
アラブニュース
メッカ:毎年恒例のハッジ(大巡礼)における最初の儀式が始まった。100万人の巡礼者が一生に一度の精神の旅へと出発する。
何十万人もの参拝者が、メッカのグランドモスクにあるイスラム教の聖地カアバ神殿の周りを回り続けた。気温は42度まで上昇し、多くの人が日傘をさして日差しを防いでいた。
木曜日、巡礼者たちはグランドモスクから約5キロ離れたミナの広大なテント村に移動し、預言者ムハンマドが最後の説教を行ったアラファト山での主要な儀式を待つ。
サウジアラビア当局は、巡礼者の健康と安全を確保するための大規模なオペレーションを展開している。サウジアラビア保健省は、メッカとイスラム教第二の聖地メディナに23の病院と147の保健所を用意し、巡礼者の受け入れを可能にしている。
また、ミナでは4つの病院と26の医療センターが巡礼者の治療に対応できるよう準備されている。集中治療が必要な患者用に1000床以上、熱射病患者用に200床以上のベッドがあり、2万5000人以上の医療従事者が、患者が発生した場合に対応できるように配置されている。
「今のところ、すべてがうまくいっています」エジプトから来た4児の母、ファテン・アブデル・モネイムさん(65)は語る。「あちこち移動しましたが、規律が守られているのを実感しています」
同じくエジプト出身のナイマ・モフセンさん(42)は言う。「ここに来られたことは、私にとって最高の出来事です。他の儀式も待ち遠しいです。唯一の悩みは天気です。暑すぎるんです」
新型コロナウイルスのパンデミック規制により2年の間人数が制限された後、今年のハッジでは、海外からの85万人を含む100万人の完全予防接種を受けたイスラム教徒の受け入れが認められた。
2019年は世界中から約250万人のイスラム教徒がハッジに参加したが、その後はパンデミックの影響で縮小を余儀なくされた。2020年には数千人、そして2021年には6万人の完全予防接種を受けた王国の住民のみが参加した。
ハッジの復活は、インドネシアからの巡礼者であるサトリスノさんとスリ・ワヒュニンシさんの2人の教師にとって、ほろ苦い感情をかきたてるものだった。スリさんの両親は2020年に参加する予定だったが、パンデミックの犠牲になってしまった。
スリさんの父親は3月に脳卒中で亡くなり、母親は今年の参加制限年齢である65歳を超えているため、参加することができなくなった。
しかし、サトリスノさん(54)とスリさん(51)は、スリさんの両親の代わりにハッジに参加することに喜びを感じている。「たしかに精神的にとてもつらい出来事でした」とスリさんは語る。「でも、母は私に祝福を与えてくれています。これは私が経験しなければならない旅であり、すべてはアッラーがお決めになったことだと考えています。私はハッジに行かなければならないのです」