
ディーマ・アル・フデール
ジェッダ:アメリカは3月8日、サウジアラビアへの空爆未遂に対して、攻撃の打ち上げ地点に関して、アナリストたちの憶測が高まっている中、国際的な非難の先頭に立っていた。
バイデン政権は、エスカレートするサウジアラビア王国への攻撃に危機感を募らせており、王国がイエメンのイランが支援するフーシ派民兵組織と、この地域のその他の場所からの「正真正銘の安全保障上の危機」に晒されている、とホワイトハウスのジェン・サキ報道官が述べた。
サウジアラビア防空軍は、世界最大のオフショア石油積み出し施設、ラスタヌラの石油貯蔵施設と、サウジアラムコ従業員が暮らすダーランの居住施設を狙った3月7日のドローンとミサイルの攻撃を阻止した。
「一般市民や、極めて重要なインフラを狙った凶悪なテロ攻撃が、人命への尊厳を欠いていることは明らかであり、和平実現への努力を度外視しています」と、アメリカの駐サウジアラビア大使が述べた。「アメリカはサウジアラビアと、その国民を支持します。王国と王国の安全を守ろうとする我々の決意は、揺るぎないものです」
湾岸協力会議、アラブ議会、イスラム協力機構や、そしてバーレーン、エジプト、ジブチ、カタール、クウェートの政府報道官たちもまた、こうした攻撃を非難した。
イエメンでのサウジ主導の有志連合軍は8日、王国の南部を狙ってフーシ派民兵組織が発射した弾道ミサイルと武装ドローンを迎撃した。
フーシ派はまた、東部地域への7日の攻撃の犯行声明も出していた。しかし、この標的はイエメン北部から1,300km離れており、フーシ派が所有しているとされるどの弾道ミサイルでも、その最大飛距離では、標的まで到達しない。そして、未遂となったドローン攻撃は、海上から接近して来た。つまり、これはイエメンから打ち上げられたのではないことを示唆している。
サウジの政治アナリスト、ハムダン・アル・シェリ氏は、この攻撃がイランの支援するイラクの民兵組織が行った可能性があると語った。「サウジ主導の連合軍から、フーシ派が最近軍事的な打撃を受けていた後なので、この攻撃でフーシ派は溜飲を下げているでしょう」と、同氏はアラブニュースに語った。「以前の攻撃にしても、明確にイラクからだと判るものがありました」
「サウジアラビアはイラクの内務大臣やその他の関係者と会談を持ち、イラク領土が攻撃のために利用されないようにするという合意に達した。しかし、勿論、イラクという国はイランに開かれている。
イラン政権は、さまざまな場所から空爆を行う能力を持っている、と安全保障アナリストのセオドア・カラシック博士が、アラブニュースに語った。「このような非対称戦争の戦術は、実際は現金を求めて、拿捕した韓国船のようなイランのその他の活動とも一致しています。ミサイルとドローンは、主要な問題として存在し続け、こうした問題を交渉しなければ、イランが絡んでいたのは誤解だったということになる可能性が高いでしょう」と、ワシントンDCのガルフ・ステート・アナリスティックスの上級顧問、カラシック博士が語った。
王国のエネルギーインフラへの7日の攻撃はまた、世界の原油価格にも影響を与えた。世界的な指標となる北海ブレント原油の先物価格は8日、2020年1月以来の最高値となり、1バレル71.38ドルにまで上昇した。その後69ドル弱にまで下落したが、それでも1年以上のうちでまだ最高レベルだ。
クウェートのエネルギー専門家、ハジャジ・ボウ・カドゥール氏は、サウジアラビアのエネルギー産業を脅すことは、世界の石油供給を混乱させようとするイランの意図的な企みだと語った。「イラン政権の戦略は、自らの経済危機を克服するために、代理者を使ってテロ攻撃を実行し、原油価格を上昇させることです」と、同氏はアラブニュースに語った。「国際経済の安定のために、サウジの石油施設とインフラへの攻撃を、世界は強く非難するべきです」
世界のエネルギー担当大臣が集まる最大の国際組織、国際エネルギー・フォーラムのジョセフ・マクモニグル事務局長は、次のように述べた。「世界中のこうした施設があるいかなる場所へのいかなる攻撃も、全世界のエネルギー消費者への攻撃となるのです」