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サウジ人たち、アメリカ海軍基地への襲撃事件に対する非難で団結

フロリダの基地への襲撃事件の後、エスカンビア郡のシェリフ・デイヴィッド・モーガンが、報道陣に語る。(Josh Brasted / GETTY IMAGES NORTH AMERICA / AFP)
フロリダの基地への襲撃事件の後、エスカンビア郡のシェリフ・デイヴィッド・モーガンが、報道陣に語る。(Josh Brasted / GETTY IMAGES NORTH AMERICA / AFP)
08 Dec 2019 08:12:05 GMT9
  • サウジアラビア人が3人のアメリカ人を銃で殺害した今回の事件は、サウジアラビアの人々を代表しない行為だと見做されている
  • イスラム協力機構(OIC)は、犯人はサウジアラビア人を特徴づける寛容なイスラム的価値観を代表していないと述べた

ラワン・ラドワン,ヌーア・ヌガリ

国王やサウジアラビア政府のトップレベルの高官から一般のサウジ国民に至るまで、フロリダ州ペンサコーラのアメリカ海軍基地への襲撃事件について「非イスラム的」で野蛮だと言い、団結して非難している。

サウジアラビア人が3人のアメリカ人を銃で殺害したことは、サウジアラビアの人々を代表しない個人的な攻撃行為である、と広く強調されてきた。

数十年にわたって多くのサウジアラビア人が仕事のために米国に住んだり、多くの州の至るところで大学に通ったりして、サウジアラビア人の代表となってきた。

ジッダで働くコミュニケーションの専門家であるネッダ・アホンベイは、ニュースを聞いたとき、悲しみを表現した。

「犠牲者家族に哀悼の意を表します。犠牲者家族が、このような惨劇に直面してもなお、暮らしに安らぎを見つけられることを願っています。サウジアラビア系アメリカ人として人格形成期を米国で過ごし、家族のようになった友達ができた身として、私は今回の襲撃事件はとても身につまされましたし、両国民が協力して悲しみを克服することを願っています」。

「学生として米国で暮らした私は、自分がムスリムであることについて何ら問題を感じることはありませんでした」と話したのは、ジッダ大学で働くアメリカン・サウジ講師のアラ―・センディである。

電気工学でPhDを取得したナチ―・アル=オスマニ博士は、1990年代後半に10年間にわたってミシガン州とペンシルベニア州の間で暮らし、9/11テロのときには米国にいた。彼は、そのような残虐な攻撃は決して共同体を代表するものではないということを、いかにアメリカ人が理解していたかを思い出しており、今回の事件も決して例外ではない。

「昨日起こった悲劇的な出来事は、私たちを代表していません。この襲撃事件は、いかなる理由があろうとも受け入れられないもので、正気の人ならば決して受け入れられません」と彼は述べた。「私は何年も米国で暮らし、9/11のときも米国にいて、米国で過ごすことを通じて多くのアメリカ人の友達ができました。彼らは我々を支持し、我々を助け、我々を守り、そして我々の関係性はとても礼儀正しく丁重なものでした。私たちは団結して、あらゆる共同体で見受けられうるこの危険な風潮と闘う必要があります」。

多くのサウジ人は、この個人が起こした行動に怒っている。アル=オスマニ博士は、この状況を利用してサウジ人を非難しようとする人たちについて懸念を示した。

「右翼はこの事件を利用してサウジアラビアを批判するでしょうが、多くのアメリカ人がそのような見方をするだろうとは、私は思いません。アメリカ人は、個人の国籍とその行動との区別を十分意識しています」と彼は述べた。

アル=オスマニ博士はサウジ人学生に対して、それぞれの共同体とコミュニケーションをとり、協力し、友情の手を伸ばすことを勧めている。

米国とサウジアラビアとの間の友情と協力の数十年のあいだに、多くのアメリカ人がサウジアラビアで働くようになっており、サウジアラビアを自らのホームにした人もいる。

リヤドにあるプリンス・スルタン大学の文学部副学部長・教育学習センター長を務めるアリア・ミッチェル博士は、30年以上にわたりムスリムであるアメリカ市民であり、20年以上にわたりサウジアラビアに在住している。彼女は、社会に織り込まれた宗教の美しさを見て、サウジアラビアに住むことを選んだ。彼女はサウジアラビア社会を、襲撃の犯人によっては代表されないと信じている。

「このような悲劇的なことが起こるとき、それは個人に原因があります」と彼女は述べる。「共同体や社会へは立ち返りません」。

「私は今なおうんざりしていて、この悲劇にとてもとても悲しんでいます」とメラニエ・Hは述べた。「私には襲撃事件の犯人と同じ年齢の息子がいます。彼の行動が親としての私にもたらす痛みや悲しみを想像できません。息子がそれだけの地獄をもたらした…他の人の命を奪ったと知るなんて」。

彼女は言った。「私は10年以上サウジアラビアに住んできて、サウジのおもてなし、温かみを体験してきました。ここに来るまでは想像も期待もしなかったことです。サウジは完璧ではないけれども、だとしたらどの国や国民が完璧だと言えるのでしょう?」

「国が世界に扉を開いたからには、人々は本当に、本を表紙だけで判断するべきではありません。特に、この襲撃事件の犯人のような犯罪者が、間違っていてミスリーディングな表紙を作るようなときには」。

メラニエ・Hは続けた。「ある人々を、個人で判断しないこと――それが、私たちアメリカ人にとって大切なことです。判断しないこと」。

「この犯罪は、サウジアラビア人としての我々を代表するものではありません」とイスラム問題大臣のシェイク・アブドラティフ・アル=シェイクは、個人的なTwitterアカウントで述べた。「我々はそのような犯罪行為を拒絶します。そして我々は、けがをした人、犠牲者の家族を気の毒に思っています。それはひどい犯罪で、不正な行為です」。

「我々は、いつどこで起きた犯罪も非難します。そして我々は、イスラムが禁ずるそのようなひどい犯罪行為を完全に拒絶するということを強調します」。

メディナのクバモスクのサウジ人学者でイマームのサレ―・アル=マガームシも同じ考えを共有した。彼は以下のように述べた。「今回の事件は、宗教や、犯罪行為を犯した者が関係する国とは、切り離されるべきです。シャリーアは、今回の行為を是認しません。なぜなら、聖なるクルアーンのテキストや、流血を認めない原則に基づくムハンマドの教えに違反しているからです。論理学もまた、今回の行為を是認しません」。

イスラム協力機構(OIC)は、今回の襲撃事件の犯人は、寛容・穏健・共存を信ずるサウジの人々やすべてのムスリムを特徴づける寛容なイスラム的価値観を代表するものではない、と述べた。

サウジアラビアの聖職者最高評議会事務総局もまた、フロリダの銃撃事件を非難し、極悪な犯罪であると述べた。

今回の事件を人類に対する犯罪と形容した聖職者最高評議会は、そのような行動はイスラムの本当の教えに背くということを強調した。サウジの人々はその高貴な価値観を支持し、世界と人類の進歩と繁栄に貢献し続けるだろうと、彼らは述べた。

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