
タレク・アル・サカフィー
メッカ:サウジアラビア文化省は2022年を「サウジコーヒーの年」に指定し、国内の家庭に欠かせない本物の味を祝賀する。
サウジアラビア文化大臣バドル・ビン・アブドゥラ・ビン・ファルハン王子は、「サウジコーヒー・イニシアティブ」は、サウジ王国の文化の欠かせない要素として、その下にあらゆる祭事が集うことになるだろうと語った。
ここ数年、ジーザーン州のコーヒー豆農家に特別な注目が寄せられている。農家に対する支援が増加し、ハウラニ豆(Khawlani)に特別な配慮が与えられているからだ。
コーヒー豆農場が多いことで有名なジーザーン州アル・ダイヤー県のコーヒー豆農場のオーナーであるギブラン・アル・マルキ氏は、この発表は大変光栄なことであり、コーヒー産業に関心を寄せる人々にとっての誘導灯になるだろうと言う。
アル・マルキ氏はアラブニュースに、このコーヒー豆はかつて古代ハウラニのコーヒー飲料にとって欠かせないものだったと考えられており、近年、復興が行われていると語った。
アル・マルキ氏によると、この地域は去年降雨量が少なく、干魃の時期があり、多くのコーヒー豆農場がその影響を受けたという。コーヒー豆という作物には大量の水が必要だからだ。この地域の地形的な難しさのため大部分の農家が貯水槽を用いた灌漑が出来なかったと同氏は言う。起伏に富んだ山岳地帯に農場が位置しており、安定した灌漑システムを構築するのが難しいのである。
イベントマネージメントのレナード・アラビア(Renad Arabia)の本部長カレド・ハシェム・ナグロ氏は、それぞれの地域が味わいや風味の構成や焙煎などで他の地域とは異なるアラビアコーヒーを生産していると語る。
集荷作業の際、コーヒー豆には特別な配慮が行われる。種類によって色が異なっており、黄、黒、茶などの色合いをしている。豆の栽培農家は、色が濃すぎる豆や黒すぎる豆、直射日光に当たっていた豆は破棄する。味に影響があるからだ。風味も地域的な特性や地形の影響を受ける。
コーヒー豆は軽火で焙煎されるが、バフリ(Bahri)は例外で、強火が求められる。
豆にはハウラニ(Khawlani)、ベリ(Berri)、ハラリ(Harari)、バフリ(Bahri)などがある(ブラジルやトルコから輸入)。
最高級タイプのコーヒーがハウラニであり、2つのカテゴリーに分類される。第1は「カトマ(Qatma)」(小粒の豆を使用)。有機栽培であり、イエメンのハウランの高山にしかない。稀少で重要が多く高価である。第2のカテゴリーはイエメンのほとんどの地域で栽培されている長粒種のハウラニである。
焙煎工程の後、粗粉末に砕いたカルダモンを混ぜ、熱湯で煮る。砂糖は入れない。混合粉末には好みに応じてカルダモンやサフランなどの調味料や、ときには乳香や龍涎香が入れられることもある。
人々の記憶にある限りではずっと、アラビアコーヒーを飲むことは共通の社会習慣であり、サウジ文化と一体になった要素である。
「ハウラニ、ハラリ、ブラジルなど、コーヒーの産地を選ぶことは非常に重要で、その品質と味に反映されます」ナグロ氏はアラブニュースにそう語った。「今ではこうした品種がサウジアラビアの各家庭で利用できるようになり、人々はそれぞれの方法でコーヒーを淹れています。各地で伝統的な方法でコーヒーが供され、それぞれの地域が他の地域とは違っています。そのおかげで味に多様性が出ているのです」
文化・芸術協会の元代表で研究員のアブドゥラー・ビン・アブドゥラー・アル・サード氏は、アラビアコーヒーは本物のアラブの祝祭や寛大さを象徴するものとなっていると言う。
「気前の良い歓待や敬意の表明として客人に供される美味で共通の飲料なのです」と、アル・サード氏は語った。
「コーヒー豆の中には、一般的なものだと考えられているものもあれば、豪華絢爛な味わいだとされているものもあります」
コーヒーノキは世界中の70ヶ国で栽培されており、重要な収入源となっている。しかしイエメンとサウジアラビア南部で生産されるコーヒーはもっとも繊細な種類のコーヒーだと考えられている。世界的に名声を獲得しており、イエメンにはオランダと英国にコーヒー豆を輸出する数百年の商取引の歴史がある。
1年を通して、ジーザーン南部で多くのサクセスストーリーがあった。具体的に言うとコーヒー豆の農場や農業についてのものである。小規模な家族経営のビジネスが本格的な大企業へと急成長し、全国のフェスティバルやワークショップなどに豆を届けるようになった。コーヒー農業や栽培や梱包、さらにはバリスタの研修など、若者向けの訓練にも供給されている。
先月、環境・水資源・農業省が、コーヒー開発都市をアルバーハ地域のマシュカとアルクラ行政区に設立するという合意を締結した。
総面積1,600,000平方メートルの敷地に都市が建設され、1,000人の雇用機会を提供し、30万本のコーヒーの木を植えることができる運用能力を持つこととなる。