リヤド:2人のサウジアラビア人宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに送った最近のアクシオム・ミッション2(Ax-2ミッション)により、サウジアラビアは、数十年にわたり有人宇宙飛行を実施してきた国々の仲間入りを果たした。
サウジアラビア宇宙庁の特別顧問を務める航空宇宙エンジニアで起業家のミシャール・アシェミムリー氏はアラブニュースに対し、Ax-2ミッションは人類に恩恵をもたらすだけでなく、次世代のサウジアラビア人にもインスピレーションを与えるものだと話した。
ISSの微小重力環境で、サウジアラビア人宇宙飛行士のラヤナ・バルナウィ氏とアリ・アル・カルニ氏は、14の実験を行った。
サウジアラビア人宇宙飛行士を宇宙へ送り出した最初のミッションとなったAx-2ミッションは、長短期の滞在いずれにも持ちこたえられるように計画されたサウジアラビアの有人宇宙飛行プログラムの一環として行われた。
アシェミムリー氏は次のように述べた。「長期滞在は通常180日または6ヶ月程度です。短期滞在は数日から10日程度です。有人宇宙飛行プログラムは全体として、科学的達成と科学的発見を目的としています」
宇宙ミッションは研究にとって非常に有益であり、このことは宇宙関連セクターの外でも変わらない。サウジアラビアの宇宙ミッションは、地球とはまったく異なる条件を提供する微小重力環境を利用するもので、特定の種類の実験に役立つことが分かっている。
「無重力状態なので、試料が重力により圧縮されず、医薬品の開発や病気の理解に役立つデータが得られ、細胞研究をこれまでとは異なる視点で行うことができます。
ですから、試料をほぼ3Dで観察することができ、何が起こっているのかを理解し、細胞やタンパク質の結晶構造をこれまでと違った視点で見ることができるのです」
また、放射線が人体に及ぼす影響やその反応も研究すれば、将来的な火星探査などで人が宇宙でより長時間にわたり活動する方法を見つけることにつながると同氏は付け加えた。
有人宇宙飛行プログラムは全体として、科学的達成と科学的発見を目的としています。
サウジアラビア宇宙庁特別顧問のミシャール・アシェミムリー氏
画期的な研究に加え、ライブイベントやSTEMアウトリーチを通じて子供たちに働きかけることも「非常に重要」だとアシェミムリー氏は言う。「なぜなら、それこそが、これから何世代にもわたって、子どもたちに宇宙飛行士、科学者、エンジニアになる夢を与えることになるからです」
アシェミムリー氏が個人的に注意を払ったのは、子どもたちの批判的思考力を高めるために、さまざまな年齢層の子どもたちが行うことを想定した実験を考案することだ。地上で行われた実験の結果を、ISSの滞在クルーが得た結果と比較することで、微小重力環境や無重力状態の影響への理解が深まった。
たとえば、熱伝導実験では、放射線を熱伝導の一形態として調べた。宇宙空間では、電子機器は排熱する必要がある。「熱をこもらせてしまっては、システムがオーバーヒートしてしまいます。では、どうやってその熱を取り除くのでしょうか?地上でコンピューターを稼働させる場合と比較すると、非常に複雑なシステムになります」
宇宙での研究は人類への恩恵を念頭に行われる。「それが有人宇宙飛行計画の意図するところです…世界の科学研究に貢献することです」。高精度の手術用ロボット器具など、宇宙活動のために開発された技術は、後に地球上で応用することができる。また、緻密な宇宙船開発も、技術の進歩に貢献している。
アシェミムリー氏によれば、サウジアラビアは、実験や国内の科学コミュニティとの交流を通して、将来的により大規模な宇宙ミッションを実施するための下地を確かめているという。
「多くの国々が、何十年もの間、持続可能な有人宇宙飛行プログラムを実施しており、国力向上から地球規模の問題解決まで、多大な恩恵を受けています」とアシェミムリー氏は述べた。
また、こういった技術革新に参加することは、宇宙経済において世界と競うための必須条件だと同氏は付け加えた。