
アラブニュース
ジッダ:アブドルアジーズ王世界文化センター(イスラ)は、サウジアラビア及び周辺地域の文化的・創造的シーンをマッピングした2年間の網羅的な調査結果を発表した。
地域の主要な文化的シンクタンクであるイスラは、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット及び現地パートナーに依頼し、サウジアラビア、中東、北アフリカ地域におけるアート・クリエイティブ産業の発展について理解を深めるため、3つのレポートを作成した。イスラは声明にて、新型コロナウイルス感染症の大流行を受けて、クリエイティブ・文化セクターが根本的な変革を経験する中、同調査によって創造的・文化的体験に対する「一般の人々の動向を捉えた」と述べている。
この調査には、ベイルート、カイロ、ダンマン、ドバイ、ジェッダ、クウェート、マナーマ、マスカット、リヤド、シャルジャの10都市から5000人以上が参加した。また、政策立案者、学者、アーティスト、キュレーターなど、さまざまな分野で活躍する20人以上の現地の専門家へのインタビューも掲載されている。さらにこの調査では、現地の文化・クリエイティブセクターにおける喫緊の問題を明らかにするため、さまざまなレポートを検討した。
イスラの戦略・パートナーシップ部門の責任者であるファトマ・アル=ラシード氏は、イスラが同調査を「政策立案者や一般の人々にとっての資料となり、業界の状況についての認識に疑問を投げかけ、対話を促すもの」にしたいと述べた。
彼女は、必要なプラットフォームの提供など「すべての人が参加できるようにする」ことに注力し、公教育にも文化を取り入れるような取り組みを実践することで、地域における文化的参加を活性化する重要性について主張した。
今回の調査では、MENA地域全体の文化的需要と消費者の好みにおける傾向として、いくつかの特定のテーマの需要や人気が高いことがわかった。最も人気のあるテーマは「歴史・遺産」で、次いで「映画・テレビ」となっている。
また、同調査では、一部の国での限られた公的支出や支援、その他の国における経済的・政治的不安定さ、主流の教育システムにおける文化の存在感の薄さ、情報と意識の欠如、家族向けの活動や施設(特に子供向けのコンテンツ)が相対的に不足していることなど、文化的関与を妨げる課題をいくつか指摘している。
その結果、今回の調査では、より包括的な文化的参加を可能にするために注力すべき政策立案者やサービス提供者の文化的参加を促進するための政策を提言している。さらに今回の調査では、低所得層や政府、コミュニティの参加を支援することで、地域の生涯にわたる文化的学習を促進することができるとしている。MENA地域の文化施設は、教育に重点を置くことで、互いに異なる強みから学び、文化への参加を促進することができるだろう。