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フランクリー・スピーキング:バイデン訪問でサウジとの関係が改善されるか_元CIA職員

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20 Jun 2022 01:06:21 GMT9
20 Jun 2022 01:06:21 GMT9
  • ・米大統領と政府関係者が変化を目の当たりにし、コミュニケーション・チャンネルを構築する機会となる訪問

  • 米国での原油価格高騰はサウジアラビアの責任ではなく、イエメンへの対応への批判は行き過ぎだ

  • 米国にサウジ側のストーリーを伝える努力が必要。多くの人々が、9.11、カショギ、石油という観点からしかサウジアラビアを見ていない。

アラブニュース 

リヤド:元CIA上級作戦官で中東専門家のノーマン・ルール氏によると、バイデン大統領の7月の中東訪問で、米国にとって非常に重要なサウジアラビアとの関係を修復することができるという。

今回の訪問は、米国とサウジアラビアの関係や同地域の長期的な関係に大きな影響を与えるだけでなく、両国が長期的な目標を達成するための関係構築につながる可能性があると、ルール氏は、有力な政策立案者やビジネスリーダーとのインタビューを放送するアラブニュースのトーク番組「フランクリー・スピーキング」の司会者ケイティ・ジェンセン氏に語った。

米国では燃料価格が高騰し、インフレが加速しているにもかかわらず、ホワイトハウスはバイデン大統領の訪問が石油中心になることを否定しており、ルール氏もこれに同意している。

「米国とサウジアラビアは、グリーンエネルギーから宇宙に至るまで複数の議題を抱えており、これらもリヤドで行われる協議の重要な一部となるであろう」と彼は述べている。

 6月上旬に開催された石油輸出国機構(OEC)と非OPECの閣僚会合では、燃料価格の高騰を緩和するため、7月に原油生産量を50%増加させる決定が下された。

その他、米国経済の機能にとって不可欠な、紅海、アラビア海、アラビア湾などサウジアラビアを取り囲む水路を含む様々な問題が議題となっている。

周辺地域、またサウジアラビアの影響力が拡大しているアフリカの農業と食糧安全保障、そして過激派との戦いも議題となる。

「石油やガスの価格やもっと単純な課題よりも少し退屈に聞こえるのでこれらの問題はあまり報道されない」とルール氏は言う。

それでも、一部のアメリカ人が巨大なガソリンスタンドと見なす国への訪問を控えたバイデン氏とって、石油は明らかに大きな課題となるはずだとの主張も多い。サウジアラビアは、OPEC加盟国の中で最大かつ最も利益を上げている国であり、最近の価格高騰の責任の一端を担っているとほのめかす向きもある。しかし、ルール氏はそう思っていない。

「プーチン大統領は非難に値する。サウジアラビアにも一定の関わりはあるが、それほどまででははない」と彼は言う。

また彼は、ロシアからヨーロッパへの石油、ガス、石炭の輸送が停止したことや、新型コロナの流行から世界経済が回復してきたことによる急速な経済成長など、多くの要因が作用していると述べた。

さらに、「アメリカなどで設備投資の失敗があった。経済政策の効果と新型コロナの流行が収束してきたことで、爆発的な経済成長が起きている」と彼は述べた。

ルール氏によれば、今回のバイデン氏訪問で最も興味深い点は、「米国政府とサウジアラビア政府の経済目標がほぼ同じであること」だという。

よりグローバルな貿易問題は別として、米国とサウジアラビアはともにインフラを改善し、それぞれの中産階級発展の支援に取り組んでいる。 

ルール氏は、両国のこれまでの成果を守ることが非常に重要であると考えている。「両政府とも、経済的・社会的成果を後退させかねない破壊的な通常戦争に発展するようなこの地域の紛争を避けたいと考えている。私たちはサウジアラビアの協力とパートナーシップを必要とし、またイスラム世界全体で過激派を防ぐためのサウジアラビア自身のイニシアティブをサポートする方法を見極める必要がある」と彼は述べた。

もっと個人的なレベルでは、「アメリカの大統領と大勢の政府関係者が、サウジアラビアでの生活を直接見ることになる。これは重要なことだ」とルール氏は話した。

 「大統領と、サウジアラビアの皇太子を含む、この旅行で会うすべての関係者の間に、個人的な関係が生まれる可能性がある」

ルール氏は、両首脳のこうした個人的な関係により「会談に続く数カ月の間に、この会談の目標を実際に達成するために議論を続けられるようなコミュニケーションのチャンネルや構造が確立される 」可能性があると考えている。

