう語った。「今までフィッシング詐欺という、詐欺サイトへのリンクをクリックするよう仕向ける電子メールで、ユーザーを狙うネット詐欺が人々を悩ませていました。今では「ヴィッシング詐欺」と呼ばれる新たな詐欺、つまり電話越しのフィッシング詐欺の手口が生まれ、詐欺師が銀行の職員になりすましてユーザーに銀行情報を提供するよう促しているのです」
通話中に行われるヴィッシングは、相手に恐怖心を抱かせ、個人情報や資産情報、セキュリティ情報を漏らしやすいようにする。
リヤドでeラーニングコンサルタントをしているザファー・ハッサン氏は、自身の経験をこう語った。「知らない携帯番号から電話がかかってきて、その人は銀行員だと名乗り、私のATMカードが停止されると言ってきました。すぐに更新が必要なので、私のイカーマ番号(滞在許可番号)と16桁のATMカード番号を伝えるようにと言われました。何か怪しいと感じたので、自分で銀行に行ってカードを更新すると伝えました」
サウジアラビア中央銀行(SAMA)は、自国民と在留外国人両方の顧客に対し、詐欺被害に遭わないよう警告している。
SAMA は顧客に対し、サウジアラビアの金融・投資に携わる組織の公式チャンネルからのみ情報を得るようにし、不審な電話を受けた際にはしかるべき機関へ連絡するよう求めた。