
ラシド・ハッサン
リヤド:在宅勤務を続ける日々も、もうすぐ終わるかも知れない ― コロナウイルスワクチンの接種を従業員に義務付けるサウジアラビア政府の最近の決定は、関係者たちに新型コロナの蔓延を食い止め、多くの人命を救うことになるだろうと評価されている。
在宅勤務をこれからも認めていこうとする企業もあるが、他の企業は労働・社会発展省が7日に発表した公共、民間、非営利の全セクターにおいて職場への出勤にワクチンの接種を義務付けるとの決定に呼応し、従業員の出勤プランの策定を始めている。
今回の決定の手順および日程については、労働・社会発展省が追って発表する。ワクチン接種の義務付けは、新型コロナウイルスの蔓延を食い止めるためのサウジアラビア政府の取り組みの一環である。
ワクチン接種の義務化は職場をより安全にするだろうとの見方を、識者・関係者たちはアラブニュースの取材に対して示している。
「多くの人々がワクチン接種を受けたくない、またはワクチンの安全性を信じていないことは理解しています」と社会問題関する著述家兼アドバイザーであるモナ・アル・ムナジェド博士はアラブニュースに語った。「しかし、感染者の割合は上昇しており、ワクチンはコロナウイルスの蔓延を食い止め、死亡者数を抑える唯一の方法なのです。労働・社会発展省の決定は、コロナウイルスの蔓延を食い止めて国民の安全を保とうとするものです。従業員を感染の危険から守るものなのです。一部のオフィスでは従業員が多すぎ、密状態が感染を引き起こす可能性があります。ですから、ワクチンを接種する必要があるのです。」
リヤドの公共政策研究所の顧問兼法学教授であるオサマ・ガネム・アル・オバイディ博士は、今回の決定は集団免疫を促進し、症例数を減らすだろうと述べた。また、決定により観光や娯楽産業、その他の部門における経済活動の新型コロナ流行前の水準への回復が促進されるだろうと博士は付け加えた。
そうした健康への安心感の回復は、ソーシャルディスタンスの必要がなくなった暁には、社会的な交流を必要とする経済活動の復活を加速させ、人々の生活が正常に戻る力となるでしょう。
オサマ・ガネム・アル・オバイディ博士
「そうした健康への安心感の回復は、ソーシャルディスタンスの必要がなくなった暁には、社会的な交流を必要とする経済活動の復活を加速させ、人々の生活が正常に戻る力となるでしょう」とオバイディ博士はアラブニュースに語った。
「私たちは皆、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、そして最近ではインドなど、多くの先進国や科学技術が発達した国において、新型コロナウイルスとの戦いの中で多数の死亡者、感染者が発生し、また経済的および社会的な損害が生じる悲劇を目の当たりにしてきました。一方サウジアラビアは、他の多くの国が実行できなかった、ワクチン接種をスムーズかつ効率的に実行する接種センターとサービスを組織することで、非常に好ましい形で事態を管理することができました。この成果は、市民と住民の健康を守ろうとする、サウジアラビアの指導者たちの注意と努力によるものです。」
新型コロナの流行の最盛期におけるサウジアラビアの1日あたりの感染者数は約5,000人であった。 昨年3月に流行が始まって以来、425,000人以上が感染しており、これはサウジアラビアの人口3,480万人の約1.2パーセントに相当する。
マンザー・H・シッディーキー博士はインド出身で、キングサウード大学の准教授として働いている。博士は、職場でのワクチン接種の義務化は新型コロナウイルスの蔓延を抑える効果的かつ効率的な方法であり、労働・社会発展省の決定は人命を救い、公共の安全を確保するものだと述べた。
「加えて、すべてのセクターを正しく機能させ続け、心理的な恐怖や不安を軽減する効果も非常に重要です」とシッディーキー博士はアラブニュースの取材に対して語った。
在宅勤務という選択ができない分野、特に仕事の性質上、人々が互いに近距離で接する分野は、今回の決定から特に恩恵を受けるものと見られる。
ワカス・フサイン氏はパキスタン人で、リヤドに建設中の地下鉄、リヤド・メトロのプロジェクトに取り組んでいる。フサイン氏は、ワクチン接種の義務化は個々人の安全、およびその家族の安全もまた保証するものだと語った。
「私の仕事は目まぐるしく忙しく、その性質上、人の行き来が激しいものです」とフサイン氏はアラブニュースに語った。「私達ができるのは、表面を清潔に保ち、よく洗い、マスクをつけたままでいるため努力することだけですが、特に夏が近づき、日中が高温になってくれば、それも毎日実行していくのは大変です。多くの人は変わることなく安全規則に従っていますが、間違いが起きる可能性はつきまとっています。ですが、私は家族とも日常生活で近い距離で接していますから、間違いで感染するわけには行かないのです。職場での人の振る舞いはすぐには変わらないとは思いますが、全員が接種に前向きで、私たちはワクチンにより通常の生活への安全な復帰に向けて一歩前に進もうとしていることがわかります。私の家族は接種実施のおかげでより安全になりました。ありがたく思い、感謝しています。」