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サウジアラビアの若年層は責任、勤勉、寛容、正義を重視

サウジアラビアの男性は、結婚と新居を建てるために貯蓄を増やすことに集中しているということが調査により明らかとなった(AFP)
サウジアラビアの男性は、結婚と新居を建てるために貯蓄を増やすことに集中しているということが調査により明らかとなった(AFP)
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28 Dec 2019 11:12:28 GMT9
28 Dec 2019 11:12:28 GMT9

ラワン・ラドワン&アラブニュース

ジッダ/ドバイ発:サウジアラビアの若年層についての最新調査で、サウジアラビアの人口の67.02%を0歳〜34歳の年齢層が占めていることが明らかにされた。

調査は2019年の第2四半期に統計庁 によって実施され、その後結果が公表された。若年層の生活についての多くの重要指標を提示することを目的としたものである。

調査内容には、若い世代が直面する障害や課題に加え、社会的、人口統計的、経済的な側面も含まれていた。

調査研究者たちは、13の地域の5,000家族を訪問して数値をまとめた。その結果によると15歳から34歳のサウジアラビア人は総人口の36.7%であり、その51.03%が男性、48.97%が女性となっている。

この調査は、サウジアラビアの若者の教育環境にも焦点を当てており、31.75%(男性の31.86%、女性の31.64%)が就学期間中に学習に関する困難に直面したと感じていると報告している。

これらの困難の中で、学校・大学で教育を受けること自体の難しさを挙げる声はかなり少数で、男性の4.55%と女性の5.88%のみが教育の機会を得るのに苦労したと回答している。一方で、「勉強にあたって困難を経験した」という答えは14%近くに上っている。

こうした勉学に際しての困難について、オックスフォード大学で認知心理学の学位を取得したサウジアラビアの教育管理リーダー、アスマ・シディキ 博士は次のようにコメントしている:「この数字で注目すべきことは、それが自己申告が示す割合だということです。最近発表された生徒の学習到達度調査 の結果を見ると、サウジアラビアにおける15歳の大多数が、リーディング、数学、科学のテストにおいて問題解決スキルに非常な貧弱さを見せています。ですから、15〜34歳の3分の1が学習の困難に伴う課題を自ら認識していることは驚くことではありません」

「これは教育部門でなされている努力を考えると不幸なことですが、また同時に、チャンスでもあります ― もし私たちに、改善のためには早い学年のうちに取り組むこと、また子供たちに丸暗記ではない本当の学習法を学ぶよう刺激を与えるような基盤改善を確実に行うことが必要だと認めるだけの大胆さがあるならば、ですが」と彼女は付け加えた。

しかし、回答者の3分の1が学習の困難に直面しているにもかかわらず、報告書では、過半数(58%)が課外活動に参加したと回答したことが示されている。その割合は男性では59.67%、女性では56.26%であった。

より多くのお金を節約する傾向は収入増の反映かもしれません。現在は、数年前よりもはるかに活発に経済活動に従事している、私たちが若者と分類する数多くの若い世代が存在します。また、より多くの女性が労働力となり、非常にポジティブな傾向となっています。サウジアラビアでは、広域的には女性の労働参加率が低かったのですが、それも改善されつつあります。

ジョン・スファキアナキス、エコノミスト

さらに、調査結果では、仕事に完全に満足している若年層の割合が23.54%(男性では23.9%、女性では21.85%)となっている。過去現在を問わず、仕事上の困難に直面したことのある勤労若年層の割合は、45.88%(男性の45.33%、女性の48.53%)と推定されている。
英国のカーディフ・メトロポリタン大学のBISを修了した31歳のウェジャン・アル=ガムディ(Wedjan Al-Ghamdi)氏は、サウジアラビアに帰国し、彼女が家族との関係を大事にしていること、また数年ごとに街から街へ移動を強いる夫の仕事の影響で、自らの専門分野で仕事を見つけるのに苦労した。

高等教育省を通じて取得した学位を確実に活用するため、彼女は自分の専門分野とは大きく異なる仕事に落ち着かなければならず、次々に失望を経験することとなった。

「過去6年の間に何度か転職しました」とアル=ガムディ氏。 「インターナショナルスクールのスーパーバイザー、教師、時にはアクティビティ・スーパーバイザーといった立場で働かなければなりませんでした。夫の仕事のために街から街に移動していたので、難しさはありましたね。私のような人間にとって最善だったのは、スタッフに在宅勤務を認める会社を見つけることだったろうと思います。ですが私の分野にはそうした職場は多くはなかった。海外から戻ってきて、それぞれの専門分野で仕事を見つけるのがまだ難しいと感じている人は他にもたくさんいます。」

自分が満足できる仕事を最近やっと見つけた、とアル=ガムディ氏は話してくれた。

サウジアラビア政府は、将来の労働力に貢献する準備をしてもらうため国民の教育に投資するという野心的な「ビジョン2030」を含む、一連の改革計画を策定している。さらに、国としてサウジアラビア国民の雇用を優先し、経済的および社会的成長の確実な実現を奨励するため、民間企業に対し厳格な割当を与えることも提案している。

雇用状態にある若年層のうち、自らの給料が経済的義務を果たすのに十分だと考えている者の割合は68.91%、男性の69.59%、女性では70.48%であった。一方、月収の一部を節約できるとした若者の割合は44.71%で、男性の43.62%、女性の50.19%となった。

湾岸研究センター(Gulf Research Center)のチーフエコノミストであり、ロンドンの王立国際問題研究所の研究員でもあるジョン・スファキアナキス氏は、より多くのお金を節約する傾向は収入増の反映である可能性がある、と述べている。

「より多くのお金を節約する傾向は収入増の反映かもしれません。現在は、数年前よりもはるかに活発に経済活動に従事している、私たちが若者と分類する数多くの若い世代が存在します。また、より多くの女性が労働力となり、非常にポジティブな傾向となっています。サウジアラビアでは、広域的には女性の労働参加率が低かったのですが、それも改善されつつあります」

「一時は、若年層の失業率がエジプトやギリシャよりも高かったこともありました」とスファキアナキス氏は語る。 「これは長年の課題となっていましたが、今では若年層の失業率は全体的に低下しています。このことは、経済強化を狙った数多くの政府プログラムが機能していることを示しています。」

統計局が発表した最近の調査結果では、2019年第3四半期の労働市場報告において、失業率が今年の第2四半期の5.6%から5.5%に低下したことが明らかにされた。2018年第4四半期の12.7%から、大幅な減少を見せている.

一方で、サウジアラビアの若年層の生活にソーシャルメディアが大きな役割を果たしていることが明確になった。

今回の統計局の調査では、若年層の約98%がソーシャルメディア・プラットフォームを使用しており、回答者の35.83%(男性の36.81%、女性の34.8%)が、自身の社会での対人関係がソーシャルメディアに影響されていると答えている。

社会的規範について言えば、若年層は自らのコミュニティにおける社会的価値を重視していることを、今回の報告は示している。これらの価値には、以下のものが含まれている:個人の責任感(98.55%)、勤勉(98.12%)、寛容(98.26%)、効率性(97.46%)、合理的な支出(89.22%)、規則の順守(94.64%)、正義( 97.95%)、節度(97.42%)、決意と根気(98.41%)、透明性(92.64%)。

「サウジアラビアが経験している前例のない発展の中で、若いサウジアラビア人たちが共有する社会的価値の高い報告には、強い愛国心とナショナリズムが反映されています」と、2018年国連経済社会理事会(ECOSOC)ユースフォーラムのサウジアラビア・ユース代表・ラザン・アラキル(Razan Alaquil)氏は言う。「サウジアラビア人としてのアイデンティティは、私たち若いサウジアラビア人が共有するだけでなく互いに責任を負う重要な要素に基づいて形作られ、決定づけられているものです」

「なぜなら今は、積極的に貢献する責任ある市民に私たちがなることにより、行動を通して私たちの国の物語を作っていく時だからです。私たちのそうした行動が国を発展させ、サウジアラビアのアイデンティティをその現実の姿、すなわち国の発展、勤勉、寛容、効率性などへの私たちの貢献と責任の自覚に根ざしたアイデンティティへと形作っていくのです。私たちは若いサウジアラビア人として、自分たちはひとつだとお互いに考えていますから、これらの市民的価値についてもお互いに責任を負っているのです。」

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