ルール氏は、米国の指導者は王国の改革への野心とそのために直面している課題を尊重していると考えているが、多くの人々は「一般に、9・11問題、ジャマル・カショギ殺害事件、石油問題という観点からサウジアラビアを見ている 」という。 

サウジアラビアのメディアは、このようなサウジアラビアのイメージに対抗するためにもっと努力しなければならないとルール氏は述べ、イスラエルやカタールといった他の中東諸国には、アメリカのテレビ視聴者に向けた24時間放送のテレビ局があると付け加えた。

サウジアラビアの24時間テレビ局があれば「フラットで、無党派、非政治的な方法で生活を見せる 」ことができると提案している。

サウジアラビアに欠点がないわけではないのと同様に、バイデン氏のサウジアラビア訪問の可能性にも否定的な意見がないわけではない。この訪問を批判する人々は、人権問題や7年続いているイエメンでの戦争に注目している。

ルール氏はこうした留保を「過剰」とし、「多くのサウジ当局者と話したが、彼らは民間人の犠牲を抑えるためにできる限りのことをしようとしていると言っており、私も納得している」と述べた。

さらに、「バイデン政権自身が、そのレトリックと政治的発言において、この紛争の政治的解決を達成するために行ってきたサウジアラビアの熱心な外交努力に繰り返し感謝し、バイデン政権がサウジ政府を批判したのはかなり昔のことであり、それは私が確信している単純な事実の見解に基づいている」と彼は述べている。

ルール氏は、イランの支援を受けるフーシ派がイエメン紛争の平和的解決に対する主要な反対勢力であると確信している。

イランの悪意に対抗するためには、米国とサウジアラビアの関係が決定的に重要であると、CIAで34年間中東を担当したルール氏は言う。

そのうち9年間は、国家情報長官室でイラン担当の国家情報マネージャーを務め、現在は政治擁護団体「イラン核武装反対連合」のシニアアドバイザーを務めている。

イラン政府はバイデン訪問を脅威とみなし、同国とその代理人が訪問を妨害しようとするかもしれないと、ルール氏は指摘する。

「彼らは今度の訪問、特にこの地域の防空が改善されるという見通しを快く思っていない。この地域の統合防空システムは、イランが直接または代理人を介してミサイル攻撃やドローン攻撃を行うのを難しくすることになるからだ」と彼は話した。

ルール氏は、過去数十年間にアラビア半島が目撃した社会的・経済的成功を「イラン政府にとって最大の脅威」とし、イランはこの地域の成果を「イスラム共和国の安定を損なう強力な腐食剤」と見ていると付け加えた。

オバマ前米国大統領がアトランティック誌のインタビューで、サウジアラビアとイランが「地域を共有する」方法を見つけることが「冷たい平和」を確立する最善の方法だとの主張に反し、イランは力によってアラブ世界での覇権を固めようとしているというのが彼の意見である。

イランの代理勢力ハマスがイスラエル・パレスチナ和平プロセスを阻害する目的で作り出している障害にもかかわらず、ルール氏はサウジアラビアが紛争の平和的解決に有効な役割を果たす可能性があると信じている。

以前「フランクリー・スピーキング」のゲストとして登場したイスラエルの地域協力担当大臣イサウィ・フレッジ氏は、「サウジのリーダーシップが将来的なあらゆる解決策の中心となるだろう」と語っている。 

ルール氏はこれに同調して「サウジアラビアは2国家共存案を支持すると繰り返し述べており、パレスチナ問題が解決し、パレスチナ人のいくつかの正当な懸念や要求が解決されれば、地域の一部として受け入れられているイスラエルとの関わりも大きくなるだろう」と話した。

ルール氏は、40年近くにわたりサウジアラビアをたびたび訪れて同国の発展の様子に感銘を受けており、今回の訪問が世界の同国に対する見方に深い影響を与えることになると期待している。

「サウジアラビアは、イスラム以前の歴史も含めて、今までになく開かれている」と彼は話した。

「アメリカのビジネス界にいる多くの人たちが、観光的な意味合いが強くなってきているサウジアラビアへの旅行について喜びと驚きをもって話してくれたことに心を打たれた」

また、ユネスコ世界遺産のアル・ウラー遺跡が観光客に益々開放されていることについて「考古学において、おそらく過去20年、30年、50年で最大の発展」と賞賛した。

外からサウジアラビアを訪れ続ける人々は、「このユニークな地理、歴史、非常に温かい人々、アメリカ人とサウジアラビア人、アラブ人全般の類似性と価値観を、見事に理解して帰ってくる」とルール氏は語った。

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