• 砂埃が舞う条件のため、車体のグリップとドライバーの勇気が試されるレースとなり、イギリスのサム・バード選手は勝利を勝ち取るために全力投球を求められた
• 32歳のドライバーであるバード選手は、独立系チームのエンヴィジョン・ヴァージンは単に数合わせのために選手権に参加しているのではなく、非常に速い車を武器に今シーズン参戦していることを世に示した

ダニエル・ファウンテン

イギリスのサム・バード選手が金曜日、ポルシェのアンドレ・ロッテラー選手やメルセデスのストフェル・バンドーン選手を抑えて、ディルイーヤで開催されたABBフォーミュラE選手権の開幕戦で優勝した。エンヴィジョン・ヴァージン・レーシングがチェッカーフラッグを受けた形だ。

砂埃が舞う条件のため、車体のグリップとドライバーの勇気が試されるレースとなり、イギリスのサム・バード選手は勝利を勝ち取るために全力投球を求められたが、5番手のグリッド位置から優勝を手にした。

フォーミュラE選手権が2014年に始まって以来、毎シーズンイギリスのバード選手はePrixで優勝を収めており、今回その記録を更新した形だ。またバード選手にとっては9回目のフォーミュラE優勝であり、この回数は全ドライバー中で3位の記録だ。

バード選手は、勝因はシーズン開幕前の進化だったと言う。表彰台でバード選手は次のように語った。「チームがオフシーズン中に素晴らしい仕事をしてくれました。とても素晴らしい車体になっていました。

「去年思うようにいかなかったので、自分自身を進化させました。いろいろ考えたり、メンタル面を鍛えたり。体も最高の状態ですし、体重もかなり落とせました。チームもいろいろ学べました」とバード選手は付け加えた。

32歳のドライバーであるバード選手は、独立系チームのエンヴィジョン・ヴァージンは単に数合わせのために選手権に参加しているのではなく、非常に速い車を武器に今シーズン参戦していることを世に示した。

レース前は、BMWとアウディと並んでドイツ4強をなして新たに参戦したポルシェとメルセデスの話題、そして連続ディフェンディングチャンピョンのジャン=エリック・ベルニュ選手が3回目の優勝を果たして良い滑り出しをできるかという話題で持ちきりだった。

ハイライト

• バード選手は、ポルシェが擁するドイツのエースであるアンドレ・ロッテラー選手とメルセデスが擁するベルギー人ドライバーのストフェル・バンドーン選手を抑えてチェッカーフラッグを受けた。
• ポルシェとメルセデスのシリーズ参戦で、BMWとアウディと合わせてドイツ4強が揃った形だ。
• 本選手権の第2戦はディルイーヤePrixの2日目となる今日行われる。

しかしベルニュ選手は、予選で力を出し切れずかなり下位のグリッドからのスタートとなり、レースから棄権した。そして、ドイツのライバルを抑えて優勝に輝いたチームはイギリスのエンヴィジョンだった。

しかしロッテラー選手とバンドーン選手も表彰台に登れたため、ポルシェとメルセデスにとっても満足のいくフォーミュラE第1日目となったことだろう。

新参戦の2チームは週末が始まる前に、選手権にインパクトを残せるようにするには調整に時間がかかると話していたが、特にメルセデスは予選でドライバーが2位と3位のグリッドを確保したことから、理想的な滑り出しとなった形だ。

ドライバーたちには、2日目の本日開催されるディルイーヤePrixの第2戦で、再度優勝のチャンスがある。

サウジアラビアは、1ヶ月にわたって続くディルイーヤシーズンの一環として、ユネスコの世界遺産に登録されているサーキットにて、本選手権の開幕戦と第2戦を開催している。

ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が大会の開幕を宣言した際には、レースのスポンサーとなっているサウディアとサウジアラビア空軍が連隊飛行を披露した。

スポーツ庁の長官を務めるアブドゥラジズ・ビン・トゥルキ・アル=ファイサル王子は次のように語った。「史上最大規模で、これまで以上の車やドライバーを迎え、より盛りだくさんとなったフォーミュラEレースが開催され、またサウジアラビアの歴史に残ることになりました。さらに、ディルイーヤサーキットは世界でも最高のフォーミュラEのサーキットの1つであることが、今年も証明されました。

「この大会はサウジアラビアの人々の心に定着してきました。今ではサウジアラビアの毎年の恒例イベントになっており、国民全員が楽しみにしています。サム・バード選手には祝意を表します。また、今日スリリングなアクションを見せてくれたドライバー全員に謝意を表したいと思います。

「各チームはまた明日に向けて準備に大忙しですね」アブドゥラジズ王子は付け加えた。

また今日、サウジアラビアのリーマ・ジュッファリ選手は、フォーミュラE選手権のサポートレースとして行われるJaguar I-PACE eTROPHYに出場し、サウジアラビアで初めてレースに参加した歴史的女性となった。

ジェッダ出身でまだ若手のジュッファリ選手は予選で恥ずかしくない順位につけ、初めて参加する電気自動車レースの本戦では8位まで順位を上げて、最後はフィニッシュを切ることに集中していたようだ。

サウジアラビアで初めてのレース後、観客からの歓声にジュッファリ選手は笑顔で手を振った。順位は下位であったにせよ、夢を実現した喜びには一切かげりがなかった。

「多く（の人々）は、サウジアラビアで起きている多くの変化に驚いています。

「私が車に乗ってレースをしているのを見れば、多くの人は驚くでしょう。でも私は人を驚かせることができて嬉しいです」とジュッファリ選手は語った。

アブドゥラジズ王子はジュッファリ選手の功績をサウジアラビアの「転換」の瞬間を示すものだと賞賛した。

「リーマ選手には、これから何千人もの人たちからプロのレーサーとして声援が送られることになるでしょう」とアブドゥラジズ王子は述べた。