
アルレット・クーリ
パリ:ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下のパリ訪問と、待望のエマニュエル・マクロン仏大統領との会談は、サウジアラビアとフランスの関係の強さと、友情による絆の深さを示すものである。
今回の訪問でもっとも重要なのは、激動する国際情勢および地域情勢の中、ジョー・バイデン米大統領の湾岸諸国訪問からわずか数日後というタイミングである。
今回の皇太子殿下の訪仏は、サウジアラビアをはじめとする各国が伝統的に米国に限定されてきた分野においても、世界との協力関係を多様化させたいと考えていることを示すものである。
このような状況において、マクロン大統領が1月の湾岸諸国訪問の一環としてサウジアラビアを訪問したことからも明らかなように、マクロン大統領と皇太子殿下は定期的かつ継続的な関係を築いており、フランスは特別な立場にある。
両首脳はパリにおいて、二国間関係のさまざまな側面に言及する一方で、経済のパートナーシップと、相互利益分野におけるパートナーシップを強化する方法について、検討する予定である。
両首脳は1月の会談において、経済交流への民間企業の参加を強化し、専門知識の共有および能力の開発も強化することで合意している。
サウジ皇太子殿下が主導するビジョン2030とフランスの2030経済計画の方向性は、機会の提供と意見の合致である。
環境と生物多様性の保護の分野におけるそれぞれのコミットメントも議題にあがる予定である。
マクロン大統領とムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は、パリ協定に基づく気候変動対策へのコミットメントの重要性を改めて強調する。そして、サウジアラビアの2つの野心的な取り組みであるサウジグリーンと中東グリーンは、フランスの強固な支持を受けている。
今回の訪問は、フランスとサウジアラビアがアル・ウラー地域の発展のための実りある協力関係を築くことに成功した分野である、両国の文化的関係についても議論する機会になる予定である。両首脳は、特に美術館の発展、遺産の保存、映画の製作などにおいて、この協力関係を発展させることを目指しているのだ。
より戦略的なレベルでは、ロシアのウクライナ侵攻に関連して、エネルギー安全保障が議題の上位を占める予定である。ある情報筋は、サウジ皇太子殿下は危機を緩和するために、マクロン大統領にサウジアラビアの努力を保証するだろうと示唆した。
中東から米国が撤退し、サウジアラビアが軍事・経済両面でのパートナーの多様化を望んでいる中、フランスは主要なパートナーとして自らを提示すると思われる。
パレスチナ問題に関する話し合いは確実であり、レバノンも同様である。レバノンは特有の政治的危機と惰性の泥沼にはまっており、もっとも親密なパートナーさえも支援に乗り出せないでいる。
議論のもうひとつの焦点は、イランの核問題とその地域的影響である。マクロン大統領は、膠着状態の解決には、2015年にテヘランと締結された包括的共同行動計画の核問題を巡る交渉に可能な限り早く復帰する必要があると主張してきた。
このような状況において、今回の皇太子殿下との会談はマクロン大統領にとって、フランスが新たなパートナーシップの概要の策定に参加する準備ができていることを、サウジアラビアをはじめとする地域諸国に対して再確認してもらう機会となる。
2期目が始まったばかりのマクロン大統領にとって、これが中東地域に対する外交政策の新たな原動力であることは間違いない